第5話 △△の秘密

 アイリスが着替えている間、

△△はヘスティーの前にできた列に並びました。


 そして、順番になったときにおしゃべりしました。


「ヘスティー王女は、ラノベを読んだりはしないんですか?」


「ラノベですか? 読みませんわ」


「そうですか……。」


 こうして、△△とヘスティーのおしゃべりは一瞬で終わりました。


 実は、△△もおしゃべり上手というわけではないのです。


 むしろ下手というか、嫌いなのです。


 しかもオタクなのです。


 にも関わらず△△がこうして社交パーティーに参加したのには理由があります。


 それは、ラノベのネタ探しです。


 そうです。△△は、ラノベ作家だったのです。


 はじめにアイリスに興味を持ったのは、

王女だけど貧乏というのがしっくりきたからです。


「あっ、△△さんっ!」


 今度は、アイリスの方から声をかけました。


 中学生がピアノの発表会で着るようなお召し物に着替えています。


 アイリスは△△とおしゃべりすると落ち着くのです。


 △△も同じです。


 お互いにオタクだからでしょう。


「アイリス王女殿下!」


「△△さん。私、ラノベは大好きです!」


 これで決まりました。


 △△は、アイリスに支援することを申し入れたのです。


 キュアもミアも喜びました。


 しかし、△△の支援内容は、ちょっと変わっていました。


 資金援助というわけではないのです。


 それは、毎週日本のラノベをプレゼントするというものでした。


 アイリスは大いに喜びました。


 ですが、キュアとミアはがっかりしました。


 これでは育乳ができないからです。

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