SNS家族

『ただいまー』

そう「父」が呟くと

『お帰りなさいパパ』

『すぐにご飯にするわね。あなた』

すぐに返信が届く。だが実際の家族からではない。近頃はSNS上で架空の家庭を演じるのが流行っているのだ。


『お仕事大変だったでしょう?』

『そんなことないさ』

彼らとは文字だけの繋がりだが、かえってそれが良い。家族間に余計なしがらみ等必要ないのだから。


『パパ聞いて。今日テストで満点だったの!』

そのツイートに「いいね」を押しながら、家の扉を開けた。

「ただいまー」

しかし現実の妻と娘は何も答えてくれない。3人で囲む食卓は誰もが無言で、スマホの向こう側にいる家族達と談笑している。

『今日はカレーを作ったの』

『ママって本当に料理上手』

『あれ。そういえばミーコの奴は?』

『確かにまだ姿を見てないわね』


俺もあっちで呼ばれている。今日も円満な一家を演じるために、メッセージを送信した。

『ニャー!』

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