第17話 心霊写真
心霊写真を見たことがあるか? と尋ねると大体の人は見たことがあると答えるだろう。
心霊写真を撮ったことがあるか? と尋ねると人数は減るが撮ったことがあると答えるだろう。
──じゃあ本物の心霊写真を見たことがある、または撮ったことがあるか? と尋ねるとその数は大きく減るだろう。
ある写真家の人が言うには心霊写真というのは、撮影者の撮影ミスまたは加工により撮影が可能だということだ。一般的なもので言うと『赤目』という現象があるが、この赤目はカメラのフラッシュにより瞳の中にある毛細血管が光り、目が赤くなるというものだ。
さらにもう一つ。『オーブ』と呼ばれる光の玉があるこれは空気中にある水蒸気であったり、埃などが光に反射、もしくはレンズの汚れにより写り込むと言われている。
ほかにも様々な現象があるが、そのいずれも科学的に説明出来るというものだ。
しかし、ほとんどの現象が科学的に説明出来るということだが、“すべて”ではない。
過去に本物の心霊写真と思われる二回見たことがある。一枚目は高校の後輩の写真なんだが、その写真はお祝いごとで紋付袴を着て写っている写真だった。神社かお寺の前で撮られたその写真だったが、そこに写った彼の右足が消えていた。その数ヵ月後、彼は部活動でヘルニアを発症し手術することになった。もしかしたら彼の右足が消えていたのと何か関係があるのかもしれない。
さて、今回の話は二回見た心霊写真のうちのもうひとつの心霊写真の話をしよう。これも同じく高校生のころの話なんだが、はっきり言おう。なんでそんなことになったのかさっぱりわからない。あまりにも不可思議すぎてなにかの冗談なんじゃないかと思ったくらいだ。
俺がその写真を見たのは高校二年生の頃だった。吹奏楽部に所属していたんだが、同期の仲間の一人があるとき中学校の卒業アルバムを持ってきていた。仮名としてKさんとしよう。俺もそのアルバムを見せてもらっていたんだけど、中学のころのKさんはあまり変わってなくて、みんなと一緒に変わってねーなーと笑いながら見てたんだ。
けれど、あるページで俺の手は止まった。彼女もそれに気づいたらしく、「気づいた?」と神妙な面持ちで聞いてきた。
俺の手が止まったそのページというのは合唱コンクールの時の練習風景を写したものだった。その写真のクラスはKさんのいたクラスではないため、誰が誰かというのは正直覚えていないとのことだった。
一見するとなんてことのない練習風景だったんだけど、よくよく見ると奇妙なところが一箇所だけあった。それは、三段に並んで生徒が立っているんだが、その最後尾の三列目のちょうど真ん中あたり、ある男子生徒の“首がなくなっていた”のだ。
∩∩∩∩∩_∩∩∩∩
∩∩∩∩∩∩∩∩∩∩
∩∩∩∩∩∩∩∩∩∩
図にするとこんな感じだろうか。本当なら実物の写真があればよかったんだが、残念ながらその写真はない。ただ、奇妙なのがなぜそんな写真が誰の目にも留まることなくアルバムに掲載されてしまったのか? ということだ。
考えられるのは二つ。一つは本当に気付かなかったということだ。ただ思うのはアルバムを作成するにあたって複数の人間が写真を確認している以上、そんな異常な写真が掲載されてしまうことはないと思う。
となるともう一つの憶測として、掲載されたあとで首がなくなってしまったということだ。まぁこれも考え方としてどうかと思うが、実際のアルバムの写真は首がなくなってしまった。
ちなみに霊感の強い同期によると、たまたま浮遊霊が通っただけだから問題はないと思うということだった。なのでその首がなくなってしまった彼(学ランを着ていたので男子生徒だとわかった)がどうなってるのかはKさんも知らないが、特別変わった話は聞いたことがないとのことなので、無事だと思う。
この話を見たアンタ。今一度アンタの持っているアルバムを見てみるといいかもしれない。もしかしたらその中の写真に何らかの変化があるかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます