第23話 温泉でまったりまったりしていたら
日没が近づき、空が赤く染まる頃、ブブリア山頂の灯台の灯りがまばゆく照らす街レシャントラに空挺便は到着した。この街で一夜を過ごし、夜明けと共にまた空挺便は空を翔けるのだ。
「いやあ、楽しいな!おっぱいだな!」Cは目を子供のように輝かせて大浴室の湯船に浸かっている。このレシャントラは温泉が湧く地で、ブブリア山麓の方には『トワイライト・タウン』と呼ばれる有名な温泉街があるのだ。大陸各地からの湯治客もあまた温泉宿に逗留しており、今は前線から帰った兵士達と思しき者が、酒を片手にくつろいでいる姿もそこかしこに見られる。
「明日はいよいよビグレンガだ。もっとおっぱいだぞ」
ギルはその隣でティガリア産のオレンジを剥いている。オレンジの皮を器用に浴室のゴミ箱に投げ入れて、美味そうに果汁たっぷりのオレンジの果肉を頬張りつつ、
「あまり治安は良くないが、それはもうおっぱいのおっぱいだ」
「おっぱいかー、どのくらいのおっぱいだ?」
「ボインボインのたゆんたゆんだ」
「そりゃすげえ」と目を細めたCが気配に気付いた。「ん?」
急に大浴室の灯りがわずかに揺らいだかと思うと、黒いローブをまとった老爺が姿を見せた。ふわりふわりと濡れた床の上や湯の上を浮かぶように歩き、二人の前に立つ。何者だろうと二人が眼光を光らせた時、
「おくつろぎの所申し訳無いが、ちとお二方、カタコンベまでご足労願えぬだろうか。ワシは魔神の族長、ケムダーと申す」
丁寧に一礼した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます