第1話 これは夢かもしれない。

 

――――これは夢かもしれない。


 AM:6時30分。枕元でアラーム音が鳴り響く。


「ハァー。 もう、朝か……」


 リクはアラームを止めて眠そうに目をこすった。


 朝、目が覚めて瞼を開けるその瞬間、広がる世界は家の天井ではなくて、廃れた街の空なんじゃないかと思う時がある。

 でも、洗面台で顔を洗って皮膚に浸る水の感触と温度。ベーコンを焼いて朝ごはん調理している時にフライパンから熱い油が飛んで、


「あっつッ!」


 っと皮膚に感じる痛み。完成した朝ごはんを食べて舌に感じる味覚、喉を通る感覚。

 それらが、――――現実だって教えてくれる。


「8月10日に実行された国連祓魔軍事機構と聖雄教会、共同部隊による暗黒界進出作戦開始から、はや3週間が経過しました。」


 テレビにはニュースが流れている。

 リポーターが海辺に立ち地平線の先を指差した。

 海の向こうにかかる霧。その先には未知の大陸があり、新たな資源が眠っていると期待されている。

 この世界における常識として、霧の向こうへは行ってはならない。それが当たり前だった。

 各国の法律でも許可無く霧を越えるの禁止している。

 未知であり未開拓の地にはそれほど危険が伴うからだ。一般人が決して踏み込んではならない領域。

 だが、ついに人類は手を組み国家の枠組みを超えて国連と教会が公式にそれを実現させた。

 未知の大地に向かう一行の報道に人々の期待が高まるのも無理はない。


 しかし、そんなニュースに興味は無いとリクはチャンネルを変える。


「では、占いです! 今日最も良い運勢なのは蟹座のあなた! …………」


 丁度よく朝の星座占いが流れていた。

 チャンネルを、そのままに占いを見ることにする。


「10位の乙女座の人は、トラブルと遭遇してアタフタ……。

 常に冷静な対応が重要です! ラッキーカラーは緑です!

 貴方の運命を変える、素敵な出会いがあるかも!」


「10位かー。微妙すぎ。」


 朝ごはんのトーストを食べながら自分の占い結果を眺めている。


「おはぁーあよう、リク……今日も暑いな……」


 すると、兎の獣人の女性が寝そうに欠伸をしながら起きてきた。

 彼女の白髪には寝癖が酷く付き、胸元のボタンが外れパジャマははだけ、何ともダラシない格好をしている。


「おはよー、サラ。」


 これは日常だ。いかにサラのボタンが外れ、その大きな胸がひょっこり出てきそうな状態でも、なんとも思わない。


「朝ごはんそこにあるから、食べてね。」


「あぁ、ありがとなー。もう、行くのか?」


「うん。食べたら行くよー。」


 何故なら、異性という風には認識していないからだ。

 いや、けどまぁ。異性であることは変わらないのだが、家族としか思っておらず、リクの中のサラの認識は母親や姉で、それ以上でもそれ以下でもない。


「そうか、気をつけてな。」


「うん。」


 だから、いかにサラがハレンチな状態だとしても何の変哲も無い日常としか思えないのだ。


「じゃあ、行ってくるねー。」


「おい、リク。リングは持ったか?」


 サラは家を出ようとするリクを引き留めると、確認するように声を掛けた。


「持ったよー」


 そう応えた、リクの右手人差し指には指輪がはめられている。


「あぁ、そうか。行ってらっしゃい。」


「うん。行ってくるー。」


 そうして、リクは学校へと向かいサラはその後ろ姿を見送る。これが彼らの日常風景。

 決して、夢ではなく紛れもない現実。


 ***


普段なら人通りの少ない路地。

 だが、そんな場所に大勢の人だかりが出来ていた。

 通行止めの黄色いテープ。

 その前には数人の警官が立ち並び、野次馬の彼らを塞き止める。


「…………」


 血の気が引いた真っ青な顔つきで警察官たちは悲惨なその光景を見ていた。

 目の前には、切り裂かれボロボロのドレスを着た女性の遺体。

 その遺体は顔や腕、肩に鋭い引掻き傷と殴られた痣が見られる。

 逆方向を向くハイヒール。女性の右脚は無残にも折れ曲がっていた。


「オエェ……。」


 若い警官がその惨たらしい女性の遺体に思わず嘔吐をしてしまう。

 それも、仕方のない事。何せ、女性の腹ワタが抉り出されているのだから。


「無理するな……。 お前はあっちで休んでろ。後は俺達がやっとくから。」


「すいません……」


 そうして、上司である中年警官は新米の若い警官に声を掛けると、女性の遺体を調べていく。正確には、マスクや手袋、帽子を着用した鑑識官数人が今、調べているところだ。


「経過を見るに、襲われたのは昨夜ですね。 それと……このご遺体も心臓を抉られています。」


 鑑識官である男は遺体を、じっくり見定めると振り返り警察官の男にそう話す。


「やはり、奴らの仕業か。」


「……クソッ! 国連軍は何をやってんだ……! これで、5人目すっよ……!」


 中年の男性警察官は険しい表情を浮かべ、未だ若く青臭さが見られ若い青年警察官は、悔しさを滲ませる。

 中年の男性警察官の「やはり」と言う言葉と青臭さが残る若い青年警察官の「5人目」と言う言葉から一連の連続殺人事件である事が伺える。


「……! こうなったら俺が奴を追ってやりますよ……!」


 青年警察官は、怒りを露わに拳を握りしめた。


「馬鹿を言うな。これは、俺たちの管轄外。

 祓魔官に任せるんだ。」


「しかし……!」


 犯人が中々捕まらず、苛立ちとフラストレーションが溜まる。


「ダメだ。何の為に法律があると思っている……。

 お前みたいに先走ろうとする馬鹿野郎の被害を増やさない為だ!」


 被害者女性の体の傷から分かるように、鋭利な爪跡、折られた足、抉られた腹と胸。

 犯行を行ったのは人ではない。

 人ならざる者で、人の理りを超えた力を持ち得ている。

 故に、法律がある。

 人ならざる奴らの捜査には警察は介入できない。

 それは、警察官の身の安全を守る為であり、被害を増やさないようにする為の法律。

 簡単に言えば、素人は手を出すなと言う法律だ。


「…………!」


 だから、中年の警察官は青年の警察官を止める。

 そして、青年の警察官は何もできない現状と、手を出す事のできない法律に縛られ、指を咥えているだけの自分に、憤りを覚え苦渋の表情を浮かべた。


「俺達は俺達の、専門家には専門家の責務と役割がある。

 だから、俺たちの仕事はここまでだ。

 いいな? あとは祓魔官とエクソシストあいつらに任せるんだ。」


「……はい。」


 煮えたぎらない思いの中、唇を噛み締めそう言葉を吐いた。


「分かったならいい。

 直ぐに本部に連絡しろ。5人目の被害者が出たとな。」


「……分かりました。」


 ***


 リクは行きなれた道を登校していた。


「なぁ、アンタ持ってんならさっさとだしなよ!」 


「そうだぜ、おチビちゃん? 痛い目に遭いたくないだろう。」


「あれれ、キミ可愛いね。

 でも、このお姉さんとお兄さん怖いからね言うこと聞かないと、あんな事やこんな事されちゃうよ~? それとも、僕に食べられちゃう〜?」


「え、ケン! またナンパ!?」


「…………」


 そんな、リクの目の前に他校の制服を着た女1人男3人の計4人が居た。

 そして、見るからにヤンキーのそいつらの中心に女の子がいる。

 スカイブルーのパーカーを着ているが、見るからにリクと同じ学校の制服……同じ学校の……女子生徒だ。


「おい、黙ってないで何とか言えよ!」


 ヤンキーの女が女の子の髪を引っ張り迫るように恐喝をする。


(もしかして、これが朝占いで言ってた遭遇するっていうトラブル……?)


 リクは朝の占いを思い出していた。トラブルとの遭遇。それが占いでの情報だった。


(占いでは冷静な判断が重要って言ってたしー……。

 んー、ここは一旦様子見かな……。)


 遠目から隠れてリクは様子を伺った。なぜ、助けようとしないのか?

 リクからすれば、女の子のことなど容易に助けることなどできる。

 では何故、それをしないのか。それは――――


「アンタのその制服さぁ。第一高の生徒だよな。

 だったらいっぱい持ってるんじゃないの? 

 親からたーくさんお小遣いもらってんだろ?」


「…………」


 名門国立第一魔導学院高校に通う生徒だからだ。

 お貴族様、お金持ちの御曹司、ご令嬢が多く通う学校。

 故に、ヤンキー彼らが女の子をそれらだと思いカモにしているのだろう。

 が、ヤンキー彼らは知らない。

 第一高校に通う生徒らは学部・学科に関わらず皆等しく入学時に戦闘の基礎訓練を受けていることを。

 故に、たかが一般の学生に後れを取るはずがない……のだが?


「おいおい? まじでコイツ。うんともすんとも言わねぇな」


「てんめぇ、口ついてんのかよ! あぁ!?」


 女ヤンキーが女子生徒の髪を握りしめながら、揺さぶった。


「……痛い……」


 小さな声で女の子の口から、そう言葉が漏れ出たような気がした。


(なぜ……なにもしない?)


 たかが、一般の学生ではないか?


「っち。ライオス、お願い。」


 女ヤンキーは舌打ちをすると、女子生徒の髪から手を放し隣にいた体格の良い男子生徒に声をかけた。

 男子生徒は「仕方ねぇな……」とため息を吐くと女ヤンキーと入れ替わるように前に一歩出る。


「ケン、エルバ。この女、抑えてろ。」


「ごめんね〜」「了解!」と軽い返事をする二人の男子生徒は女の子にゆっくりと歩み寄っていく。


 つくづく思う。人間は愚かだ。と。

 この国は良い国だ。この街も良い街だ。

 なに不自由なく暮らせて行けるのだから。当たり前のように生きていけるのだから。

 当たり前の生活を、当たり前の毎日を、当たり前の幸福を、そこに当たり前のように存在する平和を、当然の如く生きている。

 世界を見れば、不自由に埋もれ、やりたい事も、成りたいモノも、願いさえも、望むことが出来ない人達がいると言うのに。 

 生活に保障は無い。安全に保障は無い。全ての人に幸福など平和など無い。

自分がどれだけ恵まれているここのか。

 それを知らない彼らは、当たり前の幸福を振り回し、それが幸せだとも思えない生活と平和に胡座を掻いている。

 愚かだ。一生気づきもしないだろう。

恵まれ、存在と同時に自由があることがどれだけ幸せかなのか。

 それなのに、彼らは他人を故意に傷つける。


「……。嫌……」


 その時、また聴こえた小さな震える声。小さく微かな声。そう聴こえたようで、でも確信はない。だが、そう聴こえた。――――と思う。


「え、なに? なんか言ったー? 

 それよりキミ、いい匂いするね〜」


 近くにいた彼らですら聴こえていない。小さな声。

 なのに、そう聴こえてしまった耳は、決め付けた足は地面を強く蹴りつけた。


 ちょんちょん。後ろからなにやら肩を触られる感覚。

「なんだよ、エミ?」と体格の男子生徒は後ろを振り返った。


「あ?」


 しかしそこにいたのは、仲間の女ヤンキーではなく知らない学生。


「誰だ、てめぇ」


 女子生徒と同じ学校の制服を着た男子学生だ。


「ねぇ、君たち。 その手放してあげてよ。」


 体格の良い男子生徒の横からひょっこり顔を出すと、リクは笑みを浮かべ女子生徒の両脇に立った男子生徒二人に声をかけた。


「まーた、カモが1人増えちゃった♪」


 エミと呼ばれる女ヤンキーはニヤリと笑い、リクに歩み寄る。


「なんだ、お前も俺たちと遊びたいのか?」


 ライオスも嫌らしい笑みを浮かべリクの顔を覗き込み、ケンはいつも通りの笑顔を浮かべ、エルバは大笑いを浮かべる。


「いやいや、これっぽっちも遊びたくないね……」


 あまりに近いライオスの顔にのけ反りながら、リクは首を横に振るが

「そうかそうか! 遊びたいのか! 分かった、わかった!」とライオスは興奮気味に言葉を発すると右の拳を握り締めた。


「全然聞いてないな……」


 と苦笑いを浮かべるのも束の間、


「お前、俺様の肩に触やがったよな!? 

 そうか、だったらこれは、とりあえず相手に触れる遊びってことでいいんだよなぁあ?」


 ライオスの振り上げた右拳がリクの顔へと迫る。


「ううん、違うよ。……いや、でもやっぱり――」


 一瞬、時が止まったかのようにその光景に4人は息をのんだ。

 皆、一様に驚愕の表情を浮かべ、ライオスは信じられないと理解に苦しんだ。

 僅かの距離、この至近距離で不意の右ストレートを後退し避けるのでも無く、左右に避けるのでもなく、防ぐのでもなく、首一つスレスレで躱すのだから。

「その遊びやってもいいよ?」

 止まった時間を動かしたのは、リクの余裕を含んだその言葉。


「多分アンタらじゃ、束になっても俺に触れることすらできないけどね。」


 そして、決定付け語った力の差だ。


「うそうそ、冗談。やらないよ! 

 俺も今の無かったことにするから、アンタらも俺とその子を見逃してよ」


 動揺し固まるライオスの脇を悠々と通り抜けリクは囚われの女子生徒に近づく。


「その手、いつまでそうしてるつもり?」


 歩む一歩行動一つ、吐く言葉一つ、あの光景が脳裏に映り、目の前の同い年くらいの少年が絶対的な適わぬ強者に見える。


「あ……あっ……えっ……」


 と言葉にならない言葉を吐いて、エルバは震えた手を女子生徒から放すと、二・三歩後退りし、

 ケンは「ごめんごめん〜」と手を離す。


「ちょ、ちょっとライオス! アンタ何やってんのよ!」


 エミの苛立ったその声に、ライオスはハッと気を取り戻す。


「てんめぇえ!!! 舐めてんじゃねぇぞぉおお!!」


 たまたま、偶然、まぐれ。そんなモノに決まっている。

 そんな貧相な体付きで、たかが坊ちゃん校のくせに、

 己が強者で、目の前に立つ奴が弱者。

 その逆はあってならず、なのに軽くあしらわれ、無かったことにすると情けまでかけられた。

 ふざける、ふざけるな。舐めているのか? 

 踏みにじられたと感じた少年のプライドは、怒り狂い感情のままに再度、力強く握った拳を振り上げた。


「はぁ……アホか」


 ため息を吐いた。ここまで、彼らは馬鹿なのかと。

 左足を一歩後ろへ引きそのまま体を90度回す。

 体は横を向き、ライオスの放たれた拳はリクの後頭部を通過した。

 そして、90度の回転と共にリクの左手の手刀がライオスの首元へ、僅か数ミリの寸止めで迫るのだ。


「舐めてる? 

