第2話事故紹介
「ぴぴぴ、ぴぴぴ、ぴぴぴぴ…」
アラームが部屋中に鳴り響いた。
「空ー、起きなさーい。あんたが目覚ましで起きないなんて珍しいわね。もう朝ごはんの準備できてるから早くおいでね。」
母親の節子だった。俺は目覚めはいい方だ、でも今日は違った。なぜなら今日、席替えと自己紹介があるということを考えると楽しみにしてしまい眠りになかなかつけなかったのである。決して笹岡真雪と隣になったら何を話そうとかを考えてたわけではないと言っておこう。
着替えを済ませると目を擦りながらリビングに朝ごはんを食べに向かった。正直まだ眠かったが、いつも通り、パンとスープを頬張った。そして自転車に乗り、学校まで向かった。
教室に入るともうすでに半分くらいの人が席に座っていた。
俺が自分の席の近くに着くと優に話しかけられた。
「おはよう、空、今日は眠そうだな、俺は昨日は疲れてぐっすり寝れたぜ。」
「おはよう、優、そうなんだよ、俺昨日夜全然寝れなかったんだよなー」
「お前さては、笹岡のこと考えてただろう。」
俺は焦って回りを確認した。笹岡がいなかったので少し安心した。
「ばっか、お前近くに笹岡いたらそうするんだよ」
「やっぱ考えてたのか」
優はすごい嬉しそうだった。
「か、考えてねえから」
俺は必死に否定した。その時だった教室に笹岡真雪が入ってきた。俺の目線は笹岡にくぎ付けになっていた。
「空、お前分かりやすいな」
俺は少し恥ずかしかった。
「キーンコーンカーンコーン…」
チャイムと同時に先生が教室に入ってきた。
「改めまして、6組の担任の尼崎新です。担当科目は化学です。よろしくお願いします。趣味は炎色反応を鑑賞することです。一緒に炎色反応を観察したい人は文化祭で楽しみにしといてください。」
いきなり自己紹介が始まった。
「質問はありますか?」
優が手を挙げた。
「先生は何色の炎色反のがいいと思いますか」
笹岡がくすっと笑った。俺はそれを見てにやけてしまったが。周りも笑っていたのでめだたなかった。
「Cu銅の緑色です。他にはありますか」
先生は真面目に答えた。
「ないようなら次、出席番号1番の
「はい。荒木美里です。みさちゃんって中学では呼ばれてました。趣味は運動で中学ではバドミントンをしてました。高校でも続けようと思ってます。一年間よろしくお願いします。」
ちょっとぶりっ子気味だったが可愛かった。
「
「はい。飯田天華です。趣味は読書です。以上です。」
おとなしそうな子だな、と俺は思った。
自己紹介は進み、初めての男子のこの番が来た。
「
「は、はい、栗原です。中学では帰宅部ですが、高校では何か入ろうと思ってます。しゅっ趣味はーえーっと、ゲームです。休日にはよく秋葉原に行きます。あ、アニメも好きです。もしアニメが好きな人がいたらお話しさせてもらえるとうれしいです。」
あまり大きい声ではなかったのでよく聞こえなかったが、少ない男子の一人なので仲良くしたいなと思った。
そしてついに笹岡の番が来た。
俺の番ではないのになぜか緊張した。
「笹岡真雪さんお願いします。」
「はい。笹岡真雪です。中学校の部活動では、バレーボール部に入っていました。高校ではどの部活に入るかはまだ決まっていません。趣味は映画観賞です。一年間よろしくお願いします。」
耳が取れるかと思うような可愛い声をしていた。俺は聞き心地が良すぎてぼーっとしてしまった。その勢いで眠気のピークが来てしまい、寝てしまった。
「おい、空起きろお前の番だぞ」
優の声がした。俺起きたら周りの人は大爆笑した。俺は恥ずかしくて顔が真っ赤になった。
「では春山空さん、お願いします。」
「は↑い」
声が裏返ってしまった。
「春山空です。中学の時はサッカー部に入ってました。高校でも続けるつもりです。趣味は運動することです。一年間お願いします。」
とても恥ずかしかった。
先生は次の人に自己紹介をつないだ。
そして出席番号最後の人の番が来た。
「
「はい。和田漸区です。趣味はサッカー。好きなことはサッカー。いつもしていることはサッカーです。みんな一緒にサッカーしよーぜ。」
いやどんだけサッカー好きなんだこいつ。それにしても和田はクラスで一番のイケメンだろうと俺は思った。残念イケメン再びの予感…。
「自己紹介はこれで終わります。休み時間を挟んで、次に委員会決めと係決めをやります。席替えは最後な。」
こうしてクラス内の自己紹介は終わった。俺にとっては事故紹介にでしかなった。
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