第13話 平日の朝
「月咲。今日は早いね」
「何言ってるんだ?今日は学校だろ?」
「あ…忘れてた…って今何時だ?」
「7時30分だ」
「なんだ…良かった」
「お兄ちゃん。朝ご飯運ぶの手伝って!」
紅葉が金色の髪をを揺らしながら言っている。ちなみに俺は黒髪だ。前にも言ったが義理の兄弟だ。何にも不思議ではない。
「ああ、わかった」
朝ご飯を運びに紅葉の方へ向かった。
あれ?てことはみんなで学校へ向かうのか?あ、でも小学校と中学校は別の方向か。
「これを運べばいいのか?」
「そうだよ!」
朝から元気そう声で返事をされた。
あ、食器にはそれぞれ誰のかわかるようになっている。俺は黒のチェック柄。紅葉は黄色の水玉。月咲は青のチェック柄。都逢ちゃんは赤の水玉。ルナとミミちゃんは同じで、ピンクのハートマーク。お察しの通り妹であるミミちゃんが『お姉ちゃんと同じがいいと』言ったのだ。
「運んだよ。次は何かすることがある?」
「もう良いから座っていて良いぞ」
「あ、わかった」
「都逢ちゃんも座ってて」
「あれ?ルナとミミちゃんは?」
「あ、ルナちゃんならミミちゃんを起こしにいったよ」
「そうなんだ」
「いつもならそろそろ来るはずだぞ」
「まあお話して待ってよ」
「ああ。そうだな」
「都逢ちゃんは1人で学校に行くの?」
「ううん。途中まではルナとミミが一緒…」
眠いようだ。いつもだったら、もっと動きにきれがあるのに。動きにきれって何?
「確か紅葉は高1だよな?」
「うん。そうだよ。ここに来る前は毎朝お兄ちゃんと一緒に行ってたよ」
「1年間は一緒じゃなかったから寂しかったんだよな」
「翔…ありがとね」
今はいつもより素直だな。
「何がありがとうなの?」
「え?特に何もないよ?」
あれを言えば紅葉が怒りそうだしな。
「じゃあ見てくるから」
逃げるようにミミちゃんの部屋に向かいノックした。
「ルナ?ミミちゃん。起きてる?」
「あ、今行きますから下で待っていてください」
「ん?すぐ来れるんだな?」
「は、はい。ほらミミも」
「はぁ~い」
とても眠そうにしている。この寮の小さい子は朝が苦手なのか?小さい子って言ったら2人に失礼か。そう思いながら、下に向かった。
「あー、もしかしてミミは朝に本当弱いから、過保護なルナがきちんと起こしてるんだな」
月咲が近づき耳元で囁いた。「そういうの好物だろ?」
「ふざけないでよ。なわけないでしょ」
「何が?」
「何でもない」
「そうやって私には秘密にする!」
「本当に何でもないって」
そうしたら、2人が降りてきた。
「す、すいません。遅くなりました。おはようございます。ほらミミ…って寝てるー」
「毎朝大変だな。今日はいつもより眠そうだな」
「ええ。いつもより眠いみたいです」
「じゃ、食うか」
「ねぇ。都逢ちゃん寝てるよ。お兄ちゃん起こして」
「都逢ちゃん。起きて」
「あ、翔…おはよう…」
「どうし休日は起きれるのに、平日は起きられないのだ…」
「みんなそんなもんだろ」
「ほら、食べよ」
「そうだな。いただきます」
「「「いただきます」」」
「「いたぁだきまぁす」」
「まだ眠そうにしているんだ」
「ええ。ミミは学校まで寝ていたことがありますよ」
「え?まじか」
「まじです」
「あれ?今日は紅葉が作ったのか?この味噌汁」
「うん。そうだよ。わかる?」
「まあな。ずっと飲んでるもんな」
紅葉が作る味噌汁は世界一旨いかもしれない。毎日でも飲みたいくらいおいしい。
「へぇ。おいしいですね。今度レシピ教えてください」
「うん。いいよ」
「ありがとうございます」
「都逢ちゃんとミミちゃん。寝てない?」
2人はまた寝ているようだ。本当に寝坊助だな。これは克服した方が良いのではないだろうか?
