幕間 1

 ――幕間――




 七月三日(




「これが久米方もがみの一日だ。彼女にとって特別でもない、ごくありふれた一日」


 理紫谷りしたに円子えんこは言う。


「……本当に、こんなんでいいのかねえ」


 おっさんは言った。どちらでもよさそうな無関心で。


「『こんなん』だからいいんだよ。だからこそ根幹とすべき価値がある。『瓢箪から駒』と言うだろう?」

「そりゃあんたの座右の銘だろ」


 俺はついつっこんだ。


「君はどう思う? あめ


 円子は彼女を指差して言った。


「さ」


 天は至極端的に呟く。「さあ? どうせ私の意見なんて、聞こうとも聞き入れないのだから、どうでもいいじゃない?」と言いたいようだ。俺も同感である。


 どうせ俺たちは住む世界が違う。それは心理的な違いだけれど、はたして。




 はたして、久米方もがみなら、本当に物理的に、違う世界があることをしたら、いったいどうするだろうか?


 俺はふと、考えるのだった。


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