第9話 呪怨
ジャパニーズホラーと聞くと何を思い浮かべる?
四谷怪談や女優霊、有名どころだとリングや着信アリなんかが浮かぶか。これらのジャパニーズホラーってのは海外のホラーと違ってじわじわくる恐怖ってのがある。海外ホラーのバーン! という感じで驚かせにくるのも怖いっちゃ怖いが、俺はやっぱりジャパニーズホラーのほうが怖いって思う。
ちなみに俺は、中学生の頃にリングを観に行ってあまりの怖さに、翌日学校を休んだ。理由は呪いのビデオ見てしまったから一週間後に死んでしまうんだと思い込んで体調を崩したから。友達に遺言代わりに当時流行ってたカードゲームのレアカードを俺だと思って大事にしてくれとか言って渡してたっけ。
今回はそんなジャパニーズホラーのひとつ呪怨に関する話をしようと思う。呪怨はリングと双璧をなすジャパニーズホラーの代表格と言えるだろう。実際に劇場で見たけど、くるってわかってるのにいざくるとやっぱり怖い。あれを作った人は天才だとも思う。呪怨を見たことがない人は一度見てもらいたい。なんでもゲームにもなっているそうだから、そちらをプレイしてみるのも悪くないだろう。俺は怖いからやらないけどな(過去にクロックタワー2を買って怖さのあまりプレイ30分で売りに行った経験アリ)
その日は呪怨の封切り日(映画公開の初日)だったんだ。俺は友人と二人でレイトショーに出かけた。あのリングを超えるくらいに怖いと当時言われていたから期待値はもちろん高く、見た感想はよくわからない部分も多少あったが、確かに怖いと感じた。
見終わった後に俺と友人は心霊スポットでも行くかという話になり、友人の運転するレガシィに乗って適当な心霊スポットへと出かけたんだ。呪怨見たあとだったから妙なテンションだったんだ。心霊スポットを適当に回り、呪怨とは違った怖さを体感したものの、呪怨のように何か起こるわけでもなく俺たちはそれぞれの家路に着いた。家に着いた頃はもう日付が変わっていて、確か午前一時くらいだったと思う。疲れてたのもあったからすぐに寝てしまったんだよな。
ちなみにだけどその頃の俺は携帯を二台持ってたんだ。といっても片方の携帯は古い機種で通話とかは出来なかったんだけど、当時はまだ珍しかったビデオカメラ機能が付いてたモデルだったからビデオカメラ代わりに使ってたんだよ。もちろん、心霊スポットでも使ってた。画像はよくなかったけど。
ちょうど意識が飛んで少しした頃だったかな、急に枕元に置いていた携帯が鳴り響いたんだ。すっかり眠りについていたから電話の音で飛び起きたよ。んで、携帯の表示画面を見ると非通知着信の文字。なんだよこんな時間にと苛立ちながら通話ボタンを押すと、なぜか携帯の電源がブツン、と切れた。
え? と思いながらもう一度携帯の電源を入れて、充電器に戻す。確認したけど電池がないとかではなかった。おかしいな……と思いつつもう一度布団をかぶる。すると、また携帯が鳴り響いた。もちろん非通知着信。さすがに二回連続ともなるといい加減鬱陶しく感じてたんだけど、放っておいてもうるさいだけだからとりあえず出ようと思って通話ボタンを押したんだ。今度は電源が落ちることもなくちゃんと繋がった。
「もしもし? 今何時だと思ってんだよ」
声に苛立ちを混ぜながら言う。けれど電話の向こうからはなにも聞こえてこない。なのでもう一度「もしもし?」と、さっきより強めに言うと、受話器の向こう側から聞こえてきたのは、
「あ」
「あ?」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁ!」
となんて表現したらいいかわからないが、あのさっき観た呪怨に出てくる伽耶子と同じうめき声が聞こえてきた。
う、うわあぁぁぁぁぁ! と俺は半狂乱になりながら持っていた携帯を部屋のふすまに投げつけた。布団をかぶった今あったことを忘れようとしたけど、どうしても電話から聞こえてきたあのうめき声が頭から離れない。
そんなはずない、そんなはずない、ずっと繰り返していた。そうしているとまた眠りにつくことが出来たようで、気がついたときには朝になっていた。
夢だったのかな。そう思ったんだけど、枕元に置いてある二つあるはずの携帯の一つが部屋のふすまの前に転がっているのを見たときにあれは夢じゃなかったんだと気づかされた。でも、もしかしてあれは一緒に見に行った友人の悪ふざけだったんじゃないかと。だったら後で文句の一つでも言ってやろうとさえ思ったんだけど、その携帯を取りにいってふと気づいた。あれ……この携帯っていま通話出来ないよな、じゃああれはやっぱり。そう思って電源の落ちた携帯を起動させると、そこには着信履歴が二件。それも非通知着信だった。
もちろんその携帯はその日のうちに処分した
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