ビバレッジ・ビジネス

羽衣石ゐお

本編


 〇

 ナイターはとっくに終わって、選手部員も殆どが帰していた。蛇口から大きな桶への奔流だけが春風に乗って、一本の蛍光灯に煌めいた。ふたりの女が桶を囲み屈んでいた。首にかけたタオルで泥交じりの汗を拭っては、溜息を吐いた。

「やあ、早いわね。勧誘してからもう一年も経ったんだもの。それこそ、涼音ちゃんとこうやってビブス洗うの久しぶりだなあ」

「それは秋月先輩が全然部活来ないからじゃないですか……。でも、嬉しいです」

「なにが」

「わたしに無理やりこの部活のマネージャーを任せてとんずらしたんじゃないかって、心配してました」

「人聞きが悪い……。ま、最近はイケメンの大学生との予定がぱんぱんなの」

「それはそれは、学外に男をつくっていたとは」

「なにか文句ある?」

「ないですよ、でも、羨ましいなって」

「ああ――だめよ? 部員に手え出しちゃ」

「わかってますよ……そのぐらい」

「で、誰が好きなの、お姉さんがお話聞いてあげる。ふふ」

「……知ってるくせに、人が悪いですよう」

「ごめんごめん、最近来てないから元気してるかなあって、惚気てもらおうかと。でも、まあ良い子だし、格好良いものね。――伊月くん」



 〇 

 ある晩のことである。湯谷涼音は半月ほど付き合ってきた彼氏に別れを告げられ、大量のコンビニ菓子の入った袋を抱えながら、茫然とした気で殿方町まで走って来ると、四十がらみと推測されるふてぶてしい女が、クラスメイトの浅間伊月と並んでラブホテルに入っていくのを見た。

 あたりは油臭く、けたたましくエンジンが吹かされている。洋楽に混じって喘ぐような声も下品に響いていた。緩慢に這う風は湿気と熱気を孕んでいて、ひとつそれが通るたびに汗粒を滲ませた。そして、明滅するネオンサインの煩わしさといったら、執拗に湯谷のふらついた心を切迫させるのであった。

 すると、浅間の入っていったラブホテルの電光掲示板が『満室』となって、客寄せのネオンが消えた。それが消えた途端、あたりは水を打ったように、しんとなった。

 湯谷は、疑問があふれてやまなかった。

 それは、あの浅間がという、困惑にも似たものであった。

 瀟洒な身なりに非凡な頭脳と運動神経をもつ、大胆不敵の一言居士。サッカー部のエースで、学内には追っかけさえも存在する、そんな、理想の具現みたいな人となりなのである。だからこそ、湯谷の今しがた目にした光景が事実だとするならば、それは校舎に青天の霹靂が穿たれるに等しいのだった。

 あんぐりと開いた口を、しかしすぐさま湯谷は手で押さえつけた。

 湯谷は顔を犬の水とばしのように振って、その蟠りを霧散させようとした。するとふらふらと足がもつれ、頭は温度を失っていき、冴え冴えとあたりを見回せるようになった。そして気付けば、汗でべとべとだった。早く帰って、とりあえず風呂に好みの入浴剤でも浮かべて、長々と湯に浸かりたい気分だった。


 濡れそぼつ頬を、手の甲で拭った。



 〇

 授業中、秋月麻里のもとへ、一通のメールがあった。――湯谷がマネージャーを辞める旨が述べられていた。秋月はすぐに返信した。


『二〇一九年七月十日水曜日 午前十時三五分 by:Mali Akiduki

 Subject:Re:部活について


 マネージャー辞めるんだって! どうしてまたそんな急に……。涼音ちゃんがマネしてくれないと野郎どもが「寂しいなあ」ってうるさくなりそうなんだけど。かく言うわたしも、涼音ちゃんが辞めちゃうなんて悲しいわ。

 もうそろそろ大会近いしさ。

 それともし伊月くんが戻って来ればまだ居てくれる? 彼、ちょっと飽きっぽいだけよ、きっと頼めばまた来てくれるわ』


『二〇一九年七月十日水曜日 午前十時四一分 by:Suzune Yunotani

 Subject:Re:Re:部活について


 いりません、余計なお世話です!

