第10話 呪怨(後日談)
前回の話で呪怨の話をしたと思うが、実はあの話には続きがあるんだ。今回はその後日談とも言うべき話をしようと思う。
あの謎の電話がかかってきてから一年後。俺はアパートの自分の部屋でちょうどテレビで放送していた呪怨を見ていた。夏だから熱い夜はホラーで涼もう! とかなんとか。見なきゃいいのに、人間ってのは怖いもの見たさなのか、去年あった出来事を思い出しながらついつい見てしまったんだ。
当時部屋にあったテレビはまだブラウン管で(知らない人はググってくれ)テレビの上には魔女の格好をした女の子の人形が飾ってあったんだ。この人形は中にオルゴールが内蔵してあって、台座がゼンマイのネジになってる。その台座を回すと女の子がくるくると回りながらオルゴールが流れるという仕組みになっていた。
テレビの上に飾ってあった人形はちょうど真正面を向いていて、テレビを見ていると自然と目が合う形になる。ちょうど呪怨を見ていることもあって極力人形とは目を合わさないようにしてたんだ。呪怨もちょうど中盤辺りまで進み、俊雄くんが現れたシーンだったろうか、急にテレビの上の人形が音を奏でながら少し動いた。ゼンマイなんてここ数年巻いてないし、ゼンマイが残っているわけもない。なのに人形が動いた。まるで映画の演出に合わせるようにして。
俺は叫び声を上げながらその人形を押し入れの奥深くに隠した。もしかしたらまたオルゴールが鳴るんじゃないかという恐怖に駆られながら。
人形を押し入れの奥に隠し、ホッと一息つく。
ちなみに俺の部屋の前にはアパートの外廊下があって、窓を開けるとすぐ廊下が見えるんだ。だから開けっ放しにしていると、たまに他の住人の方と目があったりして気まずい時があった。
その日も熱い夜だったから窓を開けてたんだけど、ふと、そこにこちらを覗き込む顔が見えた。俊雄くんだった。
「ぎゃあぁぁぁぁぁ!」
と再び絶叫。もうね、あまりの展開に気を失いそうになったよ。もうなんで俺ばっかりこんな目に合わきゃならないんだ! 呪怨なんて見なきゃよかった! 本気でそう思ってた。すると、
「やかましい! あんた何うるさい声出しとんがけ!」
と窓の向こうから怒られた。よくよく見ると、部屋を覗いてたのは俊雄くんではなく、俺の祖母だった。
いや、だってさ、廊下の蛍光灯に照らされた顔が真っ白に見えて俊雄くんに見えたんだもん。それに直前にあんな出来事があったら誰だって俊雄に見えると思うよ。
と、呪怨の後日談はこんなところだ。ちなみにこんなことがあったせいでもう十年以上経つけど呪怨は見てません。マジでロクなこと起きないから。でもたまにならいいかな……?(やっぱり怖いから見れない)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます