第5話 ステータス
ま、まぁね!俺が最強のスライムに至れば、概ね夢は叶うってもんだよね!...でもなぁ。やっぱりテイマーをやりたかった。主従の絆とかさ、そういうのに憧れていた節があったのに。今更文句も言えないだろうけど。もしその願いを通すのなら、俺はペット枠か...。ご主人様は美少女なら許そう!男は駄目、絶対!
因みにベイビーホーンラビットは完全に食べ尽くしました。味は無かったです。食感すらも...溶かして飲み込んだからね、無かったよ。
そして、ピロリンという機械音のようなものが聞こえた気がしたんだ。おそらく...レベルアップ。幻聴かもしれないけど。
と、来たら。見てみたいよね。俺のステータス。さっきは"ステータスチェック"を考えていた。けど、見れなかった。これは俺が
『やったぜ。遂に《剣術》のレベルが3に上がった!』
とか
『俺の筋力値がようやく平均を超えた...長い道のりだったぜ』
とか考える姿を思い浮かべろよ、という事だ。...転生者は例外ね。
そういう理由で、魔物には自身のステータスを簡単にチェックするモノがない、と思われる。人間にも無い可能性はあるけど、魔物に無いことは察した。
んで、ステータスを見たい俺には──そう、《鑑定》がある。《
まぁ、
さぁ、いざ鑑定していこう!
種族:リトルベイビーコアスライム
称号:異世界からの来訪者
レベル:3/5
ランク:G-
体力:G-
魔力:G
攻撃:G-
防御:G-
俊敏:G
運力:C
スキル:《鑑定 Lv.2》《アイテムボックス Lv.1》《言語理解 Lv.10》《溶解液 Lv.2》《吸収 Lv.2》《体当たり Lv.1》《疾駆 Lv.1》
自分の体の中を覗き込むように《鑑定》を発動させる。目を合わせる、という条件を達成出来るわけ無かったが、一応発動しているようだ。ぽわっと先程と同様に文字がつらつらと浮き出てくる。どうやら自分のステータスはしっかりと見れるようで、情報は俺が望むものを揃えていた。
何故、これほどの情報が見えるのだろうか?自分に対して行使している訳だから、抵抗とかをしていないからかな?気になることではあるが、今はどうでもいいか。
そしてステータスに目を向けて......まず一言いいかなーっ!?種族名が長過ぎるよねーっ!?何さね、リトルなベイビーでコアを持つスライムて!...生まれたばかりだし、俺の身長は直径10センチもないから、あながち間違いでもないんだけどさ。
でもなぁ。「私の名前は○○!種族はリトルベイビーコアスライムだよ!」とか自己紹介したくないなぁ...。する機会なんて来る事は無いだろうけど。
まぁ、
見れるステータスは
はぁ、とため息をついてしまう。知ってはいたが、俺のステータスは貧弱だ。ランクG-とか最低なんだろうな。Gのベイビーホーンラビットと大差なかったんだね。
...と言って、あんまり具体的にどれくらい弱いか分からないな。なにを基準にしてのGなのかとか、最高位は何なのか、とか。まぁ、数値にされていたとしても分からないだろうけど。せめて一般男性のステータスを覗きたい。...な、なんか変態に聞こえるな!?そういう趣味じゃないからね!平均値を知り、己の強さを十全に理解したいだけだから!
コホン...次にスキルを見ていこう。
俺がお願いした
でもさぁ...なんで《言語理解》だけがレベル10なの?それはそこまで上げないと使い物にならないから?って言うか、俺
他には...おっと、他には
一応詳細と言おうか、説明文と言おうか、そういうものが見える。目を凝らしていると、ぽわっと頭に浮かんできたのだ。
《溶解液》
溶解液を生成。
魔力を消費。
(レベル)に応じて溶解の強さが変動。
《吸収》
《消化液》及び《溶解液》にて溶かした生物を体内に取り込む。
確率で吸収した生物が所有するスキルを得ることが出来る。
(レベル)×10%で成功。
大雑把だが、何となく分かる。これが俺の持っていたスキルである。まぁ、スライムっぽいスキルだよね。《消化液》は無いけど、《溶解液》と大差はないだろう。
それで、《体当たり》と《疾駆》はベイビーホーンラビットのスキルかな?一応説明を見てみよう。
《体当たり》
指定した方向へと速度を与える。
衝突時に自身への反動を軽減する。
レベルに応じて威力が変動。
《疾駆》
接地時のみ使用可能。
魔力を消費。
自身の速度を(レベル)×10%増加させる。
(魔力)×(レベル)秒使用可能。
なんとも、まぁ、兎が使いそうなスキルだこと。ベイビーホーンラビットの詳細を《鑑定》出来なかったから確かじゃないけど、奴から奪った可能性は十分に高い。ってか、それを望む。
だってさー、他の魔物からスキルを奪うってのは、定番中の定番だよね。それくらい無かったら、スライム最強伝説の幕開けにならないし。食った敵の能力を奪うか姿を奪うか、どちらかは必須案件だよね。
まぁ、《吸収》の説明には確率でスキルを奪えるチックな事が書いてある。恐らく100分の1を引いて2個とも当てたのだろう。もしかしたらあと何個か奴が持っていた可能性もあるが...知らないものは仕方ない。そして、《吸収》を成功させたお陰でスキルのレベルがアップした、ということかな。
やはり最初に見ておくべきだった。色々と分からない事だらけだ。初期状態を知っているのと知っていないのとでは、自身のステータスの読み取りにも大きく差が出来るな。
実を言うと、俺はファンタジーは大好きだが、ゲームなどには疎い。こういう状況の時、現実的に食料だとか、寝床だとかを考え始めるあたり、まだまだファンタジーに馴染めていないのかも。だって一番始めに見ておくべき知っておくべきステータスを、後回しにしちゃっているのだもの。ここは元の世界とは違うのだ。その意識だけはしっかりと持っておかねば、この先大変だ。
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