第33話 ゾッとする話 小ネタ集
早速だが、今回はゾッとする小ネタ集を紹介しようと思う。
というのもじつはじつわを執筆するに辺り、いろんな話をタイトルだけざっと書き出してから読者さんの反応だったり、流れを見ながら書いてるんだけど、その中でこれ書きたいけどちょっと本編で書くにはなぁ……というものがある。しかしいつも本編前に書いているさわりの前置きにするにはちょっと使いづらい。でも紹介したい、そんな没ネタのような話を今回はひとまとめにして小ネタ集としてお届けしたい。
え、お前の話はいつも小ネタみたいなもんだって? HAHAHA! 面白い冗談だな(軽く涙目)
まぁそんなわけでまた前置きが長くなる前にゾッとする小ネタをお話しよう。今回紹介するのはこちら。
1.銭湯にて
2.ドライブ2
3.めざましテレビ
の三つだ。いずれもゾッとするお話ばかりで、少しでもキモを冷やしてもらえればと思う。ではどうぞ。
1.銭湯にて
俺がそれを目撃したのはある冬のことだった。
俺んちの近くには昔からある銭湯があるんだ。その銭湯は俺が生まれる前からあるようで、少なく見積もって半世紀は経ってるんじゃないかと思う。
そんな昔ながらの銭湯なもんだから、今時のスーパー銭湯なんかと比べると設備の面ではかなり見劣りする。けれど、昔ながらの雰囲気があるのと、家から徒歩1分という距離から、気分転換だったり、疲れてると感じるとたまに利用したりしている。
その銭湯は昔からあるからか、常連さんも多く、大体がご高齢の方だ。一応、旅館も併設してるから、たまに県外から部活の遠征にきた学生さんたちが風呂に入ってたりもするが、それでも風呂にいるのは常連さんというのがほとんどだった。そして時間帯によっては他のお客さんが一切いない貸切状態になることもあり、そんなときは広々と湯船を独占することができる。
ちなみに、浴槽のことをどうして湯船というか知っているか?
かつて銭湯というのは、お湯を貯めた浴槽が乗った舟で営業してたんだ。その船でいろんな地域や村に行って、そこに住む人々だったり仕事をする人は風呂を楽しんでいた。当時はお湯を沸かすのも一苦労だったからな。それが次第にその地域にお風呂屋が出来て、銭湯として定着すると船でお湯を運ぶスタイルの銭湯というのはなくなってしまった。しかし、湯船という単語だけは残り、今に至るというわけだ。
さて、話を戻そう。その日はそれなりにお客さんがいた日で、俺が銭湯に行った時には5、6人程のお客さんがいた。その中で常連さんらしき二人が仲よさげに話をしていて、地域のつながりのようなものを感じていた。
そこからひとりふたりと上がっていき、とうとう俺とその常連さんたち2人だけになった。しばらくすると、そのうちの1人も出ていき俺と2人だけになった。
俺が湯に浸かりながらぼやーっとしていると、その人も湯船の中に入ってきた。
もちろん会話はない。俺は相変わらずぼやーっとしていて、もうそろそろ上がろうかとしたんだ。
すると……、
「……………」
さっきの常連さんがなんか横でブツブツ言ってた。なに言ってんだこの人。とか思いながら、ちょっとそれが気になったから少しとどまっていた。よく聞くとなんかお経みたいな感じで、銭湯でお経なんて気持ちわるいな……と思ったんだ。
あ、これはさすがに関わりたくないと思って上がろうとした。が、よくよく聞くとそれはお経じゃなかった。
耳を済ませてよく聞いてみると「君を守る」とか「癒す」とかなんとか聞こえてその時あれ……? って思ったんだ。
これってもしかしてと思ってじっと我慢していた。出てくるワードは「薬箱」「生まれてきた」「呆れるほど」「そばにいてあげる」
もうここまで書いたらわかるよな。だから俺心の中で呟いたいよ。
「これ、らいおんハートじゃねーか!」ってさ。
いや、ね、別に歌うなって言ってるわけじゃないんだ。たださ、それなりのお年を召された方だったからまさかSMAP歌うとは思わないじゃない。まだ鳥羽一郎だったらわかるが。
内心、マジか……ってなってると、気づいたらもう次の曲にいってた。次の曲は──世界に一つだけの花でした。
SMAPメドレーかい!
