1.次の世界へ
私はどこかにいた。
白でもなく透明でもなく、言葉であらわすことができない何かが広がっている。
この場所がどれだけ広いのか、それとも動けないほど狭いのかそれも分からない。
ただ自分が確信しているのは
死んだということだけ。
「こんにちわ、綺さん」
私の前にどこからか現れたのは光る何かだった。
「クリオネ・・・?に似てるけど違うな」
とても小さかったそれは私の知識の中ではクリオネに一番近かった。
違うということはわかるけど、他になんて説明していいのか分からない。
「クリオネじゃないよ。僕はね、神様だよ」
男なのか女なのかも分からない声だった。
彼(彼女かもしれない)はそう笑いながら告げてきた。
こいつか、私を殺したのは。
人の人生終了させた奴は。
「ひ、ひどいなぁ。神様に失礼だぞ?」
人の心の中を読むんじゃありません。
プライバシーの侵害にもほどがあります。
そして私の周りをぐるぐるしないでください。
「で、まず最初に、ごめんなさい」
私の正面に立った彼は唐突に誤ってきた。
全然反省してる様子が伝わってこない謝罪をされた。
私が神様に謝罪される理由は一つぐらいしか想像できない。
いや、まさかねぇ…。
「間違えて、殺しちゃった」
よし、犯人確定だな。
車の運転手の人の人生も道連れにして最悪だな。
人の人生勝手に終了させるんじゃないよ。
私の人生まだ途中なのに勝手にデータ削除されたら困るよ。
わたしというキャラ勝手に運営に返還してんじゃないよ。
「すごいぐらいに説明が二次元チックだね…。」
ものすごく呆れられた気がする。
人の人生軽いノリで消した奴に呆れられたくないよ。
「あ、それでそれで!お詫びに君を君の大好きな世界に飛ばすことになったよ!」
・・・は?
大好きな世界?
それって、勇者様が戦っている、あの世界?!
「いわゆる異世界に転生ってやつだね!
そのままで行くのが嫌だったら色々調整して上げれるけど何かある?」
ど、どうしよう。
本当にこんなことって起きると思わなかったから、何も考えてなかった。
と、とりあえず剣術と魔術のスキル上限にしておいてもらおうかな。
そうすればすぐ勇者の役にたてるし、武器回収しやすいし。
あとあと、体力も覚醒第二段階ぐらいまでにしてもらおうかな。
覚醒第四まであるけど、どの段階にしておくと伝説キャラみたいになっちゃうからな。
あ、魔術に追加で全属性しよう可能にしておいてほしい。
あとはね
「ちょっとまって!!」
あ、こんなには足せないのかな。
どうしよう、何を削ろうか。
「そ、そういうことじゃないけれど。
そこまでにしておこう。
多すぎるよ、いくら何でも」
神様なんだからそのぐらい可能にしてほしいものだ。
だけど彼の頭あたりから汗のマークがすごく出て来てるからきっと大変なんだ。
君の方が二次元みたいになってるよ。
存在が二次元状態だよ。
そうか、勇者と同じ世界に行けるのか。
始まりの村からの合流キャラなのだろうか。
途中で合流するキャラに転生するのだろうか?
もし峠の付近から合流するキャラだとしたらもう少しレベル上げてもらった方が良かっただろうか。
だけど、強すぎると勇者のレベル上げを妨害してしまうことになるかもしれない。
そう考えるとあれぐらいが妥当なのか?
「人の話、いや神様の話きいてたかなぁ?」
あ、全然聞いてなかったけど、まぁいっか。
大丈夫です。あのゲームガチ勢だったので。
「ほ、ほんとかなぁ。
まぁいいけど。
それじゃあ今から飛ばすけど気を付けてね。」
気を付けて?
ということは途中の村かな?
始まりの村は治安がいいはずだし。
いくらレベル上げてもらったとはいえ、さすがに使い慣れるまでは聞けんだろうし。
すごくドキドキしてきた。
「最後に、もう一度説明しておくけど。
魔術は禁忌だから気を付けて使ってね。
それと何かあったら夢の中ではサポートできるからよぶんだよ?」
魔術が禁忌?
いや、普通にあの世界は魔術が使えるはずだぞ?
魔術、憧れだったからたのしみだなぁ。
サポートなくたって地道にレベル上げしてみせるぜ!
「それじゃ、ハッピーエンドに向けて頑張ってね」
ハッピーエンド?
まだあのゲームは完結してないから何が正解か分からないよ?
まぁ、悪の道に進むなよってことか。
神様が気づけば目の前からいなくなっていた。
私、次の人生は絶対楽しんで見せるんだ。
私の今までの人生のような後悔をしないように。
私はどこかの落ちていく感覚がした。
どんどん意識が消えていく。
次の世界は、幸せに。家族と共に幸せに。
そして勇者と共に世界を…まもって…みせ…。
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