März

1.3

 父も母も、見た目こそ白髪が増えて老けはしたものの、変わらず元気そうで良かった。

 長旅で疲れたと言いながら、少し離れただけで懐かしく思うと屋敷中を見て回っていたから、今晩はゆっくり眠れるだろう。


 ヴァルターは留守を任されているという。テオドールが少し寂しそうにしていたから、二人が帰る時に付き添いがてら向かわせよう。俺が父と話したいのと同じように、テオドールもきっと祖父と話したいだろう。

 そうしたら、土産と一緒にヴァルターへの手紙を持たせようか。テオドールのおかげで助かっている、今のホフマンがあるのは彼らのおかげだと。ヴァルターはヤンやヘレナの教育係も務めていたから、二人の様子も気になっているかもしれない。こちらの状況は、出来る限り伝えてやりたいと思う。


 母はヤンと何やら話していた。以前、ヤンの憧れは母のような親になることだと聞いた。母も、ヤンは優しいから良い母親になれると言っていた。傍から見ていると、二人こそ親子のようだ。

 将来、ヤンも怒ると怖い母親になるのかと思うと、楽しみなような恐ろしいような、複雑な気持ちだ。


 ヤンはいつも家の仕事を手伝いたがるが、明日は手伝いをさせないようにとヘレナに頼んだ。ヤンは俺の両親を実の親のように思ってくれている。ゆっくり話をして欲しい。

 午前中はどうしても仕事があるから抜けられないが、せっかく遠いところを来てくれたんだ。昼過ぎまでには一段落つけて、午後は共に過ごしたい。

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