第16話
あ、やばいまた思いふけっていた。
クーホンさんと目が合えば、にやっとする。わざとだと思う。
きっと僕から打ち明けてほしいんだ。でも僕が打ち明けられないのは、クーホン班長達に迷惑を掛けない為だから出来ない。
あの人達は、本当に消しに来そうだから。
「あの、僕村の中、見て回ってきてもいいですか?」
僕は立ち上がり聞いた。
だっていたたまれないから。クーホン班長にほだされそうだ。
「あぁ。気が済むまでな。気を付けてな」
「あ、はい。では行ってきます」
僕は、集会所を出ると走ってその場から離れた。
はぁ……。もしかしたら、クーホン班長達とは離れた方がいいのだろうか。思えば、僕が召喚の事を話したかどうかなんて、わからないよね。
変な話、一緒に召喚された彼らを使って殺そうとしてくる事もあり得る。あの時はまだ操られてはいなかったけど、魔法でそういうのがあったらヤバそうだ。
この世界は、スキルや魔法の影響力が強いみたいだし。
あ、あれは木の柵。
走るのをやめて、てくてくと歩いていると柵が目に入った。
あれも鑑定してみるかな。どんな仕組みかわかるかもしれないし。
僕は、好奇心に勝てなかった。もし自分でも作れそうなら作ろうかな。なんて。
髪の毛を抜き手に握ると、右人差し指でちょんと柵に触れた。
――――――――――――――――――――――――――――――――
ネーム:瘴気吸収変換装置 種別:魔道具(常時発動型)
概 要
専用のアイテムで魔力を移す事が可能。
――――――――――――――――――――――――――――――――
「え! マナ!?」
瘴気ってマナなの? この世界の人間は、マナのままでは使えないって事か。
それよりこれ、結界じゃなくて魔力を作る装置だ。そうか。瘴気が薄くなるから周りには、モンスターは発生しない。だから結界だと偽って設置したんだ。
この世界の錬金術師はしたたかだな。きっと作ったこういう物を鑑定するという習慣とかないんだろう。
開発したのは、昔の錬金術師だとしても今も管理しているに違いない。とすれば、魔石の代わりとして魔力を手に入れる方法して今も使用しているばず。
定期的に回収しに来ている? それとも送っている?
とりあえずは、ここら辺はマナが少ないって事だ。この世界の人間に影響がなくても僕にはあるから問題だ。まず攻防の軍手が使えない。いや自身の
まあ創作自体できるか試してみないと何とも言えないけど、使えるんだから出来ると思っている。ただし、創作ってやみ雲にやっても出来ないんだよね。作りたい物とそれの材料がマッチしないとダメだ。だからこの世界のレシピを知らない今は、手探りで作るしかない。いや、それだと効率が悪いよな。
ここはやっぱり、『分析』かな。
分析は、鑑定とは違いそのアイテムの
と言っても村には、アイテム屋とか装備屋みたいのはなさそう。この手で触れられれば鑑定出来るのだから、こっそり街に行ってみようかな。
クーホン班長のステータスを見て思ったけど、馬車と同じ速さで走れると思う。
召喚されて街に向かっていた時は、ゲーム内だと思っていたから速くても何も感じなかったけど、それぐらいの速さで走っていたはず。
……え? ちょっと待って。じゃもし、一般的な人の走る速さだったらその日のうちになんてたどり着けていない。
あの道では、誰とも出会わなかった。お金は渡されたけど、食べ物は渡されなかった。それって、生かす気なかったって事?
そうだ。モンスターにも出逢ったんだから。
もしモンスターに殺されないにしても、何も食べずに歩き続け街に着くのは不可能とは言わないけど、それに近い。しかも夜は真っ暗闇。その時間は、普通歩けないだろう。見た目僕は子供だったわけだし。たどり着く前に死ぬ!
発見された時に魔法ギルドの通行証を持っていれば、ギルドに連絡が行くだろう。そうなれば、死んだと確認が取れる。あの通行証って、その為に渡されたんだ!
あぁ魔法ギルドに行ってしまったけど、僕がたどり着いた事バレてないよね?
街に戻るのはダメだ。どうしたらいい? このままクーホン班長達と一緒に居て大丈夫だろうか。
僕だけならなんとかなる。アイテムで底上げしたステータスだけど、この世界の人間よりは強い。魔法をレジストできる。けど、クーホン班長には無理だ。攻撃を受けたら一発で死ぬかもしれない。
この世界の魔法の威力がわからないからなんとも言えないけど。
けど離れたからと言って、クーホン班長達が安全とは言えない。僕と一度共に居たとなれば、口封じされる恐れがある。
あぁ、なんでもっと早く気づかなかったんだ!
お眼鏡にかなわなかったようなので、戯れてもいいですか すみ 小桜 @sumitan
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