第26話 作戦前夜に淫らなエルフ!?

 思い立ったら即行動。すぐにでもエルビンへと出向いて成敗してやろうと思ったのだが、女王が今日はゆっくりしていってくれという。


 女王からの申し出を断るのは失礼に値するので、俺は感謝の意を表しながら、その申し入れを受け入れることにした。


 それに、エルフの方からもドライアド救出部隊を用意してくれるという朗報を得ていた。

 彼らも捕まったドライアドを救出をするべく、日々トレーニングを積んでいたというじゃないか。なんとも頼もしい限りだ。


 そんな俺たちは現在、女王が用意してくれた森の宿屋『木漏れ日亭』のスイートルームでまったりモードとなっている。


 さすがに慣れない森を歩き回ったので、ふくらはぎがパンパンだ。おまけに足の裏に豆ができてしまった。


「しかしお前さまよ、あのような出任せを言ったことが魔王さまに知られれば、お咎めを受けるやもしれんぞ?」

「グリティアに住まう森の民を味方にするための詭弁だよ。怒られるようなことは言っちゃいないさ」

「物は言いようだな、相棒」

「まぁな~」


 それにいずれはフィーネも俺の側室となる予定。強ちすべてが間違いとも限らないだろ?

 第一、俺が秘かに人間界と魔界を統一したいと思っていることは事実。


 そうすることで、すべての美女の安全と安定した生活を確保することができる。

 せっかくの美女を戦争や飢餓などで失うなど馬鹿げている。それこそ愚の骨頂というもだろう。


 なんてことを考えていると、不意にノックの音が部屋に飛び込んできた。

「どうぞ」と声をかければ、開いた扉からは恥ずかしそうに伏し目がちのユニが入ってくる。


 モジモジと太ももを擦り合わせるその姿から、先程のお漏らしの件を恥じているのだろう。

 可愛かったから気にすることないのに。


「そそ、その……さ、先程はあ、ありがとぅ」

「うん、元気になったみたいで何よりだよ」

「それで女王陛下から聞いたんだけど、ボクも一緒に行くらね! 優しくしてもらった君の手助けをしたいんだ」


 パッと顔をあげた彼女が憧憬の眼差しを俺に向けてくる。

 もうとっくに淫魔術は解けているずなのに、まだ少し頬に赤みが差していのが気になる。


「話が済んだなら出て行ってはもらえぬか? 妾たちはこれから夜の営みを育むところなのじゃ」

「っ!? よよ、夜の営みっ!?」


 フォクシーの大胆な発言に茹であがった蛸のように、ユニの面から火が吹いた。


「なんじゃ……お主も参加したいのか?」


 お前も一緒に楽しむかと手招きをするフォクシーに、ユニは羞恥心から素直になれずにいる。


「ボボボ、ボクは別にっ!」


 言いながら、膝上丈のワンピースの裾をぎゅっと握りしめては、こちらをチラチラ窺うユニ。


 おそらくさっきの淫魔術のせいで、ユニは性の悦びに目覚めてしまったのだろう。

 その証拠に濃いメスの匂いがスカートの中から漂ってきている。

 ムフフ……なんともエッチな匂いだこと。


 ちょっと試してみるか。


「スリリン、蛸さんモードだ!」

「あいよ!」


 スリリンが俺の身体にまとわりつくと、背中から八本の蠢く触手を作り上げる。

 その異様な光景に驚き固まるユニ。


 俺はそのままソファで寛ぐフォクシーの胸元に触手を忍ばせる。


「あぁんっ!」


 なまめかしい声をあげたフォクシーに、ユニは興奮した様子でゴクリッと生唾を呑み込んだ。そのまま自らの身体をまさぐり始めるユニは、既に淫乱エルフと化している。


 やはり目覚めていたか!

 俺はにたーっといやらしい笑みを浮かべ、ユニに見せつけるようにフォクシーへ淫らな触手プレイを続行する。


「あっ、あの……その」

「ん……なんだまだいたのか?」

「…………」


 冷たくあしらってやると、口ごもってぷるぷる身を震わせている。

 しかも次第に淫らにだらしなくなっていくフォクシーを注視し、息が乱れていく。


 このドスケベめっ!

 だけど自分から欲しいと懇願してくるまで、俺はなにもしてやらないぞ。


 これがいわゆる放置プレイというやつだ。

 どうだユニ……堪らんだろ?

 お前は禁断の放置プレイに快感を覚える変態さんなのだ。


 そのことにお前自身が気がつき受け入れたとき、羞恥心など一気に吹き飛び、本当のお前が目を覚ます。


 さぁ――目覚めろ性欲っ!

 感じろ快感っ!

 子宮の奥まで届けエクスタシィィイイイイイイイッ――!!


 益々情熱的になっていくフォクシーにつられ、ユニの鼓動が張り裂けんばかりに高鳴っていくのが手に取るように感じられる。


 モノ欲しそうによだれを垂らしただらしない相好。それは正しきメスの姿!

 それを理性と羞恥心がユニを引き止めている。


 逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメなんだ――変わるんだよユニ。

 お前は変わらなきゃいけないんだ。


 向き合えユニ。本当の自分を解放する時はいまなんだ!


 動けっ、動けっ、動けっ、頼むから動いてくれよ、ユニ――!!


「ボボ、ボクも……ほしぃ」


 わずかに俺の耳朶を叩いたか細い声。

 ユニが俺の前で跪き、潤んだ瞳ですがるように懇願してくる。


「欲しいとは……何がだ?」

「ボ、ボクも……ベトベトスライムが……君が、欲しいよ。我慢できないんだよ――!」



 合格だ――ユニ!

 よくぞ自分自身の殻を破った。羞恥という名の枷は並大抵の者では破れぬ呪いのようなもの。

 それを破ることのできたお前は立派な淫乱エルフ。

 ――変態だァッ!



 ドライアド救出作戦の前夜――新たにエルフ美少女ユニを籠絡した俺は、スペクタクルな夜を過ごすこととなった。

 これで明日の作戦にも身が入るというものだ。

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