「ああ、本当です。月咲さん都逢ちゃんを」
「朝から大変だな」
「いつものことだから慣れた」
「慣れるもんかな」
「ほらほら。遅れちゃうよ!みんな食べて用意しないと」
ご飯を食べ終わりその頃にやっと都逢ちゃんは目が覚めたようだ。
「翔!早くかえってきてね。ゲーム新しいの買うんでしょ?」
「よく知ってるな。いいよ。買ったらすぐに帰るよ」
「あまり遅くまでゲームをやらせるなよ」
「保護者みたいなころ言うなよ」
「私の立場はそんなもんだろ」
まあこの寮の責任者だもんな月咲は。
「あながち間違えてないけどな」
「話してないで、都逢!遅れるから行くよ」
「ルナぁぁ離せ!」
「こっちはミミを背負ってるんだからあんたは大人しくしてよ」
「ミミを起こせば良いじゃん!」
「は?あんたがちゃんとすればいいの!」
都逢ちゃんの言っていることはなにも間違えていない。だが、ルナの気迫でそれを間違いのようになっている。
「はぁ。翔!約束だからね」
「はいはい。わかってるよ」
見送ってから俺たちも学校に向かった。
「最初から一緒に登校って初めてだよな?」
「ん?そうじゃないか?道はよくわからないから、案内頼むな」
「ああ。任せとけ」
話すことも特になく、道を歩いていたら…
「お兄ちゃん。ここの店今度来よう!」
「猫カフェか。良いと思うよ」
「今日の放課後でも来るか?」
「どうする?」
「来よう!来よう!」
「じゃあ決まりだな」
何かおもしろいことを考えている顔だ。
「月咲。何か変なこと考えていないか?」
「いないぞ」
「ならいいけど」
時を少しさかのぼり小中学生3人は…
「ミミはいい加減起きたらどうなの」
「別に良いでしょ」
「は?そういうのシスコンって言うんだよ!」
「シスコンの何が悪い!」
「あ、ミミ起きたよ」
「歩く…」
「はい」
「それでよし!」
「毎日同じようなこと言って飽きないわけ?」
「う…ルナだって」
「明日にはきちんとさせるわ」
「それじゃあね紅葉」
紅葉は高1なので学校に着き別れた。
「なぁ。一時限目なんだっけ」
「確か…保険の実技だったかな…」
「変な風に聞こえるからやめた方がいいぞ」
「何が変なんだ?私にはわからないから教えてくれ」
「く…」
聞いたが時間割を確認した。
「数学じゃねえか!」
「ん?ああ」
「まあいい」
今日は何事もなく一日が終わった。何かあるとすれば、月咲の毒舌がいつもよりひどいような…
今日も何事もなく学校が終わった。校門に紅葉がいる。
「それじゃ、猫カフェによって帰るか」
「うん」
「時間はもう少し遅めだな」
何かを聞こえないくらい小さい声で言っていた。
「あ、忘れ物をとってくるから待っていてくれ」
「ん?ああ良いけど。な?紅葉」
「うん。待ってるよ」
「ああ、すまんな。5分ほどで戻ってから」
俺らはその背中を見送った。
「お兄ちゃんはどんなのが好き?」
「な、な、にがだよ」
突然言われてんんぱってしまった。
「何で焦ってるの?猫の話だよ」
「んー。猫の種類はよくわからないけど猫は好きだよ。あーでも毛がもふもふの方が好きかな」
「ふぅ~んそっか」
「紅葉はどうなんだ?」
「私?私は…お兄ちゃんと同じ感じだよ」
「そっか」
喋っていたら月咲が帰ってきた。
「それじゃあ行くか」
「ああ」
俺たちはそのまま猫カフェに向かった。猫カフェにあんな風にいるとは知らずに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます