第6話 もふもふと探索。

 日もすっかり開けてしまった。俺は寝れなかった。レモンとずっとたわむれていたから。

 姉弟もそんなレモンになついてしまい、離れずに一緒に寝ていた。幸せそうに寝ている。寝顔がとても可愛いらしいですね。


 半ば諦めていたもふ生活。そしてこれから始まるもふ生活。ニヤニヤしながら、レモンをぷにぷにとつついて、癒していた。


 そういえば、レモンのステ確認していませんでしたね。


 名前:レモン Lv4

種族:スライム 種類:レモンスライム

属性:水

HP16/16

MP32/32

特技【ウォーターショット】Lv2

筋力D: 精神力:C 敏捷:D ストレス:1


 おっ。2つも上がってますね。


 ママさんが朝食の支度が出来たと、呼びに来てくれた。姉弟を起こして、一緒に朝食を取った。


 今日の朝食は、ママさん手作り、きのことキイ牛のサンドイッチ。きのこと野菜のサラダ。きのこスープ。濃厚ミルク。キノコ尽くしですね。もちろんどれも美味。毎日食べていたい。旦那さんが羨ましいと思ってしまいましたよ。料理も出来て、それでいてかなり美人さんです。


「アオバさん、この後の予定は?」


 ママさんが聞いた。


「今日は森を探索したいと思います。魔獣も捕まえたいですし」


「気をつけてくださいね。森の奥の方は凶暴な魔獣がいるらしいですから」


 そういえばおっさんも言っていたよね。凶暴か~。スライムで既に凶暴なのに……

 またグロい容姿なんだろうな。まぁこのガチャさえあれば関係ないけどね。でもそんな 魔獣がいたら、いつかこの村襲われるよね?

 そう思いながらもレモンを見たら、ニヤけてしまう。


「うわっ!!」


「どうかしましたか?」


「いえ、何でもありません。すいません」


 レモンの元の姿を思い出してしまった……。


 昼食にと、きのことキイ牛のサンドイッチとミルクを持たせてくれた。至れり尽くせりですね。お礼にきのこを採ってきてあげよ。


 しばらく姉弟の相手をしてあげでから、行く支度が出来たのでレモンを連れて探索へと行こうとした。


「「レモン連れていっちゃうのー? ヤダー。」」


 すると、レモンも行くなら自分達も行くと、姉弟は言ってきかない。これは困ったぞ。どうするかな。


「わかったよ、おにいちゃんが帰ってくるまで、レモンと遊んでていいよ。でも今回だけだからね、レモンが居ないとおにいちゃん困るから」


 姉弟は嬉しそうに、レモンに抱きついた。


 そんな 無邪気な子供たちを微笑ましく眺めた。


「レモン、帰ってくるまで、しっかり相手してあげてね」


「まかせて~、アオバ殿も気をつけてね」


 そしてママさんは申し訳なさそうにお辞儀をした。

 家から出て、村の入口まで来た時、声を掛けられた。


「よっあんちゃん昨日ぶり。何処へ行くんだい?」


 昨日の牛飼いのおっさんだった。


「おっさん、この村の人だったんですね。昨日はミルクご馳走までした。美味しかったです。今から森へ探索に行こうと思います」


「そかそか、ならこれ持っていきな」


 またミルクをくれた。ミルクが2つになった。そして、ナイフ。


「無いよりはマシだろう」


 そう言っておっさんはニカッと笑った。おっさんにお礼を言って村を後にした。


 村を出て森を左の方へ進みながら、きのこやら薬草やらを採取していった。


 ベチャッ!!


「うげっ!!」


 おわっ!! うげ?


 採取に夢中になってて気づかなっかた。緑色の粘っとしていて、伸び広がっている物を踏んでしまった。

 なんだこれ? ネバネバしていて気持ち悪い……。うげって言ったよね? 落ちていた小枝を拾ってツンツンしてみた。


「おいやめろ……」


 すると、目と口が現れた。


 ――――――っ!!


 思わず飛び退いて、すかさず【鑑定】した。


 名前:なし Lv3

種族:スライム 種類:ライムスライム

属性:水

HP1/7

MP1/15

筋力D: 精神力:D 敏捷:D ストレス:5


 スライムだっのか。ストレス5……あ~瀕死だから。


「〘ダークヒール〙」


 回復してあげた。

 お~綺麗な緑、今度はライムか。色と名前は合ってるが、やっぱり見た目が……。


「……人間よ、なぜ助けた?」


「気まぐれ?」


「そうか……まぁ何にしても助かった。ありがとう」


 まさか、スライムに礼を言われると思わなかったから驚いた。魔獣にもまともなやつがいたんですね。


「なあスライム、仲間になる気ある?」


「我が人間の仲間になるだと?」


 ライムスライムはしばらく考えて、口を開いた。


「わかった。助けてもらったしな、仲間になろう」


「そっか、ありがとっ」


 さて、友好的だし、捕縛の鎖なしでもいけますかね。


「【テイム】」


 いけた。よし、名前をつけるかな。ライムスライムだからライムでいっか。苦笑


「名前つけてあげるよ。今日から名前はライムね」


「あいわかった。しかしひねりがない」


 また言われてしまった。


 名前:ライム Lv3

種族:スライム種類ライムスライム

属性:水

HP 12/12

MP25/25

特技:【ポイズンミスト】

筋力D: 精神力:C 敏捷:D ストレス:1


 【ポイズンミスト】毒持ちだったのね。 これは中々使えるんじゃないですかね?

 ストレス下がったみたいだね。よかったよかった。


「ライムさんライムさんちょっとこの中に入って」


 有無も言わず【補充】を唱えると、ライムは吸い込まれていった。


「なっ!! ちょっおぉぉぉ」


 これが面白いんですよ。そして、ガチャを回し、すかさず【ディスチャージ】すると、ライムが現れた。


「来たーー!! 可愛い」


 ライムを抱きしめぷにぷにした。癒される。


「なになに、この姿?」


「仲間になった証かな。ふっふっふ」


 ちょうど木陰があったので、昼食をする事にした。

 ミルクが余っていたので、ライムにあげようとしたら断られた。ミルクを飲んで気づいた。かなり冷えている。これには喜んだ。巾着が現状維持のまま保存可能だということに。これで何でも保存できますね。

 それからライムに、レモンスライムを知っているか聞いてみた。


「もちろん知ってるよ。水飛ばしてくる奴でしょ。この森にもたしか居たはずだよ。」


 知っていたのね。ちなみに色付きは特殊か聞いてみたら、普通より数は少ないけど、まぁ居るとのことだった。レモンさんあなたってスライムは……。


 サンドイッチを食べながら、ライムがなんであんな状態になっていたか聞いた。

 餌を喰い歩いていたら、突然魔法に打たれたような、衝撃があり、気がづいたらあの状態になっていたらしい。


 ふむ、魔法か。人間か誰か来たのかな。


 すると、何処からか、話し声が聞こえた。

 2人、いや3人か。早速人間かな。とりあえず、気づかれないように草木に隠れ、近づく。


「きょう めし いっぱい」

「収穫あった」

「早く報告する」


《スキル【言語理解】のLvが2になりました。》


 スキルのLvが上がったね。こっちは固有と違って上がるんだね。


 で、話してるのはゴブリンだった。これもまた醜くて凶暴で、鬼ババァみたいな顔。いや鬼ジジィかな。まぁそこは、どっちでもいいけど。子供くらいの大きさ、全身くすんだ緑色、腰布を巻き、皮の袋を下げ棍棒を担いだ、いかにもザ、ゴブリンって感じですね。


