第12話 ちびまる子ちゃん

 ちびまる子ちゃんってあるだろ?


 まぁ聞かずとも大体の人は知ってると思う。あの国民的海鮮物一家の前にやってるアニメだからその流れで見てる人もいるだろう。俺はその時間は世界遺産を見ているがな。それはそうと、ちびまる子ちゃんだ。


 ちびまる子ちゃんと聞いて思い浮かぶのは、白いブラウスに赤いスカート、黄色い通学帽を被ってるイメージじゃないだろうか。それ以外の姿が思い浮かぶという人はこれを覚えていてくれ。ちなみにメガネをかけたおさげの子が頭に浮かんだらそれはまた違う子だから忘れてくれ。


 このじつはじつわは主に実体験をもとに執筆しているわけなんだが、ここまでの話は心霊系が多かったと思う。今回の話は心霊なのかなんなのか正直よくわからない話なんだ。


 以前、俺が住んでいたアパートの話をしたことがあると思うが、その時に出てきた謎の女性を覚えているだろうか? そう名古屋の友人が彼女を連れてウチに泊まりに来た時に見たという女性のことだ。


 俺自身この女性を直接見たことはなく、知らないあいだに頭に刷り込まれていたイメージだ。それっぽい姿はなんとなく見たことはあるけど、それでも寝ていると金縛りにあって頬を撫でられたり、白い影のようなものが部屋の中を通り過ぎて行ったりとその程度だ。ちなみにその時に某女優さんに似ていると言ったが、そんな人が出てくるなら幽霊でもいいかと思ってしまう。どうしてその女性がふたりの前に現れたのかはよくわからないが、彼女なりになにか意図があったんだろう。知らんけど。


 さて、本題に入ろう。今回は実体験というより、あれはなんだったのだろう? という話。俺自身、結論は出てないし、未だに理解出来ていないということを先に説明しておこう。


 俺が彼女を始めて見たのは小学生の頃、それも一、二年生くらいだったと思う。


 彼女を見るのは大抵、学校へ行く途中の通学路もしくは学校の中だった。それ以外では決して見ることはなく、見る時間帯や場所なんかも決まっていない。気づいたら“いる”そんな感じだ。


 彼女はどうやら俺にしか見えてないみたいで、俺が一人でいるときでも友人たちといるときでも現れる。視界の端にいつもいて、視線を合わせようとするといなくなってる。それが彼女だった。彼女の姿は白いブラウスに、赤いスカート。黄色い通学帽を被った、つまりちびまる子ちゃんのような格好をしていた。ただ顔は見えなくて、その姿だけはわかる、といったところだ。


 彼女は別になにかしてくるとかではない。ただそこに“いる”それだけだ。


 学校に行く途中、教室で勉強しているとき、休み時間の廊下、家に帰る通学路、学校の行事、見るのはいつも学校に関わるなにかのときだけだった。


 不思議なのはここからなんだが、彼女を見るのは実は小学校でだけじゃなかった。高校まで彼女の姿を見ることとなった。ただ、中学、高校へ上がるにつれて、彼女が俺の前に現れる回数はだんだんと減っていって、最後に彼女を見たのは高校一年の一学期辺りだったと思う。もちろん教室にいてふと廊下を見ると彼女がいた。ただどことなく寂しそうに見えたのは気のせいじゃなかったと思う。実際にそれを最後にこの年になるまで見ていないからだ。


 これが今回のお話。特別なにかあったわけじゃないんだけど、なんだったんだろうという、不思議な出来事。


 ちなみに霊感が強いという友人いわく、俺には女性の守護霊がいるらしい。どんな人かはよくわからないけどとりあえず美人らしい。もしかしたら彼女は俺の守護霊でずっと俺を見守ってくれていた、そしてたまに友人を脅かしに現れる。そんなおちゃめな一面も持っている守護霊かもしれない。今はそう思うことにしよう。

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