23.6

 昨日のこともあって、今日の外回りでは帰りがけにヤンにケーキを買った。勿論使用人達への土産にもしたが、皆喜んでくれて良かった。意外にも、料理人達がとても嬉しそうに食べてくれた。何でも、しっかりとした食事は作れても、菓子はまだ上手くいかないことがあるのだという。以前に作ってもらったレープクーヘンがとても美味しかったから、上手くいかないというのは俺には分からなかった。しかし、彼らには彼らの矜持があるのだろう。


 もしルッツが菓子作りに興味を持ったとして、俺が教えられることはごく少ない。ヤンは菓子作りも上手いから、ヤンの方が師に向いている気がする。恥ずかしながら俺は、生焼けか焦がすか、焼き加減が上手くいっても妙に粉っぽくなる。計量はしっかりやっているつもりだが、きっと俺が料理そのものを楽しめていないからなのだろうと思う。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る