バトルロイヤル家族

「なんの冗談だ」

「分かるでしょ。お金が必要なのよ」

「だからって、母さんも弟も殺したのか」

「そうよ。だけどこの賞金で私は新しい家族を作るの」

「狂ってるよ。お前も俺もあいつも」

「言いたいことはそれだけ?じゃあね、お兄ちゃん」

女はそう告げて引き金に手をかけようとしたが、指が震えて眩暈に襲われる。

「これは神経毒!?一体いつの間に…」

「すまない妹。俺にはまだやるべきことがあるんだ」

長きに渡るゲームは決着を迎え、そこで映像は途切れた。


 それを見て老人は満足そうに笑う。愛情をかけて育てた肉親の間で殺し合いをさせる。これ以上の贅沢はないだろう。

「最高の肴だ。もっと酒を持ってこい」 

だがノックして入って来たボーイは銃口を差し出した。

「儂を殺せば賞金は出んぞ!」

慌てる老人の口元に、男は銃を突っ込んで言った。

「ボケたこと抜かしてんじゃねえぞジジイ。代金はお前の遺産で払ってもらう」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る