page.11 喪失
あの日、死傷した市民は約100名。その3倍の
しかし、その直後。世論は
私たち
その結果、
世論が彼らに同調した結果、彼らは市民に溶け込んで消えた。
あれ以来、一度も彼らによる暴動は起こっていない。私たち
私はといえば、華奢なボディが工場作業向きではないということで、最後まで騎士隊舎に残されていた。
二度と開くことのない出撃待機エリアのゲート前。照明は消え、そこら中に投げ込まれた火炎瓶や生卵の
その場所で今日も、ボディの自律行動はオフにされている。ご丁寧に拘束具まで付けられている状態で、ただ一人立ち尽くしている。動くのは、メイン・カメラだけ。しかしその視界にすら、動くものはひとつもない。まるで世界から、忘れ去られたようだ。
思考を走らせることしかできないこの状態がもうひと月以上続いている。考えるのは、ジークのことばかり。
あの日、状況を終息させた後。ジークは既に修理用
その後すぐに、私たち
ジーク。貴方の大義が、失われてしまう。私の憧れであり、私の
いっそのこと、誰か私のことも破壊してくれないだろうか。
そう考えていた、そのとき。
この廃墟に、ひと月ぶりに足音が響く。
人間の足音だ。
私の前で立ち止まった人間は、大都市の公共作業員の服を着ていた。彼は、私の足元に
「形式番号NA-19-T。
男の言葉はとげのあるものだったが、声は震えていた。私が、爆弾でも持ち出すと思っているのだろうか。
「お前の行き先が決まった。ここからずっと西の田舎に住む、
この日から私は、
それが今、たったひとつの家族を支えるちっぽけな
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます