第2話 幕開け

こうし不本意な形で班決めは終わった。


「各班、班長を決めたら当日の流れとか確認しといてね。班長が決まったら報告しに来るように」


とりあえず俺と拓斗は班のところまで移動した。正直今日顔を合わせたばかりの人間と仲良くできるかどうかはとても不安だった。だがこちらの心中を推し量ってか水嶋ヒロトはフレンドリーに話しかけてきた。


「さっきも自己紹介したと思うけど改めて自己紹介するな。俺は水嶋ヒロト、サッカー部に所属しててこのクラスの学級委員だよろしく」


こちらが緊張していることを読み取られたのは少し、ほんの少し癪だった。


「じゃあ次は私が自己紹介しようかな、葉月葵です。ヒロトと一緒でこのクラスの学級委員だよ、よろしくね。サッカー部のマネージャーもやってるんだ」


なるほどねだから名前呼びなのか、お互いスクールカーストの高い者同士名前と顔は当然のように知っているしかかわりがあっても何ら不思議じゃない。


「じゃ次は私ね。愛葉y」


「お前はいいよ知ってるし」


自己紹介を遮られた本人は抗議の目で俺をにらんでくる。さえぎられたのが不満だったんだろうな。だがあいにくと俺は効率重視の人間だ無駄だと分かっていることに時間は使いたくない。


「どうせほかの奴らとは友達なんだろ?なら俺と拓斗が知っているお前の自己紹介はいらないと思うんだが?」


「それはそうだけど私だけ自己紹介させてもらえないのは仲間外れにされてる感あるんですけどー」


「安心しろ俺みたいなのが知っている時点でお前は十分有名人だし俺が知っているってことは俺以外の奴が知らないなんてことはないはずだからな。そしてお前は班員である時点で仲間はずれにはされてはいない」


「そう言う事じゃないんだけど」


どうやらそう言う事ではなかったらしい


「相変わらず仲良しだね、一年の時から仲良いもんねさすがお似合いと言われつづけたカップルだね」


「「お似合いじゃないわ!」」


「ほら、長年連れ添った夫婦くらいの息のぴったりさかげん」


「はぁー、もういいわそう言う事で。てか自己紹介の途中だったよな」


「その自己紹介を遮ったのはあんたでしょ」


言われてみればそんな気もするがこれ以上俺らの内輪ノリを続けると本当にお似合いだみたいな感じのいじりが定着しそうなので俺は本題に戻すことにした。


「じゃー次は俺が自己紹介するよ。山城優也です。中学でバドミントンをやっていました。よろしくお願いします」


「流れ的に次は俺かな。三島拓斗です。小中高と優也とは一緒のクラスです。趣味は特にないですよろしくお願いします」


「最後は私ですね。青木桃です。趣味と呼べるものはないですがいろいろなことをしてきました。よろしくお願いします」


途中脱線させてしまったが自己紹介は終わった。次は班長を決めることになったのだが学級委員がいるため満場一致で葉月葵が班長、水嶋ヒロトが副班長というとになった。


「じゃあ決まったから私報告してくるね」


葉月葵が報告しに行っている間親睦を深めるため皆それぞれ気になっていることについて質問したりしていた間に報告が終わり葉月葵が戻ってきたと同時に先生からもとのせきにもどるよう指示された。


「各班班長も決まったようなので今日は下校とします。さようなら」


「「さようなら」」


帰りのSHR(ショートホームルーム)が終わったと同時にあるところに向かっていた。

階段を上り最上階の一年生のフロアより上の階つまり屋上の扉の前まで来ていた、鍵がかかっているため基本的には誰も人はいないだからこそ俺はよくここで授業をさぼったり昼休みの間寝ていたりとよく屋上を使う。屋上のカギを持っていないのにどうやって入っているかというとピッキングでカギをこじ開けて使っている。ばれたらもちろん怒られるだろうが俺が屋上に出入りしていることを知っている人物が何人かいる優希と拓斗それから朝宮光だ。ここに来たのは何となくだった。春の風にあたりながら屋上の誰もいない空間で一人静かな時間を過ごしたかっただけ。

最終下校時刻までには帰る事だけを決めてしばらく屋上で静かな時を過ごした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る