page.08 相棒
事件現場へ到着した。
先行して分析していた小型ドローンの情報によると、制圧対象の人数は50。相変わらず我々
銃声が立て続けに鳴り響く。市民へ向けての発砲。彼らは完全に錯乱している。
「なんということを……」
辺りを見渡すと、すでに数十名の市民が負傷させられている。
ジークが、雄叫びをあげる。
「市民をこれ以上撃たせるな! ボディを盾にしてでも守り抜け!」
有言実行。ジークは全身で銃弾を受けながら暴徒たちに体当たりをしていく。食らった者は、風に吹かれた塵のように吹き飛ぶ。大義を前にしたジークはいつも、容赦がない。敵に対しても、彼自身に対しても、私たち
私はジークの
ジークフリート隊で最も軽装な私とは異なり、後方のG1部隊が遅れている。
「ジーク! 貴方は単機で突出している!」
「お前がついてきているだろう」
「後ろでG1部隊の隊列が乱れているんです!」
「私の隊員どもなら、問題ない」
「貴方は馬鹿だ!」
私は無線でエクスカリバーとミトラィユーズに呼びかける。
『G3部隊、G1部隊の援護を頼む!』
『お前が命令するな!』
『……援護、了解。貸しひとつだ』
態度は気に障るが、これでG1部隊は大丈夫だ。私はジークの補佐に専念する。
ジークを狙う制圧対象に狙いを定め、跳躍する。銃をレーザー・ブレードで破壊すると、男は両手を上げた。
「赤いマントに羽飾り……くそっ!」
「お見知りおきどうも。他に武器は無いか?」
男がポケットからハンド・ガンを取り出し、地面に捨てる。私はそれを、破壊する。
「いい子だ。その辺で倒れている君の仲間たちを、安全な場所に運べ。そして警察部隊を待て。これに懲りたら、大人しく就業訓練でもするんだ」
近ごろは、私の姿を見るだけで投降する暴徒も増えてきた。私の象徴たる真紅のマントと黄金の羽飾りは、正義の象徴としてこの都市に根付きつつある。
その点で言えばジークなんて、あの漆黒のボディと王冠を見せつけるだけでかなりたくさんの制圧対象が逃げまどっているのだが……。
「おおおおぉぉ!」
あの様子では、自分がこの都市でどれほど象徴的な存在になっているか、知るのは当分先だろう。また一人、重傷の暴徒が増えた。
「片付いたな」
ジークの周りには、
「貴方はやりすぎですよ」
「ふん。貴様が甘いのだ」
周辺の建物へ隠れていた市民たちが、顔を出して私たちへ手を振っている。
拍手する者や、写真を撮る人間もいた。
「我らが守った平和だ」
「大義、ですか」
つい先ほどまで戦闘があったとは思えないほど、市民はスムーズに日常を再開する。
これが私たちの守っているもの。ジークの身体に刻まれた無数の傷の上に、この大都市の人間たちは生きている。
と、そこへ。
凄まじいスピードで走る一台のトラックが突っ込んできた。
その行く先には、老夫婦が一組。
「ジーク!」
「ハルジオン!」
私たちは、互いに名を呼び即座に動いた。
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