第7話
馬に跨ったジョーは脇目も振らず南の街道へ向かった。
これは時間との勝負だ。時間を掛ければ掛けるほど、カーチスの逃げ道が増えてしまう。
「おいっ、ちょっと待てよ!」
町を出る頃になると、赤髪がジョーに追い付いた。
「あの野郎の言うこと信じるのか?」
「そうなる」
「なんで?」
ジョーは「言わなきゃわからないのか?」と言わんばかりに赤髪を一瞥し、ややおいて口を開いた。
「恐らくあの領主の考えだ。自分以外の駒になる可能性があるのなら、せいぜい潰し合えという事だろう」
「お互い信頼は出来ない。けど利害は一致してるってわけか」
「現状ではな。それに、話の真偽はすぐにわかる」
遠くで種のように散らばっている人影。しばらく馬を歩かせて近づくと、死の臭いが漂ってきた。
少なくとも、検問を突破した集団がいるというのは事実らしい。
輪郭がハッキリするような距離になると、ドン・アラゴギャング―――彼らに言わせれば探偵社らしいが―――のメンバーらしき男が声を張り上げた。
「それ以上近寄るな! 迂回して進め!」
「なにがあった!」
ジョーが叫んで尋ねた。
「お前らには関係ない! 失せろ!」
今度は持っていたライフルの銃口を向けてきた。声色からも、苛立ちが伝わってきた。
「腹立つ奴らだ。ぶち殺してやろうか」
「仲間を殺されて気が立っているだけだ。相手にするな」
何者かにメンバーが殺された。同胞を殺されたという怒りもあるだろうが、それだけではない。そんな事実が広まる事態は、恐怖で民衆を押さえ込んでいるドン・アラゴギャングにとっては不都合な事態なのだ。
ここまでしている以上、検問所が攻撃されたのは事実。そして恐らく、キル・カーチス率いる部隊は南へ向かった。
人の森がある南へ。
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