24.6

 ルッツは俺が抱っこすると泣き止むようになった。お腹が空いている時やおむつが汚れている時はいくらあやしても泣きっぱなしだが、そうでなければ大人しくなる。ヤンが言うには、どうやら俺が即座に反応するから、泣けば来るのだと覚えたのかもしれないということだった。賢い子だと思う。

 ルッツの生き方はルッツが決めるものだと思ってはいるが、やはり希望はある。いつまでも子供のように純粋で、ヤンのように優しい心を持って、多くのことに興味を持って接する子に育ってほしい。俺が親としてやりたいことは、ルッツは唯一の存在だと、俺とヤンにとってかけがえのない存在なのだと伝え続けたい。自分の命を、人生を軽んじることのないよう、それだけはしっかりと教えたい。俺と同じ失敗はして欲しくない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る