流石にそれ以上は体が限界だったのでお風呂から上がったんだけど、なんかある意味わけーなーって思った出来事でした。
2.ドライブ2
これは例のSMAP事件から一週間後の話。
その日は雪が降りしきる夜で、何を思ったかちょっと遠くの銭湯に行こうと悪天候なのに車を走らせてたんだ。俺の車は軽バンと呼ばれるタイプの車で、いつでも車中泊出来るようにと寝袋だったり、毛布が積んであったり、折りたたみできるテーブルなんかも積んであった。それで荷物を乗せるために天井部分にネットを張ってあるんだけど、その上にあまり使わないようなものを乗っけておいたんだ。
それで国道8号線を西に向かって走り、自宅のある富山市から30キロほど離れた高岡市の銭湯へあとすこしというところでそれは起きた。
ちょうどその時、次のじつはじつわに載っける話なににしよっかなーと考えながら走ってたんだ。すると──、
コンコンコン。
車の窓をノックする音が聞こえた。
突然そんな物音がしたもんだから心臓が飛び跳ねた。だって時速60キロで走ってて、窓ガラスをノックする音がしたら誰だって驚くだろう? とはいえ、そんなわけないよなと自分に言い聞かせて気のせいだったと決めつけたんだ。
が、
コンコンコンコン!
さっきよりも強めに窓をノックされたのを聞いてさすがに怖くなった。ちょうど心霊のことを考えてたからよからぬものが寄ってきたか……? と内心ビビってた。
外は雪が降りしきり、辺りは街灯があるとはいえ、それでも車通りが少なかったから寂しく見えた。そんな中起きる怪現象。こんな夜に出歩くんじゃなかったとひどく後悔した。
でもあと少しで目的地に着くからそこまで走ろう。そう思った矢先だった。
コンコンコン。
またあの音が。もう気が滅入りそうだった。そんな中、ふとあるものがルームミラーに映った。天井に張ったネットが揺れていた。そのネットには車に乗った雪を下ろすためのスノーブラシがあった。そのスノーブラシがネットが振動で揺れるたびに窓に当たっていた。コンコンコン、とね。
……お前か犯人は。
そう。たまたまタイミングが悪く、俺が考え事をしている時に音が鳴ってたんだ。たったそれだけのことだったけど、あの時は体中の血が凍りつくくらいゾッとした。そのおかげか銭湯はいつもより心地よく感じたよ。
3.めざましテレビ
これは俺がコンビニで深夜のバイトをしていた頃の話。その頃はまだ高校を卒業したばかりで、就職じゃなく進学を選んだはいいんだけど、それも色々あってフリーターやってたんだ。その頃は時給がいいのと、知り合いの伝手ってやつでコンビニの深夜バイトをやってたんだ。午後10時から午前6時まで働いていた。
今のコンビニバイトがどんな仕事してるかはよく知らないけど、俺がやっていた当時は割と楽な方で、2回ほど深夜帯と朝方に商品の配送が来るんだけど、それの検品と商品の陳列、あとは廃棄商品のチェックをすれば、たまに客が来る以外は基本暇な仕事だった。なもんで、同じ時間に働いているバイトと一緒に話し込んだり、たまに花火したりして遊んでいた。
気持ち的に若かったというのもあって、まぁ考えなしというか無鉄砲なところがあったと今となっちゃ思う。ちなみにその頃はまだ廃棄弁当の持ち帰りが容認されていた頃だったから、廃棄される弁当は俺の生きる糧だった(そのせいで高校卒業してから一気に10キロ太ったが……)
その弁当にまつわるゾッとする話もあるが、それはまたいずれ話したいと思う。
そんな生活を送っていた俺だったが、当時コンビニのバイトはだいたい週3から週4といったシフトで、時間も使えるお金もそれなりにあったから、割と友人たちともよく遊んでた。友人たちと遊んでからそのまま仕事に行ったりしたこともあって、体内時計が狂ってたんだろうな。それは起きた。
その日もコンビニのバイトが終わって荷物をまとめて家に着いたのが6時半だった。なんだか妙に疲れていた俺は布団に潜り込むとすぐに意識が飛んだ。んで、起きてテレビをつけると、めざましテレビがやってたんだ。時刻は7時。あれ、30分しか寝てないのか、そう思ったが、テレビの中のアナウンサーはこう告げた。
「おはようございます。〇月×日△曜日の朝です」と。
俺はゾッとした。
そう。俺は丸一日眠ってたんだ。だからたった30分しか寝てないと誤解した。幸いにも、その日のシフトは入っていない日だったから問題はなかったが、これがシフトのある日だったと思うとなおのことゾッとさせられた。
というわけで今回のゾッとするお話は以上だ。もしかしたら、似たような経験したことがある人もいるかもしれない。少しでもゾッとしてくれたら話した甲斐があったと思う。
不評じゃなけりゃまたこんなネタ回やってみたいと思う。
……不評じゃないことを祈るばかりだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます