第7話 もふもふと殲滅。後編
別れ道の所まで戻ると、ゴブ汰が居た。そこには数体のゴブリンが、頭をかち割られ倒れていた。
頭蓋は割れ、中から白子みたいな物が溢れ出、
「ゴブ汰どうした?」
心配で中の様子を見に来て、ここで待っていたらしい。そして、俺の方へ行こうとした同胞を、倒したとのこと。俺もこっちは殲滅した。残りは寝ぐらだけだと伝えた。
ゴブ汰も付いて行くと言うので、行動を共にした。
左を進んで行くと道が開けた。中を覗くと、こちらも先程とほぼ同じ様な作りになっていて、ゴブリン達がまばらに寝ている。まばらといえども、先程ではないにしろ、かなりの数である。
ゴブ汰には入口で待機してもらい、仕留め損ねを倒して貰うことにした。
さてと、ゴブリン達には悪いけど一気に片付けさせてもらいますよ。
「【ウィンドカッター】【ソイルボール】【ウォーターボール】【捕縛の鎖】火魔法放て~」
シュッ!ポンッ!ボンッ!ポン!ザクッ!
《【ファイアボール】を習得しました》
ウィンドカッターはゴブリンを切り裂き
ソイルボールはゴブリンを弾き飛ばす。
ウォーターボールはゴブリンを飲み込み
捕縛の鎖はゴブリンを絞め殺し刺し殺す。
ファイアボールはゴブリンを焼き尽くす。
立ち向かって来る者にはナイフで応戦。逃げ惑う者はゴブ汰が撲殺。震えてその場に留まる者は放置。
《固有魔法【ソイルボール】はLv2になりました》
今日は結構Lv上がりましたね。
それにしても、どっちが魔獣かわからないな 。苦笑した。
こんな中で、堂々たる、一際目立つゴブリンが立っていた。
なかなかマッチョな青黒い体だが、背はそれほど高くない。かなり大きな棍棒を担いでいる。
そして、怖い。当たり前のように怖い。この世界に怖くない魔獣はいるのかな?
名前:なし Lv5
種族:小鬼 種類:ホブゴブリン
属性:火
HP30/30
MP5/5
筋力:C 精神力:D 敏捷:D ストレス:3
やっぱり居ましたね。これがホブゴブリンですか。ラスボス登場ってやつね。
HPはまぁ高いほうでしょう。 この状況でストレス3とか 、なかなかの精神力ですね。
「よく来たな人間、先程の人間共の仲間か?
なかなか楽しませて貰ったぞ。ガッハッハッ」
仲間ではない。むしろ他人。ここに来たのはロール村に被害が出るのを避けたいからですよ。
「ゴブリンシャーマン共も、なかなか楽しませて貰ったぞ。ガッハッハッ。」
真似してみた。だって怖気付いたら負けそうな気がする、精神的に。
ホブゴブリンが、一瞬驚きを見せたが、意に返さず言った。
「シャーマンがやられたか、まぁしょうがない、あやつが弱かっただけ。それより我が言葉がわかるのか?」
頷いた。
「そうかそうか、わかるか。愉快な人間だ。では殺ろうぞ」
そう言い、ホブゴブリンは突進してきたて、担いでいた棍棒を大きく振りかぶった。
楽しそうですねホブさん、こっちはちっとも楽しくはありません。
俺はその一撃を左に避けた。空を切った一撃は大きく地面を叩き割った。
「なかなかの威力。が、遅いよ」
そして、手に持っているナイフをホブゴブリンの右脇腹に深々と突き刺し横に裂いた。ナイフがボロボロのせいか、切れ味が悪く力任せに裂いた。
ホブゴブリンは叫びさえはしなかったが、腹から垂れ流れる長い物を、必死に元の場所に戻そうとしながら、崩れ落ちた。
そして、絶命した。
実に呆気なく終わった。
《アオバ・ミネギシのLvが5になりました》
残ってるゴブリンは……3体か。かなり怖気付いてますね。
奥の方で、何やら動いている気配を感じた。近寄ってみると、子供のゴブリンが2体いた。かなり怯えてる様子。
子供がいるのか。それより、女ゴブリンが居ないのは何故かな? いや考えるのは止めときましょう……。
とりあえず、ゴブリン達を1つに集めた。
「ゴブリン達はどうしたい?」
1歩近づく。
「死にたくない」
完全に戦意喪失ですね。子ゴブリンも泣きじゃくっているし。まいったな、完全にこっちが悪役ですね。
大量虐殺したイカれたサイコ野郎よろしく。
魔獣にしてみたらそう映るのかな?人間も魔獣もあまりに大差ないのかもね。
