第11話 もふもふと新たな仲間。前編

 ロール村を出てから、まだ1時間ってとこですかね。しかし、何も起きない。平和そのもの。すれ違ったのはロール村方面に向かった馬車1台のみ。


 途中ライム達を【ディスチャージ】した。いや~ライム達とシーナを見てるだけで癒さる。


 シーナ可愛いよ。ほんと。別に、ロリとかじゃないよ。ただ可愛いのが好きなだけです。別に変態とかじゃないです。それにシーナはおっとりしていて、優しいい子なんだよね。とても戦士に見えません。


 シーナに今から行くブランモンという街は、どういう街か聞いた。


 ざっくり言うと、森林が近く、緑豊かな街並み、獣人もいるし、エルフも来るらしい。他種族に友好的な街ということ。


 素敵じゃないですか。獣人、居るんですね。エルフも。早く会いたい、戯れたい。そう思うと心が踊る。


「アオバさん? どうしました? 何か変な動きしてますよ」


 シーナが不思議そうに、俺を見て言った。


 おっと、嬉しさのあまり、思わずまた踊って?しまいましたか。ライム達にも笑われてしまった。


 すると前方に、動物が6匹いました。よく見ると、うさぎさんですね。しかし普通のうさぎさんとは明らかに違う。

 何がって? 見た目は、いつも通り凶暴ですよ。歯が尖ってますし。茶色の野うさぎって感じかな。

 違うのは手にグローブを嵌めていること。俺等を見つけてファイティングポーズを取っている。あ~やっぱり魔獣ですか。


「アオバさん、あれは拳闘兎ボクシングラビットです。Fランクで強さより速さがあります。」


 ふむ、拳闘兎ボクシングラビットですか。どれどれ【鑑定】した。


 名前:なし Lv2

種族:兎 種類:拳闘兎ボクシングラビット 属性:土

HP6/6

MP0/0

筋力:D 精神力:D 敏捷:D ストレス:3


 まあこんなもんですよね。


 そういえば、杖を試したかったんだ。

 シャーマンの杖を構え、ファイアボールを唱えた。


 すると、杖の装飾のドクロの口から拳闘兎ボクシングラビットに向かってファイアボールが放たれた。と、同時に。


 ポンッ!!


 俺の上からもう1つのファイアボールが拳闘兎ボクシングラビットに向かって飛んで行った。


 えっ!! ガチャからも……ファイアボールを唱えたからですね。


 虚をつかれた拳闘兎ボクシングラビットは逃げ遅れ、2つファイアーボールに飲まれ、周囲を焼き、兎も丸焼きになった。軽い焼け野原になった。


 兎の丸焼きですか。食べれるかな? いや、黒焦げだから無理ですね。

 これはダメだな、杖を使うのは止めよ。一体はテイムしたかったけど、残念。ライムに処理させた。


拳闘兎の魔核コア×6とコイン1枚手に入れた。


「アオバさん……これはどういうことですか?」


 シーナを見ると目を丸くして、聞いてきた。そして、いつの間にか、うさ子はシーナの腕の中に居た。まぁ驚きますよね。ガチャから魔法が出るなんて。なので、シーナに俺の戦闘スタイルを教えてあげた。



 ――――――――――――――――――


 拳闘兎ボクシングラビットを倒してから、数時間くらい歩き、う~ん時計が欲しいな~。などと思っていた。


 お腹も減ってきたので、木陰で昼食を取る事にした。ラズベリーさんのおにぎりにゆで卵。そして干し肉にミルク。


 おにぎりは美味いし、ゆで卵も最高。ミルクは美味いけど、おにぎりには合わない。飲み物がないからしょうがないけど。

 干し肉は、ビーフジャーキーですかね、これはこれで嫌いじゃないですね。

 シーナもおにぎりにゆで卵を気に入ってくれた。


 ライムとレモンとうさ子はそこら辺の草を食べている。物足りないだろうけど、ゴブ汰には干し肉をあげた。従魔用の食も確保しとかないとダメだね。


 そこでゴブ汰は口を開いた。ゴブ汰が言うには、なんと、モンパラの中は食に困らないと。要は、【補充】され、中に入った時に、食も一緒に構築されたとの事。さすが魔獣の楽園ですね。それはそうか、あの中で暮らすには、食もないと餓死しますよね。