 名前:なし Lv2

種族:小鬼 種類:ゴブリン

属性:土

HP8/8

MP0/0

筋力D: 精神力:D 敏捷:D ストレス:3


 強くはないね。1匹捕まえるかな。ライムが左を。真ん中が俺、右を捕縛。指示を出し、後ろから近づき合図を出す。と、同時に。


「【捕縛の鎖】」


 黒を纏い銀色に輝く鎖が地面から現れ、右のゴブリンを締めていく。


 いきなり地面から鎖が現れ、驚いた真ん中のゴブリンを俺は、後ろから羽交い締めにし、持ってたナイフでゴブリンの喉をっ切っる。


 ライムは振り向いたゴブリンに、ポイズンミストを吹きかける。が、ゴブリンはそのまま振り上げた棍棒をライムに叩きつける。しかし全く効かず、ぽよ~んと、弾き返される。そして、毒が回り、じわじわ苦しみだし、しばらくして絶命した。


 ライムさん、その可愛らしい姿に笑顔で殺るとは、なかなかサイコですね……


 上手くいった。なんか俺、暗殺者みたいでかっこいいですね。テイマーな暗殺者。


 魔物とはいえは、実際に、この手で殺めるとなると……この世界もリアルなんだな……ゲームとはわけが違う。実感した。


「どうしたアオバ。大丈夫?」


「なんでもない。大丈夫」


 さて、どうするかな。


「なあゴブリンよ、先程の話はなんだ?収穫とか、報告とか」


「にんげん はなし ない」


 ほほう。捕縛の鎖でさらに締めつける。ゴブリンはもだえる。


「あそこの、2体みたいになりたいですか?それとも仲間になる?」


 さらに締める。


「ぐぐっっぅ やめて わかった いう なかま なる」


 ゴブリンは観念した。


 ゴブリンに【テイム】&【ダークヒール】掛けて、仲間にした。


「アオバは怖い人だ~」


「そう? 魔獣の方が怖いよ?」


 ライムもアオバも苦笑した。

 それにしても、デフォになると、ちょっと言動も幼くなるのね。ニヤッ。

名前はゴブ汰にした。


 名前:ゴブ汰 Lv2

種族:小鬼 種類:ゴブリン

属性:土

HP23/23

MP0/0

特技【ぶん殴り】

筋力D: 精神力:D 敏捷:D ストレス:1


 【ぶん殴り】とかゴブリンっぽいな。


 何も前触れなく【補充】した。


「んんん、あぁぁぁ」


「ライムもあんな感じだったの?」


 頷く。自分を名前呼びしたよ。


「そう言えばスライムって雑食だよね? なんでも食べれるの?」


 ゴブリンの死体を指して言った。ゲームみたく、倒したら消えるわけじゃい。さすがに捨て置くと、気持ち悪いし、腐臭もするでしょう……。

 ライムは雑食だから大丈夫だと、ただし魔核コアとか硬いものは消化出来ないらしい。それはドロップするから好都合か。


 ゴブ汰を【ディスチャージ】した。

 可愛い。ゴブリンでさえ、こんなに可愛いいんですね。2頭身の、棍棒を担いだゴブ汰が目の前に現れた。


 なんて素晴らしいガチャガチャなんだこれは。最高なもふ生活を送れそうですよ。


 かなり浮かれていた…………。



 ――――――――――――


 ゴブ汰に話を聞いた。最近ゴブリン達は冒険者に追われ、この付近に逃げ、棲み着いた。 この森を偵察してたら、ある村を見つけたこと。その報告に戻ってる途中、俺に見つかったと。そして、偵察に行く前に人間達が棲家に現れたこと。


 村はロール村だよな……危なかった。下手したら襲われていた。ゾクッとした。このままにはしておけませんね。

 ゴブリン達を何とかしないと、遅かれ早かれ襲われる。皆さんにはお世話になってるし、襲わせるわけにはいきませんね。ん~人間が来ましたか。もしかしてライムを攻撃した人達かな。


「で、その人間達はどうなった?」


 自分たちは偵察に行ったからどうなったかは知らないと。まぁだいたい想像できる。凶暴で残忍なゴブリンなら、きっと彼等は……。

 ゴブ汰に、棲家を案内させ、急ぎ向かった。


 クソッ !!生きててくれ!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る