第11話 もふもふと新たな仲間。中編

 先を走っていたラビーが仲間を発見。が、何と人間達に囲まれていた。10人以上はいますね。すかさず【魔獣戦闘モード】を唱えた。


ラビーは元の姿に戻り、【サンダーショット】を放ち、1人を倒した。意表を疲れた人間達が驚き、一斉に振り向いて、1人のリーダーらしき男が言った。


「何だ? もう一体いやがったか」


 中々厳つい男ですよ。戦士かな? でも、格好が、何かぽくないよね~。みんな同じような格好ですし。冒険者には見えないな。あっこれ、あれですね、盗賊ってやつかな。


「お頭、後ろに男がいますぜ」

「ああ、弱そうなガキだな」


 弱そうなガキですか。まぁ、そう思ってくれて構いませんが。


 ガチャも頭上でゆらゆらしていた。


「おい、お前、冒険者か? この魔獣はお前のか? そして、上に浮いているのは何だ?」


「冒険者ではないけど、俺の従魔ですね」


 ガチャのことは言わない。目立つよねやっぱり。何とか出来ないもんですかね。


「お頭、こいつテイマーですね」

「この一角兎バニコーンの角も頂いちまいましょう」

「おい、お前、この、一角兎バニコーンを置いてけ。後、持ってる物、全て寄こせば見逃してやる」

「お頭、見逃すなんて優しいですね」

「だろ。俺はいつだって優しい。おい、お前聞いてるのか」


 お前お前、うるさいな。鬱陶うっとうしいですね。殺ってもいいかな? どうせ盗賊なんだし。ゴブリンを殺ってから、殺すのに躊躇ちゅうちょしなくなった。敵になる者は駆逐するのみ。


「お頭、そこで女捕まえましたぜぃ」

「おお、でかした。こっちへ連れてこい」


 べつの盗賊がやって来た。

 女? 声のする方を見るとシーナだった。


「シーナ!!」


 何てことだ。油断した。ラビー達を捕まえよとしている人間達がいるって、わかってたのに。何で置いていったんだろうか。街まで守るって言ったのに。馬鹿なことをしてしまった。


「何だ、お前の連れか、なら、この女も置いていけ。そしたらお前だけは見逃す」

「お頭、この女、なかなか上玉ですな、高く売れそうですね」

「そうだな。売る前に味見でもするか」


 その会話にカチーンと来てしまった。俺の可愛いシーナを前に何てことを言いやがる。売るだ? 味見だ? ふざけやがって!!


 ……ふぅ一瞬、頭に血が上りましたよ。癇癪かんしゃくを起こしたら、ろくな事にならないからね。まぁでもこれは、もう許しませんよ。シーナに手を出そうとするなんて、皆殺し決定。


 そこで、ひらめきました。


「わかった。とりあえず先に、俺が持っている、1番高価な指輪を渡しますよ。こないだ助けた貴族から、お礼に貰ったものです」


 もちろん嘘ですよ。そして、巾着から、陰執眼ストーカーの指輪を取り出し、渡した。


 お頭が、しばらくその指輪を眺め、仲間の1人に渡し、はめさせた。


 なっ! あんたがはめるんじゃないのか。中々頭が切れますね。まぁ効果を知りたいから、よしとしましょうか。


 仲間の1人は何の疑念もなく指輪をはめた。すると盗賊は回りをキョロキョロしだした。さらに、小刻みに震えだす。


「誰だ!? 見るな! ど、どこにいる? 出て来やがれ! クソッ俺を見るな!」


 恐怖でおののく。


 そのうちガクガク震え出だし、その場でうずくまった。


「お、俺を見るな!頼むから見ないでくれ……お願いします……」


 そして泡を吹いて倒れた。


 あれ死んだのかな? これは、凄いですね。まさしく呪いの指輪。こんな呪いが……。

 怖いですね。うっかりはめいないよう、気をつけなければ。てか、こういう呪いの装備って売れないのかな? 捨てたら捨てたで呪われそうだし。


「おい、ガキ何しやがった。これ、呪いの指輪だろ」


 あら、バレてしまいましたね。


「野郎ども殺っちまえ」


 一斉に、俺に飛びかかろうとした。


 おっと、そうはさせませんよ。お頭に向け【捕縛の鎖】を、発動した。


 お頭を捕らえた。


「みなさん。動いたら、お頭を絞め殺しますよ」


 盗賊は動きを止めた。


「さあ。シーナ、こっちへおいで」


 そう言い、シーナを無事解放。


「大丈夫? 怪我はしてないかな?」


「うん、ありがとう。ドジっちゃった」


 シュンとしている。いちいち可愛いですね。


 さて、どうしますか。とりあえず【鑑定】


 名前:アリード・ボドカミ Lv30

種族:人間 性別 男 年齢:35

職業:盗賊

属性:土

HP60/60

MP30/30

筋力D: 精神力:D 敏捷:B ストレス:5


 やはり盗賊でしたか。Lvも30。高いですね。敏捷はBですか。凄いですね。

 

「くそっ俺をどうする気だ?」


「どうしましょうかね。とりあえず、お仲間さんの武器でも捨てて貰いましょうか」


「わかった。お、おい、お前ら、武器を捨てろ。……どうした? 何故捨てない……」


 ん? 捨てないのでしょうか?


