第12話 最悪、収束

時刻にサルバナの首が明後日の方向を向いていた。だが死んではいない。イルガの怪力で死なないようにへし折ったのだ。グラガの手でグレ・ダブは顎の骨を砕かれ、四肢を粉砕されて声もなくのたうち回る。

オルランドだけが反射的にギルめがけて逆に襲いかかっていた。

だが、その眼前にCが登場する。

「や、こんばんは」Cは脳天気に挨拶した。「ごめんなあ、俺が邪魔したばかりに食人しなきゃいけなくなっちまって。それは謝るよ。でも勇者さん達さー」

「黙れ!スキル発動、【ブレイクアーマー】!」

オルランドの剣が光った。この剣に接触した全ての物体を切り刻む攻撃スキルが発動されたのだ。

Cはにっこりと笑って――、

「違った違った。もう勇者じゃなくて、人食いだったな」

無造作に指を二本突き出した。それは攻撃をかわした体勢から、勇者の眼球を狙っていた。

絶叫。剣を取り落とした勇者は顔面を押さえてのたうち回る。その両腕を双魔鬼兄弟が引きちぎった。更に絶叫がこだまする。

「俺ね、別に人を食った事は怒っていないんだ。俺も腹ペコでどうしようも無かったら、そうするだろうしさ。でも」Cは穏やかな笑顔のまま凄まじい気迫で言ってのけた。「食ったからには食われる覚悟はあるんだよな?」

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