 それは他人を弱者だと蔑み決めつけるから生まれた感情だろ。

 何をもって、己を強者と悟る。己惚れるなよ。」


 鋭い眼光がライオスを写す。

 ――ドン。 腰の力が抜け地面に倒れるように尻餅を着いた。膝が叫ぶように震える。格が違うと。


「って言うのは冗談で! もう、本当にお遊びはここまでにしようよ〜!」


 一変し、和やかな表情をリクは浮かべる。

 辺りは、あっけらかんとし、「アレ〜? 何この空気……」と戸惑いながらリクは女子生徒の手を取った。


「学校、遅れちゃうよ! さ、早く!」


 固まり動かない4人の男女を背に、リクとその女子生徒はその場を後にした。

 そして、いくらか歩いた後タイミングを見計らいリクは歩みを止める。


(ここら辺で、いっか……)


 そして、握った女子高生の手を離して振り返る。


「ねぇ、なんで何もしなかったの?」


「…………」


 リクが声を掛けるが、女子生徒は俯き続け返答は無い。


「一高の生徒なら、受けているはずだよね。戦闘訓練。

 それを使って制圧しろ、とは言わないけどさ身を守る為には幾らか使うべきだと思うよ。

 抵抗しないっては、どうかと思うしさ。」


 女子生徒は俯き、何も答えようとはしなかった。

 彼女が仮に戦闘を得意としていなくても、身を守る為の基礎的な術は、誰しもが習得しなければならない。

 それが必須であり、最低条件なのだ。

 故に、彼女は体得している筈であり、行使できる筈だ。

 例え、彼女の戦闘技術が最低条件ギリギリだとしても、たかが一般人には容易に通用する筈なのだ。


「それとも、何か理由があるの?」


 だから、使えないのでは無くて使わないのだ。

 しかし、それには理由がある筈。


「…………」


 何も彼女は答えない。


「あの………」


「……………」


 もしかすれば、あの状況を切り抜ける別の考えがあったのか。

 余計なことをしてしまったのか。

「嫌。」と小さく聴こえたのは、やはり聞き間違えだったのだろうか。

 反応が無いのは、助けを求めていなかったからなんだろうか。不安が過ぎる。


「もしかして、余計なことしちゃったかなー……?」


 それなら助け損。いいや、勝手な行動をしたのは俺か。

 格好付け人助けした結果がこれ。

 いや、勝手に人助けだとこじ付け自分よがりをしたのか。ありがた迷惑……だったのかな。


(これが現実か。付いて無いなー。)


 漫画やアニメ、ゲームだと、超テンプレのフラグ立ちまくりな、その場面の行動の結果に、現実を思い知らされた気がした。

 けれど、己の行動に悔やみかけてた、そんな時――。


「…………」


 彼女が首を横に振った。

 言葉は発しない。それでも、否定してくれた。

 それだけで、ホッと一安心できる。しかし、同時に助けた側が、何故こんなに不安を……。っと、謎の心労にリクは苦労の表情を浮かべた。


「そっかー、なら良かった。

 じゃあ俺、学校行くから、キミも気をつけて行くんだよー」


 そう言って振り返り、その場を立ち去ろうとするリク。

 だがその時、リクの制服の袖を彼女が掴むのだ。

 どうしたんだろう? と思いながら再度、振り返り目を向ける。


「……ありがとう。」


 ――――訂正。

 【これは、夢かもしれない。】

 しかも、とびっきり良い夢だ。


 これまで、彼女は下を向いて俯いていた。

 だから、顔なんて見えなかったし、どんな表情をしていたのかも分からなかった。だけど、今その顔が見えた。その表情が顔が目に映る。

 マニッシュショートの綺麗な黒髪。ピンクのふっくらとした可愛らしい唇。きめ細やかな白い肌。でも、緊張しているのか、恥ずかしそうに頬が紅く染まり――。


(緑……。今日のラッキーカラーって。)


 でも、なによりも印象深く目に焼き付いたのは、その翠眼。

 目線は斜め下を向いていて、目を合わせてはくれない。でも、確かにそこにある神秘的で美しい、エメラルドのような瞳。

 そして、またも脳裏に蘇る、朝の占い。

 ラッキーカラーは緑だった。偶然にも彼女の瞳は美しく澄んだ翠の瞳だった。


 そして、彼女は恥ずかし気に俯き、リクの制服の袖から手を離す。


「うん! じゃあ気をつけるんだよ! それじゃーね。」


 そうして、リクは彼女と別れ学校へと向かう。

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