12.3

 変わらない日々が、幸せだと思う。

 こんな風に思えるようになったのはいつからだろう。ヤンと思いが通じ合う前も変わらない毎日が楽しくあったが、今考えると幸せだったと言えるものの当時の自分がそれを幸せだと認識していたかというと、微妙なところだ。


 あの頃の俺は、ヤンには絶対に幸せになって欲しいと思いながら、自分がそれを成そうとはしなかった。俺にはそれを叶えるだけの力が無い、ヤンには俺なんかよりずっと好い人がいる筈だと考えていた。俺はただ、逃げていただけなのだ。自分が傷つくのが怖かっただけの、臆病者でしかなかった。

 今だって、それだけの力があると胸を張って言えるわけではない。ただ、俺に出来ることはすべてやると、叶わなければ誰かに協力を求めることもしていいのだと、そう思えるようになった。


 一度、昔のことをゆっくり振り返る時間を作ってもいいのかもしれない。明日の仕事を早く終えられたら、温めたミルクでも飲みながら、思い出し、反省し、次に繋げよう。今を、未来をより良くするために。

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