7,ヒノヒカリ

私は運動(といっても庭にいくことだが)の許可が降りるまで一週間かかった。


話を聞くとバサラブさんが止めていたらしい。


嫌いだっていっていたから嫌がらせだろうか。


この一週間、部屋の中をぐるぐるまわり、しかも歩きすぎるとすぐにミルに止められる。


ひたすら読書をし続ける日々だった。




ここで、私が学んだ知識を紹介を披露しよう。


この世界は剣術が命。


まぁ、それはサナもいってたけれど。


昔は魔術もあったらしいけれど、魔術を使った事件が起きて以来禁忌となっているらしく、もしもっていても誰にも明かさないらしい。


今の国のトップ、つまり王様も先祖が剣術に優れているからついているって話。


剣術のレベルが高いと王族に養子にとられることもあるらしく男子は皆全力で鍛練するそうだ。


ん?私剣術マックスにしてもらったなぁ。


もしかしたら今国で一番強いんじゃね?


けど、体力が破滅的にないんだよなぁ


まぁ、何とかするしかない。


そこはまだ六年あるからね。




まぁ、それでこの国について話をもどす。


この国の名前はハメド。


初代国王の名前からそのままついた。


人工は50万ほど。


東京とかよりも少ないっておもうと小さな国だよね。


けど、剣術や武術のレベルが高いから他の国から攻められることなく平和に過ごすことができるらしい。




ちなみに私はバリバリ剣術をするつもりでいるが、通常女性は家庭にいることが当たり前。


薬学について、まぁ、日本ほど進んでるわけじゃないから薬草とかの知識ぐらいだけれどそれが身に付いていると格が高いとか。




「…さま」




そうだ!剣術学びたいことバサラブさんに伝えなきゃ。


あれから一度も会えていない。


ルーナとも全然話すことができてないし。


あれ?その前にひとり足りなくない?


兄弟二人だったはずだよね?




「…ヤさま」




弟の名前なんだったっけ?


ハヤトとか?


いや、そんな日本名な感じじゃなかったなぁ


もっと恐ろしい感じの。


名前から感じる負のオーラ全開な感じの…。 


サ、サ、サ…




「そうだ!サバトラだ!」


「アヤ様!人の話をお聞きください!!」 




ミルが目の前で激怒していた。


こりゃ大変。




「すみません」


「そして、サバトラではなくサバトでございます」




…。それですね。


サバトラとか、鯖虎ぜったい組み合わせないやつですね。


美味しくなさそうだし、鯖がメインか虎がメインかわからないし。


え、待って。


顔が鯖で体が虎って気持ち悪…いけどゆるキャラになりそう。


…うそです。やっぱり変でした。




「アヤ様、話きいてました?」




「え?あ、うん。」




「何て言ってました?」


「その組み合わせは危険」


「一体何の話ですか?!


それより、庭に出る許可、降りましたよ」




まじでか!!


やった!久しぶりの外だ。


いや、学校があったころは毎日外いきたくない。


一生家でゲームだけをして生きていきたいなんて考えたこともあったが。


外がこれ程恋しいものだとは。


失って初めて気づく感動だな。




「じゃあ…外いこ」




私はベッドから降りる。


ミルに手伝ってもらいながら服を着替える。 


寝間着以外に着替えるなんて何週間ぶりだろう。


白色のワンピースに藍色のリボンをつける。


ワンピースだけだと貞子みたいだしね、髪色違うけど。


残ってるブロンドの髪を使って白との編み込みを作る。


うん、こうすると可愛いかも。


前世の私ショートヘアだったからな。


部活の都合でどうしても髪が長いと大変だったし。


こうやって髪をあそぶのは結構楽しいかも。


ミルは自分にやらせろって怒ってたけど。




ミルの手をとり、部屋をでる。


お風呂の時にしか通らなかった廊下をつたい外にでる。


おかしい。この屋敷には私たち以外にも彼らや、使用人がいるはずなのに。


誰ともすれ違うことがなかった。


今日は外に出ることに専念して、後日考えるか…。




「こちらです」






部屋から5分ぐらい歩いただろうか。


私の今の体力のせいで時間がかかったのかもしれない。


やっと、外にでるドアにたどり着いた。


ミルがドアをあける。


隙間から光が差し込む。


この世界にきて初めて太陽の光をあびる。


明るい世界に目を細める。




「…きれいだ」




そこにはきれいな庭が広がっていた。


中央には大きな噴水。


回りには色とりどりの花が広がっていた。




「ミル」


「なんでしょう、アヤ様」




「少しひとりにして、そんなに遠くにいかないから」




ミルはなにも言わずドアのそばから動かなかった。




私はひとり足を踏み出す。


久しぶりに地面を踏む感覚を思い出す。


中央の噴水に向かって歩き出す。


まわりにはいろんな花、そして虫がいる。


この場所はなんて美しいのだろう。


ゆっくりと前にすすむ。


太陽の光がくれる熱が心をあたたかくする。


噴水の水に手を触れる。




「…冷たい」




ひんやりしていた。


私はこの家にきて少し寂しかった。


けど、この空間は全てを隠してくれる気がする。




「あの花は…?」




噴水の奥に小さく咲いている花を見つけた。


これって…




「面影草」




これは私の家の家紋だった。


今思い出したくなかったな。




次の瞬間、私は倒れた。

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