幕間 2
――幕間――
「これ、必要か?」
阿刀田傘がしかつめらしい顔をした。
「まあ、いちおうねー」
微塵も誠実さを感じさせないなおざりで、
「君は心がどこにあると思ってるんだい?」
「この無駄な脂肪の中だろ」
阿刀田は自分の胸部を持ち上げて言う。こいつには羞恥心がないらしい。
「よく解ってるじゃない。もちろんそのおっぱいだけじゃなくて、その体すべてが心だよ」
「それで?」
「それで? なにそれ、疑問? 体を借りるなら心も一緒に。そういうことだよ」
理紫谷円子は言う。阿刀田はすこし『むっ』としたようだったが、なんとか飲み込んだらしい。
「そういえばお嬢ちゃん。答えは出たのかな?」
猫なで声を一割混ぜたような気味の悪さで、円子は突然言った。
疑問を投げかけられた阿刀田は、大きく息を吐く。たぶん、怒りを鎮めていた。
「『後悔先に立たず』」
「あっそう。いいよ。及第点」
もうあまり時間がないというのに、大丈夫だろうか? それは俺が心配することではないけれど、そう思うくらいしかやることがなかった。いや、もうひとつ心配事がある。
俺自身がなにかを知っているわけではないけれど、阿刀田傘、おまえはこのプロジェクトの全容を知ったら、いったいどうするのだろう?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます