GIRLS ON THE 乱

「…ひなた、あんたどうやって“あの”藤原さんのこと手懐けたの?」


 そんな余計なことを聞いてきたのは、宝 一二人たから ひふびっと。彼女と校庭で準備体操をしている時のことだった。


 丁度互いに背中越しに腕を組んで背中を伸ばす(あの何て呼んだら言いのか微妙に困るあの体操)体操をしていたので驚きと伴って、喉からあひゅ?という変な声が出た。


 手懐ける……??


 …いや、別に仲良くなったわけではない、と全力で否定したかったが流石にそうゆう訳にもいかない。


「……そう見える?……」


「え、ちがうの?」


 ちがう…断じて違う…。


 …何も知らずに呑気なものだ…と深い深いため息と共に吐き出したニュアンスはしかし、一二人ひふびっとには掬い取ってはもらえなかったようだ。


「……まあ…そう見えるよな……」


「だって、あんた今クラスで珍獣遣いって呼ばれてるんだよ?」


 そうか。それは別に知りたくはなかった。


「……あだ名と言うより二つ名??……」


「どっちでもいいよ……」


 分かっている、分かっているのだ。


 藤原さんは悪い人ではない…ただ…


「ひなたーん!!ごはん一緒にたべよう!!」


「ひなたーん!!トイレ一緒に行こう!!」


「ひなたーん!!小説書いたよ!!」


「ひなたーん!!小説読んだよ!!」


「ひなたーん!!」


「ひなた氏―!!」


「ひっなたーーーん!!」


 距離感……ッ!!!!!


 私は心の底から大きくため息をついた。


「だ、大丈夫、ひなた……??なんか疲れて見えるけど…少し休んだら?」


 あ…分かる??分かってくれる??


 親友の心配そうな表情(見ようによっては怪訝そうに見えなくもない)を眩しく思う。


 それはきっと私の心が弱りきっている証左なのだろう。


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