3.3
過ぎてみれば、この三日間もあっという間だった。母があまりに寂しそうな顔をしていたから、またいつでも来て欲しいと言ったら、笑って帰ってくれた。父も、嬉しそうにしてくれていたと思う。
次は、俺達が遊びに行くのも良いかもしれない。
テオドールには予定通り両親の付き添いを頼んだ。案の定家を放っておけないと言ってきたが、手紙と土産を届けるのを任せたいことと両親が長旅で何かと不便だろうから、そして俺ばかり家族と団欒していては申し訳ないからと伝えると、ようやく向かってくれた。
不安そうな顔をして出て行ったが、一方で心を躍らせているように見えたのは、きっと勘違いではないと思う。
両親と同じ、三日間の滞在を許可した。短く感じるだろうが、ヴァルターの手伝いでもしながら、ゆっくり語らって欲しい。
ヘレナには相談済みだ。快く送り出してくれたから、彼女もテオドールを案じていてくれたのだろう。テオドールもまた屋敷に残るヘレナや従僕達を心配していたが、使用人としてはヘレナの方がずっと先輩だ。それに、テオにも羽を伸ばす時間が要るだろう。勿論、他の者にもそういった時間を設けよう。誰にだって息抜きは必要だ。
使用人達を含めて、大きなひとつの家族のようだと思うことがある。個人を尊重しつつ、互いを助け合う。そんな関係を、これからも続けていきたい。
果たして彼らはそう思ってくれるだろうか。気になりはするが、敢えて口に出して尋ねるものでもないのだろう。この思いは、俺の中だけに留めておくことにする。
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