15.3
ヤンの提案で、ヤンに手紙を書くことになった。なんでも、俺が得意先に出しているのを見て自分も欲しくなったのだという。書き上げたら、テオドールを経由してヤンに届けられるらしい。こういうことに乗ってくるあたり、テオドールはやはり爺さんの孫なのだと感じる。
何を書こうか。今の自分がヤンに伝えたいこと。やはり感謝と愛は外せないだろう。今伝えるべきは謝罪じゃない。それは態度で示すべきものだ、と俺は思う。毎日のことは勿論、出会ってくれたこと、ずっと俺の隣にいてくれたこと。ヤンと家族になれた、家族を作れる喜びも、これからも一緒にいて欲しいことも伝えよう。
せっかくだから、手紙には先日買った香水の香りを纏わせようか。ひと月ほど前、ヤンと買い物に出た時に立ち寄った店で、俺に合いそうだと言っていた香水を、こっそり買っておいた。ヤンは気付いてくれるだろうか。
そういえば、ヤンと買い物に行けていない。時間を作って、町へ散歩に行くのも良い。歩くだけでも、適度な運動はヤン自身にもお腹の子にも良いだろう。なによりヤンは体を動かすこと自体嫌いじゃないようだから、大人しくしている今不満足でもおかしくない。普段から出来るだけ家事の手伝いなどしてもらって発散できるようには心掛けているが、たまには外で過ごすのもいい。テオドールに頼んでみよう。
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