蝶 三
顔も知らない女の人が崩れ落ちていくのを、私は生温いものに降られながら見ていた。
蓄えていた酸素が尽きて、たまらず空を貪る。上弦の月が黒かった。いや、私の瞳には何もかもが赤黒く映った。
依然、滔々と流れる赤を私の黒のブーツが吸い込んでいく。
その様に吐き気を催して、その場から飛び退こうとするも、血に滑ってしまう。私の手は直接罪に濡れた。
「......違う。私じゃない......」
赤い蝶が倒れる女の人の割れた首から這い出て羽ばたいた気がした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます