SNS家族
『ただいまー』
そう「父」が呟くと
『お帰りなさいパパ』
『すぐにご飯にするわね。あなた』
すぐに返信が届く。だが実際の家族からではない。近頃はSNS上で架空の家庭を演じるのが流行っているのだ。
『お仕事大変だったでしょう?』
『そんなことないさ』
彼らとは文字だけの繋がりだが、かえってそれが良い。家族間に余計なしがらみ等必要ないのだから。
『パパ聞いて。今日テストで満点だったの!』
そのツイートに「いいね」を押しながら、家の扉を開けた。
「ただいまー」
しかし現実の妻と娘は何も答えてくれない。3人で囲む食卓は誰もが無言で、スマホの向こう側にいる家族達と談笑している。
『今日はカレーを作ったの』
『ママって本当に料理上手』
『あれ。そういえばミーコの奴は?』
『確かにまだ姿を見てないわね』
俺もあっちで呼ばれている。今日も円満な一家を演じるために、メッセージを送信した。
『ニャー!』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます