0話 エピローグ 後半

ここが新しい世界なのか?そう疑問に思っていると正面に人?のようなおじさんが現れた。

「君が白西定永君だね」

「はいそうですけど」

 そのおじさんは普通の人間より一回り、二回り大きい。

「もしかして、私の姿に驚いているね。無理もない。君の世界では人間のみで栄えているからね。こっちの世界は違うのだよ。こっちの世界では様々な種族で栄えているのだよ。私たちは天の使いのものだ。天使というものだね。君たちの世界の最近の文庫では天使のことを可愛いと表現しがちだが、天使は天の使いという意味だからね」

 後半から何言ってるのかわからないけど、要するにこの世界は様々な種族がいる。そして天使は神の使いのこと。これだけだ。

「ところで、さっきのミルティルって娘は?」

「ああ、あの娘はここの天界でも強さがトップクラスの娘だ。天使族は神の血を濃く引いていて特にあの娘はその血が濃いのだよ」

 今度は短い文章で安心だな。そういえば、あいつやっぱり強いほうだったんだな。

「ところで、なぜ俺の名前を知っているんだ?」

「ああ、その件だが、この世界に君を呼んだのは神から直接言われてね、別の惑星に強力な魔力の持ち主がと」

「それが、俺ってわけね。俺を殺すのか?相打ちまではいかないだろうが、傷をつける程度ならできるはずだぞ」

 少し、挑発気味に言ってみたが、本気でも傷一つつけられずに負ける可能性だってある。むしろその可能性ほうが大きい。

「いや、君の魔力の質だよ。君の魔力の質は現在の魔王に、いや、神に匹敵するかもしれない。その力が今のこの世界には必要なんだよ」

「強い力?なぜ必要なんだ?神でもいいだろ?」

 きっとあっちの世界には俺よりも強いやつがたくさんいるだろう。それに俺は怪物にすら勝てなかった。天使のトップクラスのミルティルにも勝てないだろう。

「神でも良いのだが、負ける可能性があるからだ。君も遭遇しただろう。あの、怪物に」

「あれは、天使でも倒せるんじゃないか?」

「この世界より遠い世界、生まれたばかりだというこの二つの条件が重なり、まだ弱かったから簡単に倒すことができたのだ。あれは本来の強さの100分の1。いや、それ以上のかもしれない」

 俺なんて手も足も出なかった相手だぞ?勝てるわけないだろう。俺はそう思った。

「そうのためには君は知識や経験が乏しい。だから、君には様々な試練に挑戦してもらう。この世界には3つの洞窟があるのだ。それのすべてを攻略してもらいたい。できそうか?」

 このでかいおじさんが挑発気味に言ってきたので俺はそれに乗るように返してしまった。

「ああ、簡単にやってやるよ」

 知識が乏しいか。確かにそうかもな。あの娘、ミルティルが言っていた吸引魔法、基礎中の基礎らしいがそれすらもできなかった。

「その意気込み忘れないようにな。ミルティル。送ってやりなさい」

「めんどくさい」

 小さく言ったよなこいつ。見た目は良いけど、性格悪いな。

「はい、3、2、1、はいついた」

 え?そんなもんで魔法使えるの?やっぱりトップクラスは違うな。俺でも20秒くらいかかってしまうな。

「早くないですかね」

「私は帰るから」

 説明も何もなしに帰ろうとしているこの娘…本当に天使だろうか?

「あの、説明は…」

「……はぁ、ここは地下20階まであって進むには様々な知識が必要なの。頑張って」

「それだけ?」

最初遭った時はいかにも天使って感じだったけどこれじゃあ、残念だな。

「まあ、このまま進んでみるよ」

「出るときは転移魔法を使っ…」

言い終える前に転移して帰ってしまった。帰り方を聞けたからいいけど。

よし、気を取り直して、とりあえず、この洞窟をクリアしますか。

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