 すみませんが、先程述べた通り、今日から部活にはもう顔を出しません。

 もともと偶然が重なって続けていたことです。楽しいこともたくさんありました、けど、もうこれ以上続けていくのは難しいと思いました。

 私のモチベーションの問題、ただそれだけです。いい加減な態度で皆さんをマネジメントするのも、失礼にあたることでしょう。

 今までお世話になりました、皆さんにはお礼とお詫びを仰ってもらえるとありがたいです。』


 彼女は引き出しにスマホを押し込んで、なお、手元に目を落としていた。

「――おい、秋月! 下ばっかり向いて、なんだ、スマホでも弄ってるのか」

「いえ、心配事があって少し考え耽ってしまいました。お気になさらず」

 咳き込むふりをして、シャーペンを走らせた。


 〇


 放課後、湯谷は教室に人気が無くなったことを何遍も確認してから、教科書を通学鞄に詰めている浅間に声を掛けた。「なんだい、湯谷」彼は手を止めて、こちらを見下ろした。昨今、彼はすぐに下校してしまうから、引き留められたことに湯谷は胸をなでおろした。

 小さく折り返されたワイシャツの袖からは筋張った腕が覗いていた。血管が太く巡っていた。そして若干腰を折った浅間は、それでも直立した湯谷より頭ひとつ大きかった。勿論それに対して羨望と嫉妬を綯い交ぜにした眼差しを向ける彼女は、同年代の女子の中でも、飛びぬけてのちんちくりんで、黄色い帽子を被せ、ランドセルでも背負わせてやれば小学生と見紛うほどであった。

「あのね、えと――」

 しかしなんと言い出そうか、とさっきまでずっと反芻していた言葉を失念した湯谷は、しどろもどろに繋ごうとして、遂に辿り着いた言葉は、


「――昨日の夜、あのおばさんとなにしてたの」


 あたりは凍り付き、また時も呑まれた。そしてその中を、湯谷の眼だけがぎょろぎょろと動いていた。その飢餓状態の獣のように凝らされた眼の蠢きは、やがて一対の双眸を捕らえる。色素の薄い、茶褐色の瞳。浅間のものだった。その瞳を覗き込んでも、湯谷の姿が映ることはなかった。くすんでハイライトの差し込まない瞳は、暗闇に放られたただのびいどろに過ぎなかった。それが至って不気味でしかなく、目を背けて、しばらくして見返すと、まだちっとも動いた形跡はなく、ただ仄かに笑んでいた。

 平生から浅間は、この、眉尻を下げた微笑みを湛える癖があって、それは日常会話を始め、授業中から説教中、喧嘩のときにまで及んだ。これは一種の病のようなもので、ひとたび人と対面すると、思わず口角が微かに吊り上がってしまい、相手に自然と、信頼感と不信感を一緒くたに与えてしまうきらいがあるのだった。

 すると口を開いた当の本人が凍てついたままだというのにも関わらず、浅間には早くも春が訪れるように、緩慢にその硬直が溶けだしていた。

 先程までの時節などなかったとでも言うように、浅間は逡巡する様子さえも一切と見せず、粟立つ彼女の腕を指先で撫で、手を取ってみせると、

「こうして君と向かい合って話すのは実に久しぶりだね。こんな、ちっちゃかったっけ、はは」

 その甲に唇付けた。それに、彼女は再び固まってしまう。

浅間はそれを横目に見ながら、右肩に通学鞄をかけた。


 彼が去ってからしばらく経って、湯谷の湧き上がるような熱情が、一瞬のうちに強固な氷を溶かした。

 そして、確かにひとつ、悪寒が背筋を這ったのだった。



 〇

 湯谷は教室を飛び出した。湯谷の学級のある東棟は、昼を過ぎると急に薄墨でも引きのばしたように仄暗くなり、廃病棟のような寒気を感じさせた。今は、七月の頭だった。しかし湯谷は秋頃にでも出でてきたように身を震わせた。走りながら総毛立った肌をてのひらで擦って均そうとした。

 十字路を左に曲がると、折り返しの階段が吹き抜けからずっと下まで続いているのが伺えた。立ち眩みのするほどであった。

 意識を踊り場に向け、二段飛ばしで駆け下る。不安定な着地に腱を痛めてしまった。それでも素早く三階ぶんだけ下りると、一階の玄関口に続く廊下が、いやに長くのびていた。そしてその端に――浅間の姿があった。湯谷は遮二無二に走った。マネジメント以外にも、一緒にトレーニングをしたり、過酷な立ち仕事をこなしたりするだけのことはあった、みるみるうちに二人間の距離は狭まっていき、あたら浅間がその猛烈な足音に気付かないまで、接近した。浅間はその足音の主が彼女であることを認識した瞬間には、踵を返し、再び往来を駆け抜け、四階ぶん連なった階段を、跳ねるようにして上った。

 浅間は持ち前の運動神経の良さから、きっと逃げ切れる筈であった。が、いとも容易く折られた袖をむんずと掴まれ、四階と屋上に挟まれた踊り場まで連行された。

 そこは更に冷えるようだった。頑丈に施錠されている屋上への引き戸には、小窓が付いていて、そこからぼんやりと日が差し込んで、深緑のリノリウムに淀を落としていた。互いに聞きなれたサッカー部の掛け声や、吹奏楽部の奏楽が、ふたりの呼気にぽつぽつと交じっていた。すると突如、湯谷の踏み入れた上履きがキュッと床に擦れ、金切り声がつんざいた。


「――ねえどういうことなの!」


 浅間はしかしまたあの薄ら笑いで、湯谷を見下ろした。それは怒りに満ち満ちた面から怒号が飛び交うよりも、凛とした面から厳しい言葉が刺突されるよりも、気味が悪く、自分が一番間違ったことを言っているのではないかと、不安の念にも駆られた。湯谷はただよくもわからず、怖くて、言いたいことを口に出すことができなかった。このままでは嘲笑われて、去って行ってしまう。そういった焦燥もあった。

 けれどもそれは杞憂に過ぎなかった。浅間はやはり大胆不敵の、一言居士の、阿呆であった。

「ぼくはあの人と昨日の夜、ホテルに入った。そしてそれをきっと君に見られた。そんでもって、ぼくはあの人を抱いた――これで満足かい、湯谷」

「そんなこと、知ってるよ」

「そうでないなら、どうだというんだい」

 それは……。会話を滞らせ、「ちょっと待って」と言わんばかりに手で制し、呼吸を整える。それでも呼吸が荒くなって、目の縁と首元が燃え滾るようだった。それでも浅間は呆れもせず、立ち去ることもせず、ただその場に佇んで、湯谷の返答を待っている。恐ろしかった。きっと同じ人間なんかではないとまで思った。――過呼吸気味になって、嗚咽さえ感じ始めた頃、ようやく絞り出した一声は、荒唐無稽にもほどがあった。


「なんであんなおばさんとシたの! 最低!」


 浅間はそれを聞いた途端、大口を開けて、吠えるようにして笑い始めた。膝をつき、崩れるように腹を抱えていた。

「な、なにがおかしいっての!」

「あ、いやあっ、だって……まさか君はぼくがおばさん好きでも拗らせてるとでも思っているんだろう、どうしたって、こんなの笑わずにいられるわけがないじゃないか!」

「え、違うの」

「まあねえ、」

 目尻に溜まった涙を指先で拭いながら、

「年を召した女性と寝ることが一番だっていうのは聞いたことあるけど、流石にぼくはまだそんな境地には到底、辿り着いてないよ」

 そう言って、また笑いの渦に呑まれた彼は、茫然と立ち尽くす彼女に問うように無知を笑った。

「だいたい、普通そういうのを見たら、『援交』だって思わないのかい」

「ああ援交。――え?」

 当たり前のように言う浅間であったが、湯谷にはその真偽を冷静に判断することさえもままならなかった。きっとそんなこと誰もが首肯する筈もなかった。

「え……じゃあ浅間くんは、昨日あの人と、え、え援交、してたの!」

「涎垂れてるから」

 浅間はズボンのポケットから麻柄のハンカチを取り出して、こちらへと差し出して来た。湯谷は逃げられたようで煮え切らなかったが、羞恥心からそれを会釈して受け取ると、こんな頃合いだというのに、ハンカチはちっとも湿り気を帯びていなかった。口元を拭うと、バニラの香りがした。

「……ありがと。洗って返すね」

 と謝辞を述べて、湯谷は口に触れたほうを谷折りにして、スカートのポケットに押し込んだ。「気にしなくていいのに」彼は言ったが、湯谷はやはり恥ずかしかったから、首を横に振っておいた。

 湯谷はさっさとこの場を退散したい気に駆られたが、おいそれとこのまま帰っては、ただ辱められただけに過ぎないと、彼を、高くを睨みつけ、話題を戻した。

「ねえ、どういうことなの! そういうの……よく、ないよ」

「援交というと大概良くないのかもしれないな。そう、『パパ活』って聞いたことあるだろう」

「……なんとなくなら」

「まあ『レンタル彼女』みたいな捉え方でもいい。つまり、ぼくはお金を貰う対価として、デートだったり、ホテルにまで行ったりもするのさ」

「それって犯罪じゃ……」


「バレなきゃ、いい。だろう?」


 そう言って、浅間はその笑みを濃くした。……嫌だ、最低だ。湯谷は胸裡で毒づいた。

しかし一個人の思う『善悪』など、勝手気ままなコンパスに過ぎないのである。


「駄目だよ、許さない」

「誰がだい」

「浅間くんの家族も、学校の先生も、社会も、勿論わたしも」

 気付けば湯谷は背伸びをして、浅間のワイシャツの襟を確と掴んで眼前に引き寄せていた。そして、唾を浴びせることをも構わずに、叱咤するのだった。

「けれど、君はぼくを完全に咎めることができないだろう」

 彼はゆっくりと、湯谷の手を襟から引き剥がし、ぴしっと立った。それが湯谷には腰を抜かしてしまいそうなほどに、大きく見えたのだたった。見下ろされていようとも、「なんでよ」高圧的に問うてみる。すると彼は、


「君がぼくを好いているからさ」


 ……なななな、なにを言っているんだ、このすけこまし! 別にお前のことなんてこれっぽっちも好いてなんかない、所詮お前は、ちょっと人当たりが良くて、そこそこイケメンで高身長で、制服をほどほどに着崩していて、勉強がだいぶできて、運動神経はまあ良い――だけが取り柄の男じゃないか! とこれでも内心、浅間の大きな欠点を挙げていると本気で思っている湯谷であった。

「そんなこと、あ、あるわけないよ! ……いい、浅間くんがこれからもそういうことをするって言うのなら、わたしはそれを絶対に許さない」

「なぜだい。じゃあなんで君はぼくのすることにいちいち口を挟むような真似をするんだい。部活行ってたときはちょっかいばかりかけてきて、部活に最近いかなくなったら、掃除のとき、塵取りで取り切れなかったごみをその辺に吹っ飛ばしたら、君はそれをちゃんと捨てるまでぶつくさと悪態を吐く。ぼくが授業中にスマホを弄りだすと、やめるまでずっと君は背中をつんつんし続ける。……これが所謂、小学生特有の好きな人に対して意地悪しちゃうっ、ていうのじゃないのなら、『ぼくは勘違いクソ野郎です』って書かれたプレートを首に下げて朝会に出てもいいさ」

「なんだ、なんだそういうことなの。ふふふ」

 湯谷は今日一番の喜色満面で、


「忘れたの、わたしは中学時代、風紀委員長をしてたんだよ! なんでわたしが浅間くんに突っかかるかって、そんなの決まってるでしょ――風紀を守るのはいいことだからだよ! そこで、とても、とてもとてもとおってもお、申し訳ないんだけど、そのキミの恋心は……」


「……もう勝手にしなよ」



 〇」

 湯谷と浅間は駅前までやって来ていた。それは湯谷が浅間を連行したに相違なかった。彼らは郊外のファミレスで夕食を済ませ、服屋と靴屋、本屋を徘徊し、今、駅前の往来を歩いていた。因みに、そこで発生した金銭は全て浅間の出費だった。

 けれども浅間は怒るでもなく、ただ湯谷に呆れているようだった。彼がこのような面持ちを他人に見せるのは珍しかった。人から誘いを受ければ、快諾するか、丁重に断るかであったからで、加えてこんな我儘で傍若無人さをひけらかした人間に弱みを握られたのは初めてであったからだ。しかしその弱みさえも自ずと吐露したのは、彼の阿呆さをただ淡々と述べる他ない。また彼が阿呆であるからこそ、都合よく付け込まれるのである。この女は、人の予定を壊滅させ、払わせた金など忘却し、おめおめと胸を張って、カツカツとピンヒールを鳴らし、更にスキップまでしてみせる。それでも浅間の呆れた様子には、やはり笑みが浮かび上がっていた。

「まあ、ほら。こんなにいい女とデートできるってのでそんな気、吹き飛ばしちゃいなよ。ねえ、見て、ほら自分の選んだ服を可愛い娘が着てるんだよ、最高の気分でしょ」

「自分で可愛いとか、そういうのどうなんだい」

「でも自分ではそう思ってて、『いやあ、わたしなんて全然いい女じゃないよ』とかいうぶりっこみたいなのがいいの?」

「一概に言えないだろう」

「え、絶対そうだよ! ……まあ、熟した包容力を好む浅間くんにとっては、わからない話なのかもねえ」

「あのねえ……ぼくがなんでこんなことしていると思う」

「お金の為じゃないの」

「十点」

 彼は「全くの間違いではないけれど、本懐は違う」と冷たく言い放ち、少し足を早めた。湯谷はそれに必死についていこうとするも、

「あっ!」

 ヒールが折れてしまった。全く、こんなもので走らせるんじゃないよ、この野郎。と散々スキップによって痛めつけていたことそっちのけで、理不尽にも文句を言う。

 彼はすぐにこちらに駆け寄ってきて、ほら、おぶってやるから、とでも言わんばかりに、その大きな背を向けてきた。

「いやいやいや、この歳になっておんぶとかほんとうにありえないって……!」


 〇

「ん、ちょうどいいじゃないか。それにすればいいよ」

「ありがと……」

 湯谷はおぶられ、往来ををわざとゆっくりと歩かれて再び靴屋に連れてこられた。畜生、と最初のうちは浅間の頭をぽかすか叩いていた。

 湯谷の足には、底の平らなスニーカーがはまっている。浅間の適当に選んだものだったが、グレーと白の単調なデザインが、姿見に映る童顔の湯谷には良く似合っていた。それに、自分の傍に横倒しにされている、まだぴかぴかの、片方だけヒールの折れてしまったエナメルの靴が、なんだかまるで自分のものではないようだった。

