第28話 ラブホテルの怪
今回はラブホテルの話をしようと思う。いきなり不穏な始まりだが、どうか聞いてほしい。ちなみにだがアンタはラブホに行ったことがあるか?
ん? おいおいブラウザバックするのはちょっと待ってくれ。あとブクマ解除と警察に通報もやめてくれ(必死の懇願)。まぁそんなこと聞かれて行ったことあるよ! と自信満々に答えられても困るが……。
かくいう俺はというと人生で一度だけ行ったことがある。……それも男三人でだ。
というのも、あれは俺が二十歳のころの話。当時空気清浄機のメンテナンスを行う業者の仕事をしていたんだけど、ある冬の日に交通マヒになるくらいの大雪が降ったんだ。
けれどその日はどうしてもやらなきゃいけない仕事があって、まだギリギリ通行止めになっていなかった高速道路に乗って福井県まで車を走らせた。そこでいつもなら三時間かかる仕事をその半分の時間で終わらせてすぐに富山へ帰ろうとしたんだけど、もう高速道路は通行止めになっていて、仕方なく下道で帰ることになった。けれど、当然のことながら高速道路が使えない以上、下道も車でいっぱいで、雪が降ってるせいもあってものすごい渋滞が出来ていた。
ちなみに福井から富山まで下道で走っても三時間ほどで到着するんだけど、昼過ぎに福井を出て、富山の一歩手前、金沢市までたどり着く頃には夜の十時になっていた。
もちろん次の日も仕事だから何とかして戻らなきゃいけなかったんだけど、とうとう国道8号線も通行止めになってしまって、帰る手段がなくなってしまった。そこで泊まる場所を探すことになったんだけど、こんな状況だからビジネスホテルはどこもいっぱいで仕方なく、ラブホテルに泊まることになったというのが事の顛末だ。俺が泊まったホテルの名は今でも覚えてるけど、『サンタモニカ』というホテルでビルの屋上に自由の女神が立っているのが特徴だ。
部屋はキングサイズのベッドが一つとソファーとテレビ。トイレとお風呂は曇りガラス仕様で、中がうっすらと見えていた。ベッドが一つしかなく、上司の一人がソファーで寝ると言い、もう一人の上司ベッドに寝ることになり「一緒に寝るか?」と冗談で言ってきたが丁重にお断りをして俺は床にバスタオルをひいて寝た。とまぁこれが人生最初で最後のラブホの思い出だ。
今回はひたすらこんな感じで今回はラブホテルの話が続くわけなんだが、俺の後輩が体験した話を一つ。その後輩がラブホでデリヘルを頼んだんだ。するとやってきた相手はその後輩の先輩だったというオチ。そのあとどうしたかまでは知らないが、お互いにびっくりしただろうな。
こと、俺の周りはどういうわけかラブホを利用する人が多くて、高校時代でも同じ部の女の子が彼氏とラブホに行ってきたとか、○○のラブホはちょっと汚かったとかそんな話を聞かされて反応に困ることもしばしば。そんな中同じ部活の女子から聞いた体験談を今回はお話しようと思う。
それが起こったのは俺が高三の頃だったと記憶している。仮名をAさんとしようか。そのAさんが大学生の彼氏と一緒に地元のラブホテルに泊まった時の話。そのラブホにはちょっといわくがあって、その昔そこには回転ベッドというものがあって、興味本位でやってきたカップルの彼女のほうが彼氏がシャワーを浴びている最中に驚かせようと思ってそのベッドの下に隠れた。
彼氏がシャワーから出ると、彼女の姿がなく、不思議に思ってたんだけどトイレにでも入ってるんだろうと思って気にしてなかった。しかし彼女がなかなか戻ってこないので暇を持て余した彼氏は、座っていた回転ベッドを動かしてしまった。すると、そこにいた彼女がベッドの回転する機械に挟まれてそのまま命を落としてしまったという話があった。その時彼女はというと、彼氏が出てくる間にベッドの下で眠ってしまい、彼女の存在に気付かなかった彼氏が機械を動かしてそのまま……ということだ。
それ以来、その部屋から回転ベッドは撤去されたが、今でもそこに泊まると亡くなった彼女の霊が現れるという噂だけが残った。それを確かめるためにAさんとその彼氏はその部屋に泊まることにした(多分本来の目的は別にあったと思うがそれは伏せておこう)
噂の部屋はもちろん綺麗になっていて、噂を知らなければそんなことがあったなんてわからないほどの快適さだったとかなんとか。しばらく二人でベッドの下とかソファーの下とか、飾ってある絵の裏側とか覗いていたらしいが、よくテレビなんかである御札の類はさすがに見つからなかったらしい。
そんなことをしてるのもいい加減飽きてきた二人は、とりあえず本来の目的に戻ることにしたらしく、ふたり仲良くシャワーを浴びた。
部屋に戻ってきてベッドの上でイチャコラ始めた二人だったんだけど、急にガタガタと物音がしたらしい。なんだ? と思ったらしいんだが、そこは若さの成せる技というかなんというか、それよりも本能が勝ったため試合続行。いろんな寝技を試していると、ベッドの下から「ぎゃあぁぁぁぁぁ!」と悲鳴が聞こえた。さすがにこれには二人とも驚いてそれどころじゃなかったそうだ。
慌てて悲鳴の聞こえたベッド下を覗くと、やせ細った女性が腹ばいになっていた。そして恨めしそうな目ですぅ……と消えたという。その後どうしようか迷った末、お金がもったいないとかいう理由で続きを行ったそうだが、それ以来そのラブホは利用できなくなったと話してくれた。なによりもそんな話を男子である俺に話す貴女のほうが怖いわ! と素直にツッコんでおきました。
今でもそのラブホは営業しているが、その噂がまだ続いているかどうかはさすがに知らない。まぁ俺が行く機会はきっとないと思うので真相は闇の中だ。
今回の話とはあまり関係ないが、俺の友人が彼女と別れることになり、ホテル代(五千円)を慰謝料として請求されていたのがなによりもゾッとした話だということを最後にお伝えして今回の話を締めようと思う。
……なんかこんなこと書いていて思うけど、俺の周りって変な人多いなぁ(俺も含めて)
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