13・ダンジョン前にて
◆
柄にもなく、スヴェンは
いつもはしゃいでいる印象が強いので、激しく狼狽する印象を持たれることがあるが、実際には"狼狽する"こと自体が滅多にない。なので現在も、"狼狽"はしていない。只々、困惑していた。こういった場面は
「な、なんでぇッ!?やっちゃったっ!
理由は不明だが、とりあえずケイシィはダンジョンの前まで全力疾走でやって来て、転倒し、ブレイドに真っ向から突撃してしまいそうになった。そしてそれを
残ったのは、それらを呆然と見守っていたフィン。狼狽し叫ぶケイシィ。そして困惑するスヴェンである。
(あたしだけでもダンジョンのせつめーを聞いた方がいーんだろーか…?)
「なんでこぉなっちゃうのよう~~~!私のばかッ!ばかばかばかァッ!!ジェイくぅぅぅ~~~~んッ!!!!イヤァァァァーーーー!!」
「ん?でも聞いてたら置いてかれそーな気がするぞ!」
「ヒヤァッ!?ウ、ウインドしゃぁんっ!!?」
スヴェンが時間にして一分足らずで出した解決案を口にすると、今まさに存在に気が付いたといった様子でケイシィが飛び上がる。
「よう!相変わらずあたしのことは眼中ゼロだな、ラヴァルド!ま、いーや!センパイ、ダンジョンって手ぶらでもいーのか?」
「ダイジョブよん♪だってダンジョンだものぉ~♥」
「おっけー!じゃーなラヴァルド!」
「なっ!えっ、はぁ!?ちょ、待」
ダンジョンに踏み出したスヴェンを止めようとするも、伸ばしたケイシィの手は空を切った。その上――
バチンッ!
「……ッ」
ダンジョンに繋がる空間の
「さぁてぇ~?貴女はどちら様ぁ?招待券、持ってないでしょぉ~?」
「………」
「どぉやって結界を通ったのぉ~?同伴者も無しにぃ~?」
「………」
「うぅ~ん…質問を変えましょうかぁ~?」
「どぉやって結界を破ったのぉ?」
フィンの質問には強者の圧があったが、ケイシィはじっと黙って睨むばかりで、その質問に答える様子はない。答えはしなかったが、静かに
「"ちょっきん"」
――フィンはもう、自分が今この瞬間に一体誰と
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