25.3

 本棚を整理していたら、昔書いた日記を見つけた。当時はまだエドやダグと出会う前で、自分も随分大人しい性格をしていたと記憶している。

 あの頃は学校でもうまく馴染めず、周りが友人を作っていく中俺は一人でいることが多かった。話せないわけではなかったが、放課後に遊びに誘える人はいなかった。エド、ダグと友人になれなければ、俺はずっとひとりだったのかもしれない。それに限っても、二人には感謝が尽きない。


 途切れる前の頁は、日付がヤンと会う前の日になっていた。ヤンの看病で日記どころではなくてつい忘れてしまい、そこからなんだかんだと書かなくなってしまったのだ。書いておけばと思わないでもないが、日記に残さずともヤンとの日々は忘れ難く、またずっと覚えていたいものだ。二人で旅をしたこと、結ばれたその時、結婚式の日、新婚旅行での一週間。そして、俺達の家族が生まれるその日もまた、忘れられない一日となるのだろう。考えるだけでも幸せな気持ちになるのだから、その日を迎えたらどうなるか、自分でも分からない。早く会いたい。無事に、生まれてきてほしい。

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