第7話 暴走危険者
「やほー! 殿村ミニスカサンタ様のエロゲ宅配便だぞ!
性欲もて余したエロ野郎にエロゲとア・タ・シをお届けに──ってうきゃぁぁぁぁっ! なになになに、この超絶銀髪美少女! どこの店の娘っ!?」
どこの店のじゃねぇよ、このバカ!
部屋に飛び込んでくるなりルナにがぶりより(他に言い方がない)騒ぐバカ──ミニスカサンタ姿もよく似合うスタイル抜群(96/59/98のGらしい)な美人なのに中身はエロ親父な残念女──俺の同僚の殿村深月(25)だ。
「なになになに!? こんなドレス着せちゃってお姫様コスプレ!? こんな朝っぱらからお姫様凌辱イメプレとかこの鬼畜っ! 最高よっ!(はぁと)」
乙女チックに赤らめた頬に手をやりながら親指立てるのはやめれ。 いや、さばさばしてるし話しやすいやつなんだけどね……スイッチ入ると頭おかしいんじゃ?ってくらいにテンション高くなるやつでもあるんだ。
「てかなになに? あたしがくるってのにこんな娘呼んでるなんて……まさか3P!?
くぅぅぅっ! ついにあたしといたす気になったと思ったらこんな美少女と3Pとかこの欲張りドエロ野郎! グッジョブね!!」
だから親指を立てるな……そしてわけの分からないことを言うな。
言葉は分からないから何を言ってるかは伝わってないけど勢いに飲まれてポカンとしてるルナ。──あぁ、ちなみに俺は召喚されてすぐに《
とりあえず……くそ、やっぱり《
「で、で!? どうするの!? あんたとあたしでこのお姫様をメチャクチャにしちゃう!? 凌辱されて堕ちていくお姫様……たまんないわ!
それともあんた一人であたしたち二人をメチャクチャに!? そんなに自信満々なんて……このケダモノッ! 性欲魔神! 素敵よっ!
それともまさか……あんたとお姫様であたしをメチャクチャにする気っ!? 鬼畜王子とお姫様のペットにされて弄ばれ心まで肉奴隷に堕ちるあたし……ヤバイわ! 想定外だけど興奮しちゃう!
どれでもいいから早く始めましょう!」
「待て待て待て待て待て待てぃっ!!」
このバカ……
見ろ。 ルナが真っ赤になって自分を庇うように抱き締めて──やばい……これはその……凌辱される前のお姫様って感じが何ともくる……って俺までそっちに足を踏み入れてどうする。
てかさ……言葉が通じるようにする意味なかったんじゃないか? でもまあ言葉が通じない明らかに日本人じゃない女の子がなぜ俺の部屋にって話になったら誤魔化すのも難しいし……今さらか。
「とりあえずお前が考えてるようなことはないっ! だからさっさと服を着ろっ!」
俺は下着姿の殿村から目を逸らしながら殿村が一瞬で脱ぎ捨てたミニスカサンタ衣装を突き付ける。
こいつ……本気で俺に抱かれたがってるから俺の前で脱ぐことに躊躇がない。──いや、恋愛感情は一切ないそうですよ? 恋人になりたいなんて全く思わないと──だから別にリア充じゃありません。 爆発しろとか思わないで。
じゃあ何でかって聞いたら曰く──
『あんたは本当に大好きで大切な友達なの! だから抱いて!』
……うん、本気で意味分からん。
外見は文句なしだし普段は猫かぶってるから他の同僚はよくこいつとしたいなんて話をしてるけど……中身を知ってる俺はそんな気にならない。
ブツブツ言いながらミニスカサンタ衣装を着る殿村──露出が高くて下着姿とあまり変わらないな。
とりあえずさっきの下着姿と合わせて今夜のオカズ用に脳内に保存──その気にならないんじゃなかったのかって? そこはまあ……外見は文句なしなわけだし察してください。 涙で文字がにじんでいたらってレベルでお願いします。
「あ、あの──」
か細い声に目を向けるとルナが部屋の隅で震えて──
「わ、私……殿方をまだ知らないのです……ですからどうか……そのような無体なことは──」
「だからしないって! 言ったでしょ? あいつが妄想で暴走してただけだから!」
「ほ……本当ですか?」
「本当だって……」
ため息をつきながら衣装を着直した殿村に向き直る。
「で──ゲームを持ってくるって言ってたけど10月も半ばにその衣装は何なんだ?」
「決まってるじゃない! 今回のおすすめの一つがミニスカサンタものだったからあんたにプレイさせながら迫ってことに及ぼうと思ったのよ! 過激なシーン多数だったから全部再現しようと思ったのに!」
……まあそれは後で一人でじっくりゆっくり楽しませてもらうことに──いや、ルナがいるんじゃできないか。
「ちなみにどれくらいのボリュームだ?」
「ミニスカサンタ67キャラで全キャラ本番シーン合わせて1876シーン、主人公の絶頂5000オーバーの大作よ!」
多すぎるわっ! 1日3回再現して4年以上かかるだろ! 何? うちで暮らす気? 嫁にくるのか? いや、こないか。
「ちなみにお姫様凌辱ものもあるわよ!」
んなもん出すな! しかも銀髪のお姫様の凌辱シーンが描かれたパッケージを!
またルナが怯えてるじゃないか。
「もういい。 とりあえずはしまってくれ。 女の子に見せるようなもんじゃないだろ」
「──それもそうね。」
ルナの怯えた様子を横目に見て、軽く肩をすくめると俺のPCデスクに紙袋を置く。 どうやらスイッチは切れたようだ。
「あの……」
殿村の様子が変わって少し落ち着いたのか、ルナが背後からおずおずと声をかけてくる。
「こちらの方はどなたなのですか?」
「あ、それ、あたしも聞きたい。 その娘なに? 拾ってきたの? さらってきたの? 銀髪美少女さらってきてエロエロするつもりね、このエロスケベ!」
おい、また勝手にスイッチ入れるな。 罵ってるようで笑顔で親指立ててるんだからたちが悪いよなぁ、こいつ。
まあルナをすぐに帰してやれないなら絶対絡むことになるしとりあえず紹介しておくか。
ルナのことをどう誤魔化すか考えないとだし、俺は時間稼ぎで殿村の紹介から始める。
「こいつは殿村深月。 俺の──」
「初めまして。 殿村深月でーす。 こいつの親友兼心の友兼カラダの友兼肉奴隷兼女王様やってるよ。」
ツッコミどころしかねぇ……カラダの友って何だよ? セフレか? まあ下手に突っ込むとそれはそれでまたスイッチ入りそうだしスルーしとく。
軽く引いてるルナに軽く手を振り、
「戯言だから気にしないで。 まあ友達だよ。」
「はぁ──トノムラ・ミツキさまですか。 貴方のお友だちの……」
「あ、深月でいいわよ。 よろしくね。」
……ちょっと待て……何か違和感が……ん?
「あれ? 今、俺のことなんて呼んだ?」
キョトンとしてこちらを見てあごに指を当てると考え込むルナ──はっとした顔でこちらを見て俺も気付く。
俺……まだ自己紹介してなかった……
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