「大丈夫だよ、安心して」
ガチャに入れば快適に過ごせる事を教えてあげ、一体一体テイムして、補充していった。ちなみに、名前はつけていません。
《固有スキル【ガチャ拡張】発動。保有所持が10体に増えました。》
10体ね。今合計はレモン、ライム、ゴブ汰、今のゴブリン達5体だから、8体ね。OK。
戦闘が終わり、デフォに戻ってたゴブ汰の頭を撫で、戦利品にホブゴブリンの棍棒を与えた。
――――――――――――
「アオバ~。そっちは終わったんだね。こっちも処理終わったよ。人間は残しといたよ。」
ライムの所に戻り、その姿を見て笑みを浮かべる。癒される。唯一の癒し。ただちょっと、赤い色の物とかなんか
「ありがとう」
礼を言ってもう1つ頼み事をした。寝ぐらに行って処理をして欲しいと。ライムは快く承諾し、寝ぐらに向かってポムポム跳ねていった。
残してある亡骸は男性2体。女性1体。どちらもまだ若そうな感じだ。後は息のある少女。俺は息のある少女を抱え、外へでる。ゴブ汰も亡骸を両脇に抱え外へ。少女をゴブ汰に見ててもらい、もう一体の亡骸を運ぶ為に戻った。
――――――――――――
洞窟の外へ出た俺は、亡骸を村に運ぶわけにもい
かないので、適当な場所に埋めてあげた。生前装備していたであろう、装備品を添えて。
そこへ、ライムがやってきた。
「処理は終わったよ。もう何も残ってないかな」
「ありがとう」
そう言い、俺は洞窟の入口まで戻った。
「【ソイルボール】」
ソイルボール2発で洞窟を完全に破壊した。
Lv2は中々の威力ですね。これでもうこの洞窟は、誰も入れないでしょう。
村へ戻る途中に池へ寄った。全身血肉まみれの格好では、さすがに村に戻れませんからね。体の汚れを流し、少女にこびり付いている汚れも、綺麗に流してあげ、村へ戻った。
少女を抱えている俺と、新たな仲間に、ママさんは驚き、姉弟とレモンははしゃいだ。
村長に事情を説明した。説明って言っても、ただゴブリンに襲われていた少女を、助けたとだけ。あの惨劇まで話す必要は無いからね。
ゴブリンは退治したから、あの森にはもうゴブリンは居ない、この村には害は及ばない旨を伝え、安心させた。
村長は村を代表して感謝をしてくれた。
少女をママさんに案内され、離れの部屋で寝かせ、夕飯を頂く。暖かい家族との一時。
最高な癒しの時間ですね。居間ではライム達が遊んでいる。
夕食を終え、しばらく姉弟と遊んだ後、部屋へ戻る。少女はママさんが診ていてくれるとのこと。
部屋に戻り、座った途端、どっと力が抜けた。なんという虚無感。この世界に来て、まだ1日しか立ってないのに……。女神が言っていた、ありふれた世界って……こんなのが当たり前だって?
確かに剣と魔法と、魔獣が居ればこんな事が日常的に起こりうる世界。少々浮かれすぎてましたね。ゲームとは違うんだよね。リアルな世界。何時でも死と隣り合わせ……。
俺TUEEEEで、もふもふして楽しく過ごしたいだけなのに。少々考えを改めないとダメですかね。
い~や、ダメじゃない。異世界なんて、元々こういうもんでしょ。多少なりとも俺は強いんだし? 殺らることはそうそうないでしょう。別に気にしたってしょうがない。だったら、この、当たり前の世界を受け入れ、面白可笑しく、楽観的に生き、もふもふ生活を満喫するだけ。
面倒は避け、邪魔する者は駆逐すればいいでしょう。ハッキリ言って、他はどうでもいいんですよね。もふもふさえあれば。もちろん、自分の守りたい人、物は守りますよ。そこまで鬼畜じゃないですから。
うん、そうしましょ。自分に言い聞かせた。
しかしこの世界、もふもふがないとやっていけませんね。少なくとも俺は。もふもふがないと、いつか精神崩壊するのは、間違いないですね。
スライム2匹と姉弟を両脇にし、チラッとゴブ汰を見、癒されながら就寝。
ゴブ汰は、手に入れた棍棒を嬉しそうに、念入りに手入れをしていた。
ちなみに姉弟は寝る前に遊びにきた。すっかり懐いてしまった。レモン達にだけど。
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