第12話 怖いもの
先ほど俺は都逢ちゃんの風呂を覗いてしまった。都逢はもともと男が嫌いだったのでこのことでもっと嫌いになってしまうのではないだろうか?そうなれば俺はここにいづらくなってしまうな。まあ早々にこの件を解決しないとな。相談…紅葉にするか。
紅葉が風呂から出てきたところで俺がどうしたいかなどを紅葉に話した。
「それは私にも悪いところがあるね。それじゃあ協力しないと」
「いや、紅葉が悪いわけじゃないから気にしないで」
かえって嫌な気持ちにさせちゃったかな?
「機嫌取りでもすればいいんじゃないかな?」
「機嫌取り?」
「うん。お菓子じゃダメかな?」
「無理かも」
それは余計に機嫌を悪くしてしまうかもしれない。言われることは目に見えている。「子ども扱いするな!」とでもいうだろう
「じゃあ、一緒に遊ぶとか?」
「近づいたら逃げられるだろうな」
「むぅ。ああいえばこう言う」
「紅葉のことはよく知っているけど、都逢ちゃんのことはよく知らないからな」
「私とはずっと一緒にいるもんね!」
「まあな」
妹とはずっと一緒だった。なので考えもだいぶわかるようになっている。
「子ども扱いしたら、怒られるから大人扱いすればどうかな?」
「いいと思うよ!それでやってみる?」
「うん。そうするね」
でもなんて言えば大人扱いになるんだろう。
「とりあえずやってみるから」
そうして都逢ちゃんのいるリビングに向かった。
「都…」
部屋に入った瞬間に逃げられってしまった。よくよく考えれば話す前に逃げられるよね。
「あ、翔。暇だったら手伝ってくれ」
「あ、いいよ」
今は案もないしまあいいか。
「何をするんだ?」
「洗濯物をたたむのを…あ、何でもないわ。お前にやらせたら興奮してしまうからな」
「なんでだよ。あ…」
人の下着触るとか変態だよな。しかも男が女のを触るなんて。
「気づいたようだな」
「なんだよ。悪者みたいに」
「まあ、部屋に戻ってくれていいぞ」
「ああ、手伝えることがあったら何でも言ってくれ」
「わかった」
まあ部屋に戻るか。今日はそろそろ寝るかな。
「あ、お兄ちゃん。お帰り」
「ただいま」
「俺はもう寝ようかな?」
「じゃあ私も寝ようかな。おやすみ、お兄ちゃん」
「おやすみ」
そうして眠りにつこうとしたその時、一人の少女が部屋を訪れた。紅葉かと思い、部屋に入ることを許可した。
「翔」
その少女は都逢ちゃん!?
「ど、どうしたの」
だが黙ったままだった。
「雷?」
外は雷が鳴っている。
「怖いの?」
「怖いわけないでしょ!翔が怖いかと思ったから来てあげたのよ!い、一緒にトイレに行ってあげるわよ」
「はいはい」
「何よ!」
「風呂の時はあんなことであって…部屋には月咲もいないし........」
「何か言った?」
「なんでもないわよ」
ふぅ。意外だな。雷が怖いなんて。怖い物なんてなさそうなのに。
「翔。いる?」
「ああ、きちんといるよ」
あんな弱弱しい声なんて聞いたことがないな。
「翔は一人で眠れないでしょ?だからこの私が寝てあげる」
「なんでそうなるんだよ」
「私の…見たんだから責任とってね」
そう言って布団に入ってきた。
「なんで俺のなんだよ」
「紅葉はもう寝てた。ルナとミミは一緒に寝てるからスペース足りない。月咲はまだ寝ない。だから!」
犯罪じゃないよな?そう思ったが一緒に寝てしまった。
と思ったが妹以外の女性と寝たことがない。同じように寝ては失礼だろう。まあ近くに入ればいいんだし、床で寝ればいいかな。
「じゃあ俺は都逢ちゃんの部屋に布団を持って行って寝るからそれでいい?」
「そ、それじゃあ翔が怖いでしょ?」
「怖いのは自分だろ。そろそろ認めろよ」
「うぅぅ。そうよ!雷が怖いのよ悪い?」
「そこまで言ってないだろ?」
まあ仕方ないから俺の布団で眠らせることにした。明日の朝、月咲にロリコンとか言われそうだな。まあ事情を説明すればいいか。
「もう朝か........」
「翔…そこはそうじゃないでしょ~」
そうだった。都逢ちゃんが隣で寝ているのだった。
「ん?なんだ寝言か」
「朝だよ。起きて都逢ちゃん」
「わ、私の布団で何してるのよ!」
「な、何もしてないよ」
「あ、私がい、い、一緒に…って言ったのよね」
「翔はどうも思わないの…」
そんな言葉は翔には全く聞こえないのであった。
「あ、俺は着替えるからもう戻ってくれ」
「え?うん」
都逢ちゃんが部屋を出て行ったのを見てから俺は着替えた。
着替え終わった俺は部屋を出るときに月咲に捕まった。
「今、都逢がお前の部屋から出ていくように見えたけど、何をしていたんだ?」
「雷…都逢ちゃんが部屋にきて…」
「あ、昨日は雷か。いつもは私と寝ているが昨日はすこし遅くなってしまったからな」
「え、うん」
月咲からは『ロリコン』とでも言われると思っていた。その答えは予想の斜め上だった。
「まあ、あいつは苦手なものも少なくはないからな」
その会話をした後顔を洗い、リビングに向かいがてら都逢ちゃんの様子を見に部屋に訪れた。
「都逢ちゃん。いる?リビング行くよ」
都逢ちゃんを呼んでからリビングへ向かった。
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