ルールその2 むやみやたらに触れるべからず。
ラムちゃんのルールその2 むやみやたらにラムに触れるべからず。イチャイチャしたい場合は、事前に許可を取りましょう。
よいしょ、と言いながらラムちゃんは俺の隣に座った。隣りと言っても人が一人は、座れそうなスペースを空けているが、これは俺が嫌われているわけではない。仕様だ。
「・・・ラムちゃん、もう少しだけ寄ってもいい?」
「なんで?」
両手でお気に入りの大きなマグカップを抱えて、大好きなほうじ茶を飲みながら、ラムは真ん丸な目をして俺の顎を見ている。
別に、ラムは俺の顎が好きなわけではない。ラムは人の目を見るのが苦手で話をするときはだいたい、顎を見ている。
「なんでって・・そりゃあ、ちょっと、ねえ。」
「・・・?」
「触りたいんです、ラムさんに。」
「ああ、はいはい。」
ラムに遠回しな言葉は通用しない。意思と目的をしっかりと伝えないと、本当に全く伝わらない。暗黙の了解ってものは、ラムの星には存在しないらしい。
俺の要請を受けてラムは、カップを机に置いて大人しくなった。ぼーっと一点を集中してみている。気を逸らそうとしているみたいだけど、肩に触れた途端にビクリと体に力が入った。かちかちに固まった体をゆっくりと抱きしめた。
「ラムさん、俺、今、ラムさんにキスしたいんですが、いいでしょうか。」
「・・えー・・・ちょっと待って。一気には、ちょっと。」
耳もとで聞こえるラムさんの深呼吸が、おかしくて口元が知らずに緩んでいた。
異星間交流 霜月 風雅 @chalice
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