03:VSグリフォン(1)
この世界は可視次元と不可視次元に区別される。質量を持った次元が可視次元で、持たないのが不可視次元だ。
不可視次元は主に魔力で構成されているが、
そしてその質量を持つ魔力が"形態"と"機能"を得たとき、人はそれを"魔力生命体"と呼ぶのである。
魔物の"形態"と"機能"にはある程度の"型"が存在する。今こちらを見据えて向ってくる魔物は、鷲の翼と上半身、そしてライオンの下半身を持つ"グリフォン"であった。
ボイカウでも発生事例を耳にしたことのある魔物ではあるが、実際に目にするのは初めてだ。市街地で魔物が発生することはあまりないので、そもそも普通に生活していれば魔物と遭遇する機会自体が少ない。
「何をぼうっとしている
カンザキ先輩の
――ズンッ
「ギィァァァオォォォォッ!!!」
「駄目だわっ!遅かった!!」
最も近く、そして唯一の逃走経路は第一、第二校舎を繋ぐ渡り廊下からどちらかの校舎へ入ることだったが、その渡り廊下へグリフォンが舞い降りてしまった。
(間近で見ると大分デカいな…っ!?)
「クソッ…教員連中は何をしている!?」
「駄目ですわカンザキさん!学園内で複数の魔物の出現を感知しましたの!今の校内状況では救援は遅くなるかと…っ」
「何故急に…!チッ!言っても仕方ないか!所詮はグリフォン一頭!俺と貴様でやれないこともないだろう!」
「ええ!」
「ギィィィィッ」
グリフォンが大きく翼を広げる。
「…ッ
俺はカンザキ先輩の叫びを
(ああ!
体を動かすよりも早く、強烈な力で地面に叩きつけられる。すぐ頭上を突風が吹き抜けた気配がした。
「ゲホッ!!」「ウゲッ!?」
「あっぶなぁー!勘弁してよ、お二人さん…!」
「「リード!」」
どうやらリードが鈍い俺とスヴェンを抱えて伏せてくれたらしい。
胸や顎を思い切り地面に打ち当てられたせいでめちゃくちゃ痛かったが、文句なぞあろうはずがない。鋭く抉られた地面を見たからだ。
「まるで"風の爪"だ…」
「おー、さすが上手いこと言うねえジェイは」
声色だけなら軽口を叩いているように聞こえるが、リードの頬は強く引きつっていた。そりゃあそうだ、一歩間違えば地面に付いた爪痕は俺達の体に付いていたのだから。
(でも、妙だ。グリフォンから全ての爪痕が真っ直ぐ付いているように見えるのに、生徒に達するものだけは直前で少し軌道を変えている…)
「全員そのまま立ち上がるなよ!!ヴァニラ!死んだか!?」
「も、もちろんッ!生きてますわッ!!」
「だったらさっさと許可を出せェ!」
「ふゎイッ!リョウゴ・カンザキの抜刀を『
そうヴァニラ先輩が言った瞬間に、カンザキ先輩は刀を抜いた。
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