 ……服も着替えてしまおうかな。

 事実、その靴に合わせて買った薄花色のワンピースに対して、そのスニーカーは少しばかり幼かった。しかしそれは、湯谷の体型や容貌とのバランスを考えると、やはり浮いてしまっているのはそのワンピースだった。トップスはきめ細やかな梨地織りの半袖で、スカート部分は二層になっており、下はレースづくりの、上からは水色のサテン生地の軽いプリーツスカートが重ねられていた。



「あれ、制服に着替えたのかい」

「うん。このスニーカーだとこのワンピースは似合わないかなって」

 そう言って、背負った鞄を指さした。しかしその手はゆっくりと落ちていくと、湯谷は寂しげな面持ちで、

「あの、ごめん……。なんか色々買わせちゃって」

 浅間は財布から今日買った服や靴のレシートを取り出した。湯谷はそれを見て、ぞっとして、しばらくあたふたと口や視線を動かして。


「あの、月千円払いで良いですか……」


「君はいったいこの支払に何年かけようって気でいるんだ」

「だって、だって最近色々あって金欠で……もともとお金もそんなにないだろうし……なんか腹立たしかった浅間くんを困らせられると思ったら、がんがん買い物しちゃってて」

「ふうん。じゃあ、君はむちゃに金を使わせたんだね、ぼくに」

「ほんっとうにごめんなさい――!」

 頭を深々と下げ、腰が直角に折れ、それは見事な謝罪であった。彼女自身はただほんの少しの八つ当たりでことを運んでしまった。彼女はただ演じてみせただけに過ぎなかった。本心からの、呵責からは逃れられなかった。

 けれども、やはり浅間は、

「なあんて、冗談だ。あのさ、あれだけ自分は可愛いとか、良い女とか言っていたんだから、もっと自信もちなよ。良い女だったら、最後まで男を楽しませなくちゃならない。演じるのに迷いがある。そこを男に感づかせてしまったら、興がさめてしまうだろう。男なんて単純だ。簡単に財布のひもを緩める。見栄を張ってしまう。そして、その出された金に感謝の言葉ひとつそえるだけで、また金を落としたいと思ってしまう。――まあ、尤も男なんて可愛い女の子を侍らせて往来を練り歩くだけでも気分上々になるようなバカなんだし、勿論ぼくもそうだ。だから、気にしなくていいよ」

 ところで、つかぬことを訊くけど。と浅間は不敵に微笑み、

「援交をどう思う」

「それは、」

 なんて答えればいいのだろうか。ただ湯谷にとっては外道であることは確かだった。


「――良くないことだと、思うよ」


「そうか」浅間はにべもなくこたえた。

 彼は湯谷の頭に手を乗せて、髪を押し撫でながら立ち上がった。その重さに、湯谷は恍惚としていた。


 また、その帰り道に、浅間が湯谷に理由ひとつ訊くどころか、自ら口を開くことは一切となかった。



 〇

「今日は、ありがとうね」

「ああ。それじゃあ、また明日学校で」

「うん」

 自分の視界から彼が居なくなるまで、湯谷はずっと手を振っていた。――否、気付けば、彼が居なくなってからも、無心で手は振り続けられていた。携帯を見ると、ほぼ九時だった。帰ろうかと思案したと同時に、湯谷はひとつ不安に思う節があった。


 ……もしかしたらこれからまた、いけないことをするかもしれない。放っておけない。


「よし」と、湯谷は彼の帰路を辿っていった。



 〇

 湯谷はよくドラマなどで目にする尾行のように、電柱に隠れながら、浅間を追っていた。

 彼の家がどこにあるのかは知らないが、今、そこはまた『殿方町』であった。きっと彼の家はこの通りを抜けた先なのだろう、などと楽観的なことを湯谷は思わなかった。

 すると、ネオンサインを浴びて青黒くなった浅間のもとに、制服を着た同年代ぐらいの少女が歩いてきた。肩ぐらいまでありそうな黒髪を後ろで結い、後れ髪は汗でうなじにはりついていた。身長は平均よりも少し高く、ワイシャツは第二ボタンまで開け、日に焼けた鎖骨と白地の胸元を覗かせている。スカートは膝上に十センチをゆうに超え、ニーソには肉が少し乗っていた。顔は地味気だが、丁寧な化粧が施されていて、モデルなんかをやっていてもおかしくない風貌であった。それらは全てネオンサインに照らし出されて、蠱惑的に煌めいていた。

 片手に眉ほどに切りそろえられた前髪を気に掛けながら、彼女はもう一方で浅間の手を取った。浅間は、ただ柔らかに笑んでいた。すると、少女は彼の手を自分の頬に添え、瞼をおろすと、唇を少しばかりと尖らせた。それに対して浅間は、軽く腰を折り包み込むようにして、唇を押し当てた。まるで白鳥が毛づくろいをするように曲げた身の、幻想的なシルエットが湯谷の瞳に映っていた。



