続・神崎ひなたの受難 〜藤原×神崎SS〜

藤原埼玉

IN THE 保健室

 沈黙。それは気まずい。


 余りの気まずさに私は自分の手をこねこねといじくる他になすすべもない。


 しかし、それでもなお粘り強く続く沈黙の時間。


 手持ち無沙汰になった私は、保健室のカーテンのシワを意味もなく数えていた。


 隣に座った藤原さんをチラと横目で見る。彼女はどこか緊張した面持ちで床を見つめていた。


 ……そもそもこいつは反省しているのだろうか……?


 私からは何かを言い出しかねて目線を上げると丁度藤原さんと目が合い、彼女が口を開こうとしているのが分かった。


「……ご、ごめんねひなたん」


 話し言葉と一緒に恐る恐ると縮こまる。元より小さい藤原さんの身体はより一層小さく見えるようだった。


「ひ、ひなたんの制服の匂い嗅いだりとか……もうしないからッ!!!!!!!!」




 制服の 


 匂い嗅いだり 


 もうしないから(字余り)




 確かに、制服は嗅ぐべきものではない。


 だが“嗅ぐべきもの“ではなくても“嗅げるもの“ではある。私はあり得べき未来の可能性の話をしている。


 嗅ぐべきか嗅がざるべきか。それが問題なのだ。






 …いや、そんな訳あるか。満場一致で嗅がんわ。そんなん当たり前だわ。


「こ、公共の場で何を言ってんだお前はあああああああああああああ!!??」


「え、ま、間違えた!?…ご、ごめんなさい…!!」


 そう。こいつについては反省とかそれ以前の問題なのだ。

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