 食休みをしていると、1匹のうさぎさんかな。おや、何か角が生えてません? 近づいてきた。近づくにつれ、以外と体が大きいことがわかる、うさ子の3倍くらいはあるかな。


 怖いですね。目が血走ってるし、歯が剥き出しだし、体毛は白色で綺麗ですね。角が光ってる。そして一直線にこっちへ向かってくる。


「アオバさん、あれ一角兎バニコーンですよ。かなりレアです。ランクCで、希少種です。滅多に見かけないですよ。角と尻尾が高く売れるらしいです」


 なるほど、希少ですか。これは是非仲間にしなくては。かなりのもふもふ力ですからね。興奮してきた。


 一角兎バニコーンの角の先に光が集まり、俺に向かって一気に放たれた。光がギザギザに真っ直ぐ勢い良く飛んでくる。角に見入っていた俺は、おもいっりそれを食らった。ちょっとびっくりしましたよ。【捕縛の鎖で】一角兎バニコーンを捕えた。


 シーナもまた目を丸くしていた。


 名前:なし Lv5

種族:兎 種類:一角兎バニコーン

属性:雷

HP15/15

MP40/40

特技【サンダーショット】Lv2

筋力:D 精神力:C 敏捷:C ストレス:5


 おっ属性が雷だ!! これは珍しいかな。

 特技の【サンダーショット】これか、稲光だったのね。


 所々傷ついていますね。


「えっと一角兎バニコーンさん、言葉わかるかな?」


「わかる……殺すなら殺せばいい」


「いや、仲間になるなら何もしませんよ。どうします?」


「ほほ~、殺さず仲間にするのか、珍しい人間だ。なら、はぐれた仲間を見つけてくれるなら仲間になろう」


 その条件を飲み、仲間にした。ついでに傷も癒してあげた。


 シーナが名前を付けたいと言うので、決めさせてあげた。


 名前:ラビー Lv:5

種族:兎 種類:一角兎バニコーン

属性:雷

HP20/20

MP50/50

特技【サンダーショット】Lv2

筋力:D 精神力:C 敏捷:C ストレス:1


 ラビーですか。シーナも俺と同じタイプかな。


 早速行きますか。


【補充】で、ガチャの中に入れ【ディスチャージ】で出す。


 やばい、これがほんとうのもふもふだ!! すかさずラビーを抱きしめ顔を埋めた。


「ちょっ何してんの?」


 ラビーは困惑している。


「可愛いすぎて、抱きしめずにはいられませんよ」


「私も~」


 シーナも、もふもふが好きなんですね。目をキラキラ輝かせ、もふもふを堪能していた。


 うさ子まで……うさ子はラビーの上に乗っかっている。


「もう、いいでしょ~。やめて」


 ラビーは2人と1匹の魔の手から、命からがら逃げだしたのだった。



 ――――――――――――――――――


 ラビーから話しを聞くと、はぐれた仲間は三体。普段は、妖精が居る深緑の森に棲んでいる。仲間の一体が、たまには森の外に出たいと言い出した。

 久しぶりに、皆は外に出るのも悪くないと思い、反対する者はいなかった。久しぶりの外では、皆しゃいでいたと言う。


 魔獣でもはしゃぐ事があるんだね。あの容姿で……怖いですね。


 すると1人の人間が近づいてきた。その人間は既に剣を抜いていた。ラビー達も戦闘対戦入ると、何処からともなくワラワラと人間が集まってきた。

 5人位は倒したが、さすがに分が悪く、逃げるしかなかった。その時にちりじりになってしまって、今に至るという。


 どう探せば良いか聞くと、仲間の匂いで、だいたいの居場所は分かるらしい。まだ別れて間もないら、そう遠くへは行ってないだろうとのこと。


 という事は、その人間達も近くに居るよねきっと。気をつけないといけませんね。


 しばらく探し歩いていると、ラビーの仲間の匂いが微かにしたらしく、ラビーの速度が上がる。

