19.3
テオのおかげで書類仕事が早くに終わったから、午前中に家政婦達の話を聞くことができた。テオドールには落ち着かなさを指摘されてしまい、少し居た堪れなくなった。幼馴染のようなものだからある程度は分かるのかもしれないが、ヤンと子供のこととなるとより分かりやすいとまで言われてしまった。気恥ずかしいが、事実なので何も言えない。
家政婦に話を聞くと、そこでもまた笑われてしまった。ヤンには出来るだけ負担をかけたくないと相談したのだが、ヤンも同じことを言っていたらしい。自覚はないが、第三者から見ると俺とヤンは似たもの同士なのだという。
苦労したのは、子供の夜泣きと彼女達自身が病気になった時らしい。両親と共に暮らしていたり近くに親戚がいれば良いのだが、出稼ぎに来ている、または夫の実家であるというと不安もあったようだ。また、夜泣きはそれ自体も大変だが、翌日も朝早くから仕事に出る夫を起こしてしまうとも。決して誇れることではないが、睡眠時間を削るのには慣れている。しかし、改めて覚悟をしておこう。
ただ、子供のことを話す彼女達の表情は、揃って嬉しそうだった。苦労もあったが同時に幸せでもあったという。いつか、俺達がそうして誰かに話す時が来たら、彼女達と同じように幸せだったと胸を張れるようにしたい。
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