 湯谷は思わず駆けだしていた。

「――浅間くんっ!」

 振り向いた表情は、今まで見たことのない、悲し気なものであった。彼の前で手を繋いでいた少女もこちらを向いた。

「……どうしたのさ、こんなところで」

「どうしたもこうしたもないよ! ……次にこういうことをしたら私、浅間くんを止めるって言ったでしょ、だからここにいるの」

「やめてくれないか。ぼくはこれから彼女と寝るんだ」

 少女は彼の腕にしがみ付いて、状況を不安げに見ている。彼は手を少女の頭にぽんと置いて安心させた。大丈夫、と。

「だめ! 絶対だめっ!」

 湯谷は地団太を踏むようにして歩み寄り、彼の腕を少女から引き剥がそうとするも――掴まれるのだった。強く握られて、血管が全潰してしまいそうだった。身の毛がよだった。そして哀切な面のまま、湯谷を睨んだ。大人が子供に向かって説教をするでも、大きなミスをチームにもたらした人間を叱責するでもなく、ただぽつねんと蒼を灯らせる瞳は、泣いてしまいそうなほど揺らめいていた。それは、子供の唯一の宝物である縫いぐるみを、取り上げるでもしたようだった。

「君はそうやって、ぼくに抽象的な言葉を鋭くぶつけるしかできないでいる。……ほんとうに、どうしようもなく、目障りだ!」

「なんだって……」

 けれども、どうすればいいのかを、稚拙な少女は知らなかった。

それなら――。


「――わたしと寝て」


 まただ。また、場は凍てついた。

 ちょうど、あのときの教室のような、あのときの踊り場のような寒気だった。洋楽も、喘ぎ声も、エンジン音も、油臭さも、熱も、湿気も、なにもかもがなくなってしまって、ふと自分の放った言動だけが浮かび上がってきて、なにを言っているんだろう、と血の気が引いてしまう、あの、感覚。あれだけ、援交を咎めておいて、そして今度は目の前の少女とのことにも口を出しておいて、今度はてのひら返して自分を抱け、などと抜かした。この哀れを笑うことなどできなかった。

 彼は、依然と湯谷をとらえたまま、

「君は買えない。そして君のような女と寝る趣味ももうない。けど、ついてくるだけだったら、ぼくは構わない。――ねえ、笹倉歩実さんだっけ、この人が見ていても大丈夫かな。お金は倍出すよ」

 少女は特になにも言わずに首肯した。

「じゃあ、行こうか」

 浅間は少女の腰に手を添えて、エントランスを潜り抜けた。――湯谷はそれを追っていった。


 〇

 部屋は若干の煙草の鼻をつく臭いと消臭剤の甘い香りが混合していて、気分が悪くなりそうだった。何語かも良く分からない洋楽が大音量で流れていた。ベッドの隅にはウェルカムドリンクの案内と、電話、照明・スピーカーのしぼり、電動マッサージ機、コンドームが置かれていて、洗面所にはアメニティが豊富だった。浅間は、洋楽を消して、灯も薄っすらと互いの表情の起伏が見えるぐらいにまで絞った。「おい、あんまりうろちょろしないでくれないか。興がそがれるだろう」と浅間に注意され、湯谷は隅にあったソファにちょこんと座って、つくねんとことを見届けることにしたのだった。



「顔こっち向けて」

 浅間は笹倉を先導していた。軽く抱きしめながら、俯いていた彼女の顎を持ち上げ、自分の唇で荒れていた唇に触れた。「帰りにリップを買ってあげよう」と耳元で呟いて、強く抱きしめた。浅間も、笹倉もとても落ち着いているように見えた。湯谷はもうすっかり男のことを忘れた気でいたが、空虚に開いた胸が妙に痛むのだった。

深呼吸が聞こえてきた。そのたび、湯谷は自分がとっくに蚊帳の外であることを思い知らされた。

「すまない、学校帰りで少し汗臭いだろうに、ハグをしてしまって。とりあえず、シャワーでも浴びてこようか、風呂も沸かしてある」

 浅間は自分でさっさと下着一枚になり、奥へと進んでいった。彼女もゆっくりと部屋に衣擦れを響かせながら、下着だけになると、彼についていった。奥から、「綺麗な身体だね。水泳部なの」という浅間の声が聞こえてくるのを最後に、笹倉の後ろ手が扉を閉めた。

 ――その手は震えていた。


 〇

 腰にタオルを巻いた浅間が扉を開けて、ローブ姿の笹倉を先にベッドに通した。二人の頬はこの薄暗さの中でも紅潮しているのが伺えた。目の前を二人が通過すると、ラベンダーの香りが微かに漂ってきた。こんな暗がりでは、湯谷の嗅覚と聴覚は弥が上にも鋭敏になるのだった。