 そして、1人の盗賊が言った。


「おい、お前ら。相手はガキ2人と一角兎バニコーンだ。余裕だろ。殺っちまえ」

「でもお頭が」

「お頭なら、こう言うだろ。捕まるのが悪いんだ、構わず殺っちまえと。だから、ここであいつらを仕留める」

「殺っちまえ~」

「「おおお」」


 あらあら一斉に向かってきましたか。しょうがないですね。


「おい、お前ら、やめろ、行くな。馬鹿野郎。おっぐぅっ!い、痛い。く、苦しい。止めてくれ。し、死ぬ。や、やめ……」


【捕縛の鎖】は、お頭の全身の骨を、バキバキと砕き、絞め殺した。


 まじまじ見るとむごい殺し方ですね。まるで拷問ですね。一気にじゃなく、徐々に締めていくスタンス。【捕縛の鎖】が楽しんでいる様に見えます。意思があったりして。


 それを見た盗賊達はひるんだが、もう遅いですよ。

 1人だけ捕まえるかな。【捕縛の鎖】で1人捕える。

 捕らわれた盗賊は驚愕し、ガタガタと震えている。


 盗賊達も負けじと、俺に斬りかかる。さすがに盗賊だけあって、素早いですね。まぁ余裕だけど。右に左りにけながら、一、二度、やいばを食らうが、全然お構い無し。

 流石チートローブ。自動回復素晴らしいですね。ちょっとでも痛いのは嫌ですからね。

 肉切り包丁で、盗賊達の喉や腹を、体を、切り裂いていく。軽く振っただけなのに、切れ味抜群です。


《アオバ・ミネギシのLvが6になりました》

《アオバ・ミネギシのLvが15になりました》


《【捕縛の鎖】のLvが3になりました》


 Lvが10も上がったんだけど……相手のLvが格上だったからだよね。捕縛まで。


 その様子を、ラビーにシーナにうさ子まで唖然と見つめていた。


 この時の俺の様子を、のちにシーナは、ほんとうにテイマー? 悪魔、人外、鬼畜、サイコ、などと言っていた。


「さて残ったのは貴方だけですよ」


 捕縛中の盗賊に言った。


「すまなかった。許してくれ。もう悪さはしない」


 シーナにどうするか聞いてみた。するとシーナは言った。


「謝ってるし、もう悪さはしないと言ってるから、許してあげて」


 何て優しい子なんでしょうか。


「シーナがここまで言ってるから、許してあげましょう。が、貴方、仲間いますよね? 砦ありますよね? 嘘はダメですよ。正直答えて下さいね」


 盗賊も観念して、砦がある事を白状した。残ってる仲間も10人程度とのこと。もちろん案内してもらいましょう。盗賊討伐。シーナには悪いが、事と次第によっては殲滅です。


 とりあえず、ここを処理しましょう。痕跡を残すのは良くないからね。


【ディスチャージ】した。


 出たのはレモンだった。レモンでも処理出来るよね? レモンに聞くと問題ないとのことだったので処理させた。さすがに人間の処理を見るのは応えるので、シーナには見せないようにした。


 盗賊はこの様子を見て、驚愕していた。レモンが、ガチャから出てきたのも驚いてたし、それよりも、処理の仕方ですよ。


 無理もないですね。流石に残酷かな。蛇が獲物を、丸飲みにする感じって言えばわかるかな。徐々に飲み込み消化していくさま。

 しかもあの可愛い姿でですよ。


 処理を終えたレモンは俺の所に来て、ドロップ品を渡した。結構多いですね。後でまとめて調べますか。


 そして、陰執眼ストーカーの指輪。これも拾ってしまいましたか……そのまま捨ておこうと思ったんだけど……。


 シーナとラビーにLvが上がったか聞いてみた。2人共頷いた。シーナは10。ラビーは5上がったらしい。シーナもLv15になったらしい。同じですね。


 Lvが上がり過ぎてシーナは驚いていた。何もしてないのにと、申し訳なさそうにしていた。頭を撫でてあげた。何だか妹みたいだな。夏希とはタイプが違うけど、可愛い妹って、感じだよ。でも顔は好みです。


 ラビーの最後の仲間を回復し、【テイム】&【補充】した。




 ――――――――――――


「あそこが砦です」


 シーナには、改心でもしてくれれば、襲ってさえ来なければ殺さない旨を伝え、待機してもらう。レモンとラビーにはシーナを護衛させた。


「さあ中に案内してください」


 以外としっかりしてますね。門があり、人の背丈くらいの壁で中は覆われていた。


 見張りが1人いて、その見張りに、レスガーシュさんが、お頭と仲間は魔獣に殺られ、全滅したと伝えた。

 ちなみにレスガーシュさんとは俺が捕られた盗賊。


 レスガーシュさんのステータス


 名前:レスガーシュ・ビトー Lv:25

種族:人間 性別 男 年齢:30

職業:戦士

属性:土

HP50/50

MP25

筋力B: 精神力:D 敏捷:D ストレス:4


 戦士でした。


 中に入ると、盗賊が勢揃いしていた。


「レスガーシュ、お頭と他の奴が全滅したってほんとうか? そして、そいつは誰だ?」

「ああ、ほんとうだ。彼はアオバさん。客人だ」

「客人? そんなガキが? 奴隷の間違いじゃないか? 」


 ここでもガキ扱いですか、しかも奴隷と。


「レスガーシュさん、殺ってもいいかな?

それともレスガーシュさんが改心させますか?」


 レスガーシュさんは、青ざめて俺をみた。


「なあ、みんな俺の話を聞いてくれ。今日で盗賊を辞めて、まともに生きないか? 」


 みんなはレスガーシュさんの話しを茶化していた。が、話しを続けた。


「俺等は、元々盗賊じゃなかったじゃないか。みんな同職の冒険者に理不尽な裏切りや、貴族にひどい仕打ちをされ、追いやられ、仕方なく盗賊になったのがほとんど、違うか? お頭も、もう居ないんだし、これを気に、盗賊から足を洗わないか?」


 日頃から、お頭にうんざりしてた人、仕方なく盗賊になった人は、ちゃんと話しを聞く。根っからの盗賊気質な奴は、真面目に取り入ろうとしない。まぁ半々って、とこですね。


「だいたい、そいつはなんの客だ?」

「この人は魔獣を倒してくれた恩人だ」

「へーお頭をも殺った魔獣を倒しただと? そんなに強いのか?」


 ちょっとめんどくさい。


「なら試してみますか? いいですよ。どこからでもかかって来なさい。負ける気はしませんがね」


「舐めやがって!!」


【水の太刀】言うと同時に、青いオーラを纏った双短剣を構え、俺に突進してきた。水の付加エンチャントですね。そして、中々の速さ。


 ドスツ!! カキーン!


 両脇に突き立てた短剣は、勢いよく折れ、飛んでいった。わざと双短剣を受け止めた。ちょっと痛かったですよ。気持ち的に。そして、盗賊の顔面に渾身の一撃を放った。盗賊は勢いよく吹っ飛び、絶命した。


 あらあら、これは手加減しないとダメですね。


 みんな唖然としていた。


「実はお頭を殺ったのは俺なんだよね。盗賊なんて、生かすと思う? さあどうする?かかってくる? 誰でもいいよ。なんだったら一変に来る? どっちにしろ、相手にならないと思うけどね、弱すぎて。ガッハッハッ」


 この笑いは、ホブゴブリンの真似ですよ。さあ、この安い挑発に何人乗ってくるでしょうか?


「「「「クソがっ!!」」」」


 4人ですか。おっと。【捕縛の鎖】で1人捕える。そして、鎖の先端が、捕らえた盗賊を突き刺しす。そのまま2人目に鎖が伸び、突き刺した。


 あっやっぱ刺した。てか、なんですかね、あの鎖は。やっぱり意思があるのでしょうか。


 1人が俺の目先まで迫り、攻撃してきたが、紙一重に避け、喉を掻っ切る。これも中々の使い勝手がいいですね。元お頭の双短剣は。

 そう、今使っいる武器は、元お頭の双短剣。茶色の石が付いている。土属性でしょうね。俺に意味無いけど。


 さて、残り1人……いない? どこいった?


「ぐはっ!裏切ったな……」


 どうやら、レスガーシュさんが倒したらしい。

 あ~やりますね、レスガーシュさん。


「さあ残りの皆さんはどうします?」


 残り5人。レスガーシュさん入れたら6人ですね。


「降参します。盗賊何てもう辞めます。誓います」


 レスガーシュさん初め、皆頷いた。


「わかりました。これからは真っ当に生きてくださいね。また盗賊に、戻ったら許しませんよ。レスガーシュさん、頼みましたよ。」


 そうして、盗賊討伐は終わった。






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