著者や知人が体験した怖い系の話をまとめ、一人称形式で構成したオムニバス作。
実話は実話であるというだけでおもしろいものですが、それが怖い話で、さらに「誰かの口から聞く」となれば超おもしろい! で、こちらはその「超」を短編として、たっぷりと味わわせてくれる作品なのです。
ネタ元が著者さん始め実在の人ということで、怖さの幅も深さも各話でぜんぜんちがいます。ストレートに怖い話も意味がわかると怖い話も、怖いより不思議な話も、その他諸々の怖い話があって……それらを読んでいくとしみじみ思うのですよ。人や霊ばかりじゃなく、怖さというものにもいろいろな個性があるんだなって。そしてそう感じられるのは、バラエティな怖さがひとつところに集められた小説という場があってのものだと。
ぜひとも知人が切り出した話を何気なく聞くことになった感じで読んでください。聞かされた怖い話は、きっとあなたに「超」体験をさせてくれますから!
(「暑さに効く怖さ」4選/文=髙橋 剛)