 さすがに速い、段々と引き離されるが、俺は、最初から敏捷上がってるから、何とか見失わずにいるけど、シーナと、さらに後ろのライム達が……。


「ラビーちょっとだけ待って~」


 大声で叫んだ。ラビーも気づいてくれて待ってくれた。急いで、ライム達の所に戻り【補充】した。

 これで大丈夫。シーナと一緒にラビーと合流。


 そして再捜索。


 それから走ること500メートルくらいかな。一体の一角兎バニコーンを発見した。ラビーは嬉しそうにしているが、仲間はその姿を見て困惑した様子。ラビーが説明していた。


 これから先、どうするか聞いた。深緑の森へ戻り暮らすか、モンパラで暮らすかを。平穏に過ごせるならモンパラに行くと言ってくれた。


【テイム】してから【ダークヒール】で回復してあげた。名前は付けずに、【補充】した。観賞用ですからね。


《スキル【テイム】のLvが2になりました》

《スキル【言語理解】のLvが3になりました》

《固有スキル【ガチャ拡張】発動。保有所持が20体に増えました。》


 ルーペでモンパラを覗いた。すると、森が出来ていた。そこにデフォの一角兎バニコーンが居た。自分の棲み家を確認している様子。


 ライムとレモンも森の方へ向かっている。ゴブ汰は子ゴブリンと洞窟の外で遊んでいた。はぁぁぁ可愛い!! 何て可愛いんでしょうか。


 そんな俺の様子を見て、シーナもモンパラを見たいと言うので、ルーペを渡してあげた。

 シーナもモンパラを覗いて、とろ~んとし、ニマ~~となっていた。で、そんなシーナを見て俺もとろ~んとし、ニマ~~となった。

 そんな俺達をラビーも見てとろ~んと……はならず、おこり、せかかしてきた。こんな時に何してるのかと。早く仲間を探せと。ごもっともです。


 次の一角兎バニコーンは、わりかし早く見つかった。先程の場所から、そんなに離れていなかったから。一通り説明して、仲間にし、【補充】した。


 最後の一角兎バニコーンがなかなか見つからない。ここまで来た道と今度は逆方向に行くことにした。


 ――――――――――――

 どんだけ走った? さすがに走り疲れた。シーナも疲弊し、足が止まってしまった。


 そこで、すっかり忘れていましたが【スターヒール】を唱えてみた。肉体疲労はあっという間に治った。

 おお、これは素晴らしい、もう疲れ知らずですね。ただ肉体的には回復しても、精神的心労はある。だがしかし、そこは気合いで……。

 ついでに【ダークヒール】で、ラビーも回復してあげた。


 よし!気合いだー気合いだー気合いだ――っ!

 いくぞ――!ダ――ッ!また走った。


 しばらく走ると、 ラビーに反応があった。仲間の匂いがしてきたと言って、更に加速した。

 今日一速い。これは猛ダッシュして、やっと追いつけるかなって感じだね。シーナには先に行くと、断りを言っておいた。


 こんなに猛ダッシュしたのは、高校の体育の授業の100メートル走以来ですよ。足には結構自信あったんんだよね。足が速いだけで、女子がキャーキャー言ってたもんですよ。あれ? ギャーギャーだったけな? まぁどっちでもいいか。

 それにしてもうさぎってこんなに速いの?


 シーナ曰く、この時の俺の速さはラビーと同じ、つまり、魔獣なみだったらしい。


 「アオバさんてほんとに人間ですか?」


 って、言われた。色々おかしいらしい。テイマーなのにヒールも使えるし。そこは笑って誤魔化した。「ほとんどは装備の性能おかげだよ」って、言っておいた。

 ラビーも追いつけてる俺に驚いてた。

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