第9話 ようこそ○○寮

寮の扉を開けそこにあったのは、ようこそ!〇〇寮へ!という文字があった。

「この寮は〇〇寮って言うんだ。初めて知った」

「あれ?言ってなかったっけ?」

「聞いてないな。なんでか知ってる?」

「知らないよ。月咲が教えてくれないの」

「そっか」

適当につけてそれが申請通ってしまったってことだろう。

「お兄ちゃん!こんな風にお兄ちゃん以外にされるのって久しぶりだね!」

「まあそうだな」

こんな風にされるのって俺らが小学生の頃が最後だったかな。確か俺が小5、紅葉が小4くらいだったかな。

「しょうにー。手を洗わないと!」

「あ、ごめん。ごめん」

「ほら!翔!こっち」

「はい、はい。待って」

あはは小さい子に注意されちゃった。まあしょうがないか。俺らは手を洗い、リビングに向かった。そこではごちそうが大量に用意されていた。それは半分くらいは出前だろうか?それと、手作りのものも多いみたいだ。紅葉も結構料理ができたが、豪華なものを作ることはできなかった。

「おー!めちゃくちゃうまそうじゃん!月咲!食べていいの?」

「まだ駄目だ!もう少し待っていろ」

「ちぇー。はいはい」

都逢ちゃんがつまみ食いをしようとするのをミミちゃんが止めていた。そこで都逢ちゃんはうるさいと言いかけたのだろうか、ルナが鋭く睨みつけていた。

「私たちはどこに座れば…」

「それなら、そこの席に座ってくれ」

「あ、俺も?」

「当たり前のことを言わないでください」

そう言われ俺と紅葉は席に着いた。その後すぐに都逢ちゃんたちが席に座った。

「〇〇寮にようこそ。今回は二…」

「月咲!そういうのいいから食べようよ!翔、良いよね?」

「ん?ああ」

「それじゃあ食べることにするか。いただきます!」

「「「「「いただきます」」」」」

きちんと食事のあいさつをして食べ始めた。最初は、あれ取ってぐらいでしか喋らなかったが、ある時都逢ちゃんが話しかけてきた。

「翔はさ、なんでこの寮に入ったの?」

「月咲に誘われたから」

「ふ~ん。月咲、ありがとうね」

「しょうにー、それ取って」

「わか…」

「え?ミミ?今なんて言ったの?」

「しょうにー。それ取ってって…」

(妹に何かした?)

(何かってなんだよ)

(妹がそう簡単に人と普通に喋るようになったりはしないのに。もしかして、お菓子とかで釣りました?)

(お菓子は買ったりしたけど、釣ったってわけじゃないよ)

(そうですか。それ以上の関係にはならないでくださいね)

(わ、わかった)

これがシスコンってやつなのか?重度なのか俺にはわからない。

「ルナ、何話していたの?」

「なんでもないよ」

「じゃあいいや。翔」

「なんでもないよ」

「翔までそうやって言う!気になるよね、ミミ?」

「お姉ちゃんとしょうにーが言わないならいい」

「紅葉は?」

「私も別にいいかな」

「じゃあしょうがない。月咲?」

「しょうがないとはなんだ!」

「ご、ごめんなさい」

「まあまあ今日は怒らないでください」

「あ、ああ。そうだな」

そのあとしばらく楽しい会食が終わった。あと少ししたらケーキを出すって月咲言っていたので、ルナ、紅葉、ミミ、都逢の4人は喜んでいる。ルナは、お姉さんはケーキくらいじゃ喜ばない。と小さい声で言っていた。

「あんま、無理するなよ」

「はぁ?無理なんてしてませんけど?」

「本当はケーキが出るからうれしんだろ?」

「お姉さんな私はそれくらいじゃ喜びません!」

「そういえば、ルナも知らなかったのか?ケーキがあること」

「スルーしないでください!はい。私も知らなかったです」

「そうなんだ」

「みんな、先に風呂はいちゃうか?それとも、ケーキを食べてからか?」

「私は後で」

「んー、じゃあ後で」

「今すぐ食べたい!」

「ミミも先がいい」

「翔はどうする?お前の意見で決まるのだが…」

風呂が先でもいいし、ケーキ…

「月咲が決めてくれ」

「私はどっちでもいいが」

「お兄ちゃん!どっちがいいの?」

「じゃあ楽しみは後に取っておきたいから後からがいいんじゃないかな?」

「しょうにー。いいと思う!」

「翔がそういうなら別にそれでもいいけど」

「誰が一番に入るの?あ、お兄ちゃん、久しぶりに一緒に入らない?」

「も、紅葉!?お、お、男の人には、は、裸を見せるんだよ?」

「だってお兄ちゃんだから」

「お、お兄ちゃんだからって…つ、つ、月咲は駄目だと思うよね?」

「なぜお前は焦っているんだ?」

「焦っていないわよ!」

なんだが紅葉の一言発言しただけで空気が変わってしまった。俺も悪いのかな?

「まあ、まあ、俺は一人で入るから」

「残念だなぁ~。じゃあ都逢ちゃん一緒に入ろう!」

「ミミは私と一緒に入ろうね」

「うん」

「あ、月咲さん。一緒に入りませんか!一人ってのもさみしいですよね?」

「狭くないか?」

「大丈夫ですよ」

「順番決めるぞー!」

「あ、俺は最後でいいよ」

あっちでみんな順番を決めているみたいだ。と思ったらすぐに勝敗は決まった。月咲たち3人が勝って紅葉たち2人が負けたようだ。

「じゃあ俺は部屋で本でも読んで待ってるわ」

「私もお兄ちゃんの部屋に行きたい!いい?」

「うぅ。じゃあ私も!翔!いいよね?」

「2人ととも別にいいけど」

「お、翔の部屋に行って襲われるなよ。2人とも」

「お、襲わないよ」

月咲は顔色一つ変えずに言ってくるからそれもそれで少し怖い。まあ大抵は冗談で言っている。

「それじゃ、俺の部屋に行くか」

「うん」

「そ、そうね」

そう言って3人で俺の部屋に向かった。

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