 彼らはふたり距離を詰めて、ベッドに入った。ふたりは向かい合った。すると、浅間が笹倉の頭に手を置いて、自分の胸に抱きとめた。しばらく、そのまま動く気配がなかった。――ようやく動いたときには。彼は腫れ物にでも触れるときのような、そっとした手つきで彼女の髪を撫でていた。しかしあまりに長く撫で続けるものだから、笹倉は「あの……」と声を掛けた。

「ああ、すまない。女性の髪を触るのが好きなものでね。――じゃあ始めるね」

 彼女の唇を、そっと、舌で小突いた。その双の肉の端から端を、軽く舌で巡り、次に、唇で潰した。数度の軽い接吻のあと、彼女の上唇を甘噛みし、舌先を差し込んだ。彼女はそれを小さく吸い、それからその尺度が互いに大きくなっていく。瞬きを重ねていると、もうすでに舌の殆どが入ってしまい、その口端はお互い涎で鈍く光っていた。ひとたび、浅間が口を離すと、粘度をもった音が鳴って、舌先で小橋を描いた。それが下へ下へとひしゃげていき、落ちようとするところで――また深く舌を捻じ込んだ。

 すると、舌を絡ませたまま、浅間は彼女を抱き起して、その手を少しずつ彼女の身体に這わせていった。擽ったそうに身をよじらせたり、震わせたり、くぐもった声を立てながらも、それから逃れる術を彼女は唇と指先だけで奪われていた。髪から、首筋に。肩から、わき腹に。太腿から、腰回りに、指の腹が歩いていく。それは徐々に局部的なものになり、腰からわき腹をつたって、生地ごと胸を親指で持ち上げて、残りの指で覆うように、揉み込んだ。すると彼女は、ん、と先程よりも湿っぽい息を吐き、再びキスに応じた。


 ……わたしはいったいなにを見ているのだろう。

 アンダーエイティーンの同級生が、同い年ぐらいの素性も良く知らない少女とラブホテルで興じているところを、ただ彼のクラスメイトの少女が傍観しているという、この混沌とした状況、実に彼女にとって不健全極まりないことであった。また、それに対してわずかにでも湿らせてしまっている自身にも嫌気がさした。正義だとか、道だとか、そういった指針から、彼は逸脱し過ぎた。妬みを買うほどに、他の部員とは逸して輝きを放っていた。しかし三か月ほど前からは、さっぱり来なくなってしまった。突然のことだった。湯谷は彼の身になにかあったのではないかと本気で心配していた。だが現実としてあったのは目も当てられない不埒者の姿であった。


 ――わたしには、もう枷はない。やっぱり、もう、だめだ。許せない。


「もういい加減にして!」


 湯谷は、そう、叫んでいた。眼前で繰り広げられる金銭目当ての犯罪が、それに手を染めている少年と少女が、許せなかった。

「やめて……やめてやめてやめて! こんなこと――」

 幼少時代に、欲しかった玩具を買ってくれない母に対して駄々をこねていたころの自分がふと重なって、忸怩たる思いに頭を痛め、蹲ることしかできずにいた。

 すると向こうから、ダンッ、ダンッと踏みつける音が近づいてきて――身体を吹き飛ばされた。身体が、ブーケの描かれた壁に衝突し、追うように後頭部も打ち付けてしまった。

 彼は黙ってこちらを刺すようにねめつけた。輪郭や表情は薄くぼやけるものの、その双眸だけは、はっきりと怒気に燃え盛っていることがわかった。

「完全に萎えてしまった。笹倉さん、ベッド脇にお金が置いてある。それを持って、出来るだけ早くここを出て行ってくれ、頼む」

 浅間が依然、湯谷を捉えたまま低い声で言うと、笹倉はそそくさと衣服を着付け、シャワーも浴びずに、五枚の札をもって、一度だけ振り向いて、「ごめんなさい」と呟いて去ってしまった。その振り向きざまに見た、彼女の赤い紐リボンが、暫く湯谷の目に焼き付いていた。

 彼はその間、ひと時も視線を逸らすことはなかった。湯谷はそれまできょろきょろとあたりを見回していたのだが、物音がしなくなって、寒気がするようになると、遂にその容貌をちらとみた。


 ――彼は苦い顔をしていた。


「君って人はほんとうに勝手だ。ほら、見たことか。やっぱり君は心底ぼくに惚れているんだ。――だが、君は学内じゃ都合のいい女だって良く聞くよ、すぐに身体を許すんだって。……ああ、聞いたよ、ある先輩から聞いたよ。君はこの恋が叶わなかった原因が、部内で彼氏をつくってしまうと、なにかしらのトラブルに転じてしまうからだと定型文のように語るらしいね。そういう切なげな話、大層その辺の男を篭絡するのに役立ったことだろう。――それにぼくに告白しても必ずフラれるというのがわかりきっていたんだろう。ぼくが高校に入ってから何人もの告白を断っていたことと――自分が傷ついてしまうのを恐れて。だから、まるで自分が悲劇の主役であるかのように託けた。不幸な自分に酔いしれた。恋心だと嘯くものよりも、自分を優先してしまう、することができる、そんなの都合が良すぎる、そんなの――恋じゃない!」


 彼女は崩れ落ち、ただ不幸ばかりの予測される世に産み落とされた赤子のように、慟哭した。彼の言葉はおそらく半分以上も届くことなく、嘆きに紛れた。

 彼は背を向けて去って行く。

 彼女はなにも返す言葉がなかった。出るのは、口から零れ落ちる、違う、という小さな台詞であった。

 また彼に唯一の間違いがあるとすれば、それは彼の考えていることもまた、ひとつの不完全なコンパスに過ぎないことであった。

 彼は思う。彼女がここまで落ちぶれたのは、もう決まっていることだったと。彼女自身の弱さにあると。なぜ彼女たちが幸せな恋を全うできないのか、なぜ都合のいい女に過ぎないのか。それはきっと夢見がちなのだ。そう思った。自分にとって価値のある男というのは、そのほとんどが手の届かないところにある極上の果実である。そしてその高嶺に手を伸ばすために数多の下等な果実に齧りつく。しかしそれさえも彼らからみれば僥倖なのである。またその高嶺からみた彼女というのは、余程に都合の良い作業員に過ぎず、ひとつその蜜を吸わせてやるだけで、四方に颶風から守るバリケードを立て、こまめに磨いてまでみせる。現実、その間に齧った果実の残りなど棄ててしまい、一抹の疚しさに気取られているうちに、極上の果実は高嶺から落ち、朽ちる。そうして食い散らかしたごみの中に――



 わたしは立ち上がった。棚の上にある給湯器を手にした。


 去り行く彼の背中の、やや上。むき出しの後頭部に。


 ただ、それを、振り翳す、だけ。




 ――真っ赤に熟れた果実がぐしゃぐしゃになって転がるのである。



 彼女は思わない。恋があたかも暴れ馬のようなもので、己の身の危険を顧みず、それを乗りこなそうとするものであるなどと。




 〇

「……伊月くんって、結構中学時代遊んでたんでしょ」

「何故そう思いますか」

「まあ、ふたりきりのときの言葉遣いに、余裕さに――身体の使いかたからかな。あと、キミの服から漂うあの趣味の悪いバニラって、煙草でしょう」

「とんだ名推理ですね」

「でも、君ならとてもモテるでしょうに、なんでわざわざママ活に援交に、こうやってお金払ってセックスなんてしてるの」

「ただの交合いなんて中学時代で飽き飽きしまして」

「それで?」


「ぼくは昔から思っていたんです。なぜお金なんて払ってまでこんなことするんだろうって。彼女でもつくればいいじゃないかって。ひとつは、それが出来ない人が世には居るということ。もうひとつは――とても気持ちが良いということです。最初はぼくも女の子をオーガズムさせることなんてできずに、自分だけ頭を真っ白くしながら果てていました。そのとき思ったんです。『お金は女の子も対等に気持ちよくなれるためのもの』なんだって」

「それは面白い意見だわ」

「それでも、女の子は男よりも何倍も気持ちのいいオーガズムをするそうですね。わけがわかりませんでしたよ。なんでそんな良い思いもできて、お金も貰えるんだって。

でもきっとお金が仲介するメリットというのは、ある関係を停滞させることにあるのかもしれません。感情に大きく揺れる恐れのある人間関係に対して、安定したものを渡すことで、関係をそつなく続けることができるのかもしれません。だって無条件に関係が続いてしまうのは、もはやそれは愛ではないですか。もしかしたらそれは全くの間違いなのかもしれません、ぼくよりもうまく立ち回って、悦楽のみを軸に回る関係もあるのかもしれません。けれど、未熟なぼくにはまだお金が必要なんです。それからです、『ママ活』を始めたのは」


「それで、突き放すように部活に来なくなったの」

「申しあげたとおりです、ぼくは飽きっぽいんです」

「そう、そのせいで彼女、男に溺れてると言って飽き性はなおりそう?」

「いいえ、全く」


「――でも滑稽でならないわね。自分のことを好きだという女の子が居るのに、それを無視して、その格好良い顔を懸命に綻ばせているのは、たくさんのなんでもないような女の子と寝るためなんだもの」


「はは。男という生き物は、女の子なんかよりもずっと気分屋なんですよ。あだし心を、物心ついてすぐに秋の空から分かたれるんです。飼い犬に酷く噛まれようものなら、そいつを解放して、ぼくは野良でも、人の犬でも構わず噛んでやるんです」


                            了

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