8.3

 仕事中、ヤンが庭を散歩しているのが窓から見えた。つい目で追ってしまい、テオドールに叱られた。

 最近のヤンは、子供のためにと軽い運動や健康的な食事に特に気を遣っている。ヤンもまた会える日を楽しみにしているのが分かって、嬉しく思う。


 俺にとって、ヤンにとっても初めてのことばかりだから、きっとテオドールやヘレナ達に頼ることも多くなるだろう。今のうちに、休みを多めに与えることも考えなければならない。

 子供が生まれるまで、生まれてからもきっと忙しくなる。幸せなことだが、不安もある。最初から完璧な親などいないことは分かっている。それでも、ヤンにもその子にも使用人達にも不自由はさせたくない。俺にできる全力を尽くす。絶対に、皆を幸せにする。それが当主として、夫として、父としての俺の役目だ。


 その決意をヤンに話したら、根を詰めすぎてもよくないと言われてしまった。勿論俺にできる努力はするつもりだが、肩に力が入り過ぎないようにしたい。頑張りが過ぎれば周りに心配をかけるのは、俺自身十二分に